可破家の御啓・１０

可破家の御啓(かばかのごけい)・１０


透明「それじゃぁ～陣帰ろうか」

　陣「えっいや、良いの」

透明「何が」

　陣「だ、だって・・・」

透明「私達が頼まれたのは、厄介なご神託の

　　　読み解きまででしょ

　　　後は、これをまとめて報告すれば

　　　良いんじゃないの」

　陣「確かにそうなんだけど・・・」

賢木「・・・・」

透明「それでは賢木さん

　　　私達はこの辺で・・・」

賢木「あっ・・・す、すみませんでした

　　　と、取り乱してしまい・・・本当に

　　　失礼な事を言ってしまい」


賢木さんも気づいたみたいだなぁ

今回のことは、家と信仰を分断することに

繋がる可能性がある

感情任せに思い切り内心をぶつけてしまったのは

当主としては大分いただけない対応だったかもしれない


透明「いえいえ私達は気にしていませんから

　　　安心してください

　　　ただ１つだけ今後を考えての話ですが、

　　　賢木というお名前は、賢木(かしこき)

　　　という意味が含まれた名です

　　　このお名前は神道においてもっとも神に愛され

　　　神の教えを正しく伝えるという役柄を持ち、

　　　神に守られた一族という意味が強いものです

　　　ただ、その神への信仰が、重荷になって

　　　しまっているのは賢木さんの反応を見ても

　　　明らかなので、信仰心が保てないのであれば

　　　一度当主として考える必要があるのかも

　　　しれませんね」

賢木「」

透明「それでは、失礼しますね」

賢木「あっ・・・と、透明さん」

透明「はい」

賢木「あ、あの・・・今更、こんなこと・・・

　　　図々しいとは思うのですが・・・

　　　一度、私の話を聞いてはいただけませんか」

透明「・・・・陣どうする」


たまにはお前が決めてみな


　陣「えっいや

　　　俺もこのままっていうのは・・・

　　　じ、時間もあるし、一度話を・・・」

透明「そっか・・・・わかりました

　　　それでは、どこかお茶でもできる所で

　　　お話しましょうかここは寒いので」

賢木「は、はいありがとうございます」


ということで、私たちは賢木さんの車で

近くの喫茶店へ・・・。



透明「(やれやれ・・・役者になるのも疲れるよ
　　　　
　　　まあ、思惑通りにはなったけど、

　　　最初に賢木さんに感じた歯切れの悪さや違和感は
　
　　　これだったのかもしれないなぁ～)」


さてと、ここからが大変そう

賢木さんには信仰というものが何なのか

というのを話さないといけないかもしれない・・・。



　　　　　　　　　　　続く・・・。

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