BB富山公演、8月13日マチネ(いちおう……富山千秋楽

)の観劇記です。
劇場に着いていきなりビックリ仰天

ガラス張りで中には立派な階段……と、これは通常のオーバードホール正面玄関

しか~し

ココは思いっきり閉鎖されてて、横の歩道に「ブラックバード・ステージオンステージの入口はこちら」という紙が貼られた看板が

これってイベント?野外コンサート??はたまた屋外テントのサーカスか???妙に嫌な予感というか笑える予感……数メートル置きにある看板を辿っていってみると、劇場スタッフの方が立っていて案内された先には、、、
大道具の搬入搬出口


コンサートとかだとトラックごと入っていくアレ…ね

そんなわけで、その特設入口を抜けると通常の舞台袖に当たる部分になっていました。そこがロビー代わり……椅子やテーブルが置かれていたりパンフ等の売り場があったり……そして、そのまま奥に抜けるとトイレ。その間の通路は通常の劇場部分なのでゴージャス感が漂ってました(爆!)
客席&舞台、まさに案内通りのステージ・オン・ステージでした



客席&舞台共に通常の舞台の上

前2列はクリエや世田谷パブリックのロビーに置いてあるような椅子が並んでいて、3列目以降は鉄骨で足場が組まれてた上に席が並べてある仮設客席でした。屋外テントでのサーカスor野球場の内野(な・い・やですよ~

)指定席を想像していただけると間違いがないかと

座る部分の奥行きが狭いので、椅子の前面にお尻を乗っけて終始体を張った状態で観ないといけなかったので、途中から肩が凝ってくるし、腰は痛くなってくるしで観劇に集中できない部分がありました。野球ならメガホンを持って立てるんですけどね~~レイとウーナの緊迫したやり取りを「かっとばせー」なんて挑発するわけにもいかないし

上段に座っていた友人の話では、下はぶらんぶらん状態

つまり物を落としたら下まで大音響でガランガラン~

みたいな

実際に公演の終盤にそういう方がいたみたいですが・・・入口で大きな荷物(特に傘!)は預けるように言っていたのは納得でした。そうそう、ちなみに……2列目はA席。以前、劇場に

で問い合わせた時に聞いたら、前列と重なっていて見えにくいからとのこと。いや~~世田谷パブリック……だけじゃないですわ

他の劇場の席を考えても、ちょいと理解不能。ついでにサーカスな椅子も、、、9000円

~~~
でも、普通では絶対に体験できない空間

舞台は20センチぐらい高くなっていて暗幕で囲われていました。文学座のアトリエや小劇場みたいな身近な感じ……ではあるんだけど、それとも違う感じでしたね~~観ている側も同じ“板の上”に乗っているわけで、お芝居を観るというんじゃなくて同じ空間でレイとウーナのいる部屋を覗き見している感覚。だから妙に親近感を含んだリアリティがあって……とっても不思議な感覚でした。いや~~前に「リアルな人間のやり取りを覗きに来てくださいね」と内野さんがおっしゃっていたことを体感できて思いっきり共犯関係



良い経験ができました
公演の中身は普通に~という感じでしょうか。東京楽での神がかった二人のやり取りを観ているせいか、比較的クールな感じで淡々とした印象でした。決して悪かったとか言うんじゃなくて

一度仕切りなおしてきちんとしたものを観せてもらったな~という感じ

特設ステージで通常の舞台音響ではないので単純比較はできないのですが、歩ちゃんの擦れ声は戻っていて最初から最後まで安定した太い発声になっていたし。。。あと、、、完全な舞台音響じゃなかったゆえの利点

ホント、すぐそこで普通に喋っている感じで聞こえてくるので、自分がその部屋をたまたま見つけて覗いてみたら面白いやり取りが繰り広げられていて、気がついたらすっかり引き込まれて見入っていた、みたいな錯覚に陥っちゃったな~と

そういうのは新鮮な感覚でしたわ~~
ある意味、“身近な”感覚で覗き見してみて……ずっと心に積み重なっていったのは、マクベスに出てくる「fair is foul, and foul is fair」というセリフでした。メタマク経験者としては松岡訳は外せないので

「綺麗は汚い、汚いは綺麗」ということなのですが、じい、今回のレイのセリフを聞きながら、愛って何て汚いんだろう!と思ったんです。特にレイが、ウーナに出会った頃に二人きりの姿を見られないように画策した話とか、タイムハウスでウーナを置き去りにした後にゲストハウスに戻って探し回った話とか、言い訳の数々に知恵がついた大人ゆえの狡さを露骨に感じさせるんですよね~~しかも、今回は特に

レイの小心者さがひしひしと伝わってきて、肝っ玉の据わっていない情けない感じが言葉に詰まっていたんですわ。ただ、じいはここで語られることが嘘で塗り固められた自己防衛のためのものとは思えなかった。レイがウーナへの思いに翻弄され迷っているのが、すっごく純粋に見えたんです。本気の気持ちがあるから、純粋な思いがあるから、こんなに戸惑って迷っているんだな~って。でも、それは決してロマンチックな文言で語られるものじゃなくて、人間の中にある生物的な、生々しい欲求や湧き上がってくる気持ちから生じているものでもある。実際に求めるものはとっても生々しい行為だし、許されないことでもあるわけだし。割り切れなくて、捨て切れなくて、でも確実に存在している相反するもの(善悪というには??だけど)がこの二人には絡んでいるんですよね。人ってやっぱりプラスのものを求めると思うんですよね。愛もプラスの方に属するもの、というのが一般的な見方だと思うんだけど、本当はそうじゃない、もっともっとドロドロしてて、意識的に抑え込もうとするような黒々&ザラザラしたもので、でもそれは本能に正直なものだから凄く純粋なものでもある。な~~んかレイの生き方に一直線に繋がるもののように思えて、ちょっぴり切なくもあり……難しいですわ、、、レイやウーナだけではなくて、誰しも自分自身の中に存在しうる“欠片”だと思うので。
深~~い内容の舞台ですが、今回は最後に「あちゃー

」なプチハプニングが発生



内野さん、おなじみの(笑)汗だく姿だったのですが、その汗が原因

最後にウーナを突き飛ばして「こらー!」と言って部屋を出て行くところで、
ドアの取っ手を回そうとした時にズリッと滑って取っ手を握れず、「あ・・・」と0.1秒くらい?の間があってもう一度握り直して無事に退室されました。観ている方は緊迫感

が最高潮なところまで達しているところじゃないですか~~もうドキドキバクバク

それなのに、最後の最後で、、、ガクッ

うっちー、、、やってくれたわね

レッドカード1枚