日高義樹氏の「トランプ登場は日本の大チャンス」のTPP部分を読みました。TPPに関する内容そのものは氏は経済専門家じゃありませんし、ほとんど賛同しませんが、気になったのはアメリカ世論に関する部分です。何でも自由貿易を政治家がアメリカで売り込むのは難しいのだとか。サンダース旋風・トランプ旋風でTPP反対があったのは分かりますし、ヒラリーも折れましたから、アメリカがTPPに関して厳しいのは分かっていましたが、改めてアメリカ世論は自由貿易に厳しいのかな?と思った次第です。だとしたら、トランプはTPPを絶対にやらないと見なければなりません。仮にトランプ退陣を想定してもダメでしょう。アメリカ世論が自由貿易に厳しいなら、どんな政治家が大統領になってもTPPを通すことは難しいと考えられます。一般にトランプ大統領が保護貿易で問題と指摘する声がありますが、確かにトランプ大統領が殊更保護貿易を言っているのは間違いないとしても、それは必ずしもトランプ大統領の独断とは言えないのであって、アメリカ世論を受けてのことだと考えなければ、事の本質を見失います。保守的な一部の世論と思うかもしれませんが、共和党は議会で優勢を保っていますし(続くかは予断を許しませんが)、貿易に関してはTPPの話題を振り返るまでもなく、民主党でも厳しい声は少なくありません。
アメリカ世論がそんなに自由貿易に厳しいのは、「NAFTAの失敗」が尾を引いているからだそうですが、まぁ経験則なんでしょうね。確かにアメリカが自由貿易を推進すると、更に経常赤字が増える可能性があると思います。多分、日本は逆ですね。ドイツがEUで栄えたのと似たような感じになるかもしれません。ただ、日本は眠っているお金がありますから、参加国全てにメリットはあると思います。アメリカが参加すればアメリカにもメリットはあると思いますが、世論が自由貿易の効果に批判的だったらどうしようもない感じですね。何故批判的か良く分からないところもありますが、多分雇用が流出して赤字が増えるのが納得いかないんでしょうね。消費者のメリットよりそちらの方が気になるんでしょう。
トランプ大統領は経常赤字を何とか縮小させたいんでしょうが、難しいところもあると思います。少なくともTPP参加国に対して、日本と競合する産業(自動車など)では勝つのは難しくなるのではないでしょうか?トランプ大統領はFTAを言いますが、明らかにアメリカに有利な内容なのであれば、中々結びたいと思う国はないと思います。輸出を拡大して経常赤字を縮小したいトランプ大統領ですが、アメリカが関税を下げる動きから引くなら、輸出が伸びる道理はありません。より輸入は増えないかもしれませんが。また、賃金の安いメキシコを何らかの形で利用しないなら、アメリカ車の輸出が競争力を持つのは難しいのではないでしょうか?政策にはメリット・デメリットありますから、この辺はどうしようもないと思います。
オーストラリアとアメリカの国柄って比較的似ていると思うんですよね。アメリカも国が広くてアウトドアなイメージがあると思いますが(「アメリカ アウトドア」でgoogle検索すると、【 ALL 】アメリカのアウトドアブランド一覧 - ファッションプレスが1位で出てきます。数が多いです。中でもパタゴニアは有名かと思います。8位では〔海外〕アメリカのアウトドア用品店の品ぞろえがすごい!!(NAVERまとめ)が引っかかります)、海外旅行最大手のHISで「大自然・ファッション・非日常な世界」を楽しむグランピングなるものの先進国がオーストラリアだとして売り込んでいるみたいですね。日本においてアメリカ車でジープが一人気を吐いている記事に以前リンクしましたが、8年前の情報ではあるんですがハーレーダビッドソンも相当頑張っているみたいです(縮む市場で一人勝ちのハーレー「ファンを作る販売店」が19年連続増収を支えた 日経ビジネス 2009年6月27日(土))。日本は過密な国ではあるんですが、一方で広い国に対する憧れもあって、アメリカやオーストラリアのブランド価値を認めているところもあると思うんですよね。アメリカにも言い分はあると思いますが、日常乗る車としては日本車があるのにアメリカ車に変えたいという人がそんなに多いとは思えません。一方アメリカの強い分野ではアメリカは十分勝負できているとも思います。オーストラリアはアメリカに似たところがある市場だと思いますが、自動車販売台数では日本が強いみたいですね(自動車販売台数速報 オーストラリア 2017年(自動車産業ポータル))。トヨタはオージーモデルのランドクルーザーもつくっているみたいですし(日本ではまず見かけないオーストラリア仕様、逆輸入車のトヨタ ランクル70(ディーゼルモデル)とは? FLEX)、アメリカがボヤボヤしていると(?)、日本が今以上にオーストラリアでアメリカに勝ってしまうかも?アメリカ国民の皆さん、自由貿易は如何ですか?(チラッチラッ)オーストラリアからは、残念念ながらGMもトヨタも撤退してしまいました。トヨタは断腸の思いだったみたいですね(オーストラリアの自動車生産消滅へ トヨタも撤退 その背景とは?(newsphere Oct 6 2017)>「進出すれば撤退しない」という基本ポリシーのトヨタにとっては苦汁の決断だったようだ)。ビジネス戦争は熾烈で、アメリカが一人保護貿易をすると、更に輸出産業が弱体化するのではないかと思います。
政府の借金が解消されたら、国にお金が回らなくなるという議論がありますが、それに似て基軸通貨国であるアメリカが経常黒字になってしまうと、世界にドルが回らなくなるという話もあります。基軸通貨国だと、刷ったら刷った分だけ、外国から買えるんでしょう?その特権を捨ててまで、黒字を目指さないといけない理由はないんじゃないかと思いますが(国際通貨(ウィキペディア)>基軸通貨の発行国は必然的に経常収支は赤字になる(国際的な流動性を供給するためには、発行国は経常収支が赤字となって各国に通貨を供給する必要がある)。基軸通貨である限り経常収支の赤字額は発行国の利益になる(各国が基軸通貨資産を外貨準備として持つことにより、発行国はその代金としての海外資産を手にすることができる)。新興国の経済発展により基軸通貨の需要が増えた場合は、供給量が一定であれば基軸通貨の価値は上昇する)。世界で唯一の基軸通貨国であるアメリカには特殊事情があると思います。何もかもマネすると、事情の違う外国は上手く回りません。
何時までも赤字は持続しないという話もありますが、この辺は筆者には良く分かりません。仮にそうなのだとすれば、基軸通貨国であり続けられる国は存在しないということになります。
結局のところ、トランプ大統領に明らかにしてほしいのは、どうしても経常赤字の縮小を目指したいのか?ということです。関税を互いに引き下げるという手法だと輸出は拡大するかもしれませんが、輸入も拡大してしまうと思います。ですから、一方的に関税を引き上げたいということかもしれませんが、これだと報復関税を招きますし、世界経済は縮小してしまうと思います。これを懸念している人が多いのではないでしょうか?百も承知と思いますが、政策に魔法の杖はないと思います。
※11月22日深夜改稿
アメリカ世論がそんなに自由貿易に厳しいのは、「NAFTAの失敗」が尾を引いているからだそうですが、まぁ経験則なんでしょうね。確かにアメリカが自由貿易を推進すると、更に経常赤字が増える可能性があると思います。多分、日本は逆ですね。ドイツがEUで栄えたのと似たような感じになるかもしれません。ただ、日本は眠っているお金がありますから、参加国全てにメリットはあると思います。アメリカが参加すればアメリカにもメリットはあると思いますが、世論が自由貿易の効果に批判的だったらどうしようもない感じですね。何故批判的か良く分からないところもありますが、多分雇用が流出して赤字が増えるのが納得いかないんでしょうね。消費者のメリットよりそちらの方が気になるんでしょう。
トランプ大統領は経常赤字を何とか縮小させたいんでしょうが、難しいところもあると思います。少なくともTPP参加国に対して、日本と競合する産業(自動車など)では勝つのは難しくなるのではないでしょうか?トランプ大統領はFTAを言いますが、明らかにアメリカに有利な内容なのであれば、中々結びたいと思う国はないと思います。輸出を拡大して経常赤字を縮小したいトランプ大統領ですが、アメリカが関税を下げる動きから引くなら、輸出が伸びる道理はありません。より輸入は増えないかもしれませんが。また、賃金の安いメキシコを何らかの形で利用しないなら、アメリカ車の輸出が競争力を持つのは難しいのではないでしょうか?政策にはメリット・デメリットありますから、この辺はどうしようもないと思います。
オーストラリアとアメリカの国柄って比較的似ていると思うんですよね。アメリカも国が広くてアウトドアなイメージがあると思いますが(「アメリカ アウトドア」でgoogle検索すると、【 ALL 】アメリカのアウトドアブランド一覧 - ファッションプレスが1位で出てきます。数が多いです。中でもパタゴニアは有名かと思います。8位では〔海外〕アメリカのアウトドア用品店の品ぞろえがすごい!!(NAVERまとめ)が引っかかります)、海外旅行最大手のHISで「大自然・ファッション・非日常な世界」を楽しむグランピングなるものの先進国がオーストラリアだとして売り込んでいるみたいですね。日本においてアメリカ車でジープが一人気を吐いている記事に以前リンクしましたが、8年前の情報ではあるんですがハーレーダビッドソンも相当頑張っているみたいです(縮む市場で一人勝ちのハーレー「ファンを作る販売店」が19年連続増収を支えた 日経ビジネス 2009年6月27日(土))。日本は過密な国ではあるんですが、一方で広い国に対する憧れもあって、アメリカやオーストラリアのブランド価値を認めているところもあると思うんですよね。アメリカにも言い分はあると思いますが、日常乗る車としては日本車があるのにアメリカ車に変えたいという人がそんなに多いとは思えません。一方アメリカの強い分野ではアメリカは十分勝負できているとも思います。オーストラリアはアメリカに似たところがある市場だと思いますが、自動車販売台数では日本が強いみたいですね(自動車販売台数速報 オーストラリア 2017年(自動車産業ポータル))。トヨタはオージーモデルのランドクルーザーもつくっているみたいですし(日本ではまず見かけないオーストラリア仕様、逆輸入車のトヨタ ランクル70(ディーゼルモデル)とは? FLEX)、アメリカがボヤボヤしていると(?)、日本が今以上にオーストラリアでアメリカに勝ってしまうかも?アメリカ国民の皆さん、自由貿易は如何ですか?(チラッチラッ)オーストラリアからは、残念念ながらGMもトヨタも撤退してしまいました。トヨタは断腸の思いだったみたいですね(オーストラリアの自動車生産消滅へ トヨタも撤退 その背景とは?(newsphere Oct 6 2017)>「進出すれば撤退しない」という基本ポリシーのトヨタにとっては苦汁の決断だったようだ)。ビジネス戦争は熾烈で、アメリカが一人保護貿易をすると、更に輸出産業が弱体化するのではないかと思います。
政府の借金が解消されたら、国にお金が回らなくなるという議論がありますが、それに似て基軸通貨国であるアメリカが経常黒字になってしまうと、世界にドルが回らなくなるという話もあります。基軸通貨国だと、刷ったら刷った分だけ、外国から買えるんでしょう?その特権を捨ててまで、黒字を目指さないといけない理由はないんじゃないかと思いますが(国際通貨(ウィキペディア)>基軸通貨の発行国は必然的に経常収支は赤字になる(国際的な流動性を供給するためには、発行国は経常収支が赤字となって各国に通貨を供給する必要がある)。基軸通貨である限り経常収支の赤字額は発行国の利益になる(各国が基軸通貨資産を外貨準備として持つことにより、発行国はその代金としての海外資産を手にすることができる)。新興国の経済発展により基軸通貨の需要が増えた場合は、供給量が一定であれば基軸通貨の価値は上昇する)。世界で唯一の基軸通貨国であるアメリカには特殊事情があると思います。何もかもマネすると、事情の違う外国は上手く回りません。
何時までも赤字は持続しないという話もありますが、この辺は筆者には良く分かりません。仮にそうなのだとすれば、基軸通貨国であり続けられる国は存在しないということになります。
結局のところ、トランプ大統領に明らかにしてほしいのは、どうしても経常赤字の縮小を目指したいのか?ということです。関税を互いに引き下げるという手法だと輸出は拡大するかもしれませんが、輸入も拡大してしまうと思います。ですから、一方的に関税を引き上げたいということかもしれませんが、これだと報復関税を招きますし、世界経済は縮小してしまうと思います。これを懸念している人が多いのではないでしょうか?百も承知と思いますが、政策に魔法の杖はないと思います。
※11月22日深夜改稿