可破家の御啓・１１

可破家の御啓(かばかのごけい)・１１


喫茶店に入り、コーヒーを頼んだ私達は

暖を取りつつ賢木さんと向き合う・・・


賢木「・・・・・」

透明「賢木さんお話ってお家のことですか」

賢木「は、はい」

　陣「さ、賢木さんここは言葉を選ばずに

　　　何でも話してください

　　　俺・・・私はあまり役に立たないかも

　　　しれませんが透明はこういったことを

　　　生業としているので、きっと力に

　　　なってくれると思います」


おいハードルを一気に上げんでくれ


賢木「わ、私の家は、この地の地主として

　　　色々な商売をしてきました・・・

　　　数年前に父が亡くなり、私が家督を

　　　継ぐことになったのですが・・・。」

透明「雲行き・・・怪しいですか」

賢木「・・・・は、はい・・・

　　　私も幼い頃より、父の仕事などを

　　　見てきたつもりだったのですが・・・」


そこにあの神託か・・・ビンゴ過ぎて

気持ち、えぐられるわなぁ～



透明「ふむっ・・・氏子も引き継いだものの

　　　今ひとつということですよね」

賢木「はい・・・。」

透明「単刀直入に聞いておきたいのですが、

　　　賢木さんあなたは神を信じますか」


あっやべぇ～

何か宗教の常套句みたいになっちゃった


賢木「私は・・・もちろん、神様はいると

　　　思っていますが・・・それを扱う人達を

　　　信じているとは・・・。」

透明「なるほど率直でいい意見ですね」

　陣「えっちょ、ちょっと・・・」

透明「神との交信も神託も、神様との繋ぎ役は

　　　常に人間でしかないですから、

　　　ムリもないですよ～

　　　こいつなんて、神主じゃなけりゃ～

　　　信用度０ですもんねぇ～」

　陣「ええ～～～っそ、そんなぁ～」

賢木「あははっ・・・でも、陣さんは

　　　良い人なのはわかりますから・・・。」

　陣「賢木さ～んありがと～～～～う」


少しほぐれてきたかな

そろそろ本題に入らないと


透明「賢木さんのお気持ちは理解しましたが、

　　　どうしますか

　　　このまま氏子を続けられそうですか」

賢木「・・・できれば続けたいのですが・・・。」

透明「それは賢木家の家訓にのっとってですか」

賢木「えっ」

透明「賢木家のシガラミは抜きにして、賢木さん

　　　御本人として、信仰を続けて行けますか」

賢木「そ、それは・・・・」


これは大切なこと・・・神様は嘘を見抜く

信仰心もなく、疑念をもったまま氏子を続けるのは

お互いに良くない流れを生んでしまう・・・。


賢木「透明さん・・・神様はどこにいるのでしょう」

透明「」


素直な良い意見だ

賢木さんは神様を信じたいが視えない神を

心の底から信じることができないでいるのだろう


私は賢木さんの気持ちを汲むように言葉を紡いでゆく・・・。




　　　　　　　　　　　続く・・・。

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