観測にまつわる問題

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憲法9条論議でこれまで見落とされがちだった重要な指摘「芦田修正」

2017-11-27 15:02:25 | 政策関連メモ
9条論議の混迷に終止符を打て そのために「芦田修正」に注目せよ 駒沢大学名誉教授・西修(産経ニュース 2017.11.27 09:00)

これは非常に重要な記事ですね。芦田修正を考えると、自衛隊創設こそが正統な解釈ということになります。創設の時にこれに気付かなかった(?)のは痛恨でしょう。自衛隊明記案は正統な解釈を取り戻すための案とも考えられます。そもそも矛盾していなかったのであれば、条項間の「矛盾」はそれほど気にする必要はありません。まぁ直感的に分かり易い憲法の方が望ましいことは間違いありませんが、安保法制をしたばかりで関連法を出す時期ではないと考えると、今回は明記案に止めることは理解できます。明記案の必要性もこれまで解釈が誤っていたことを告知することの重要性を考えると疑いないところだと思います。やはり訴訟になって負ける可能性を残しておくのは望ましいことではありません。

※以上facebookコメントの再録

日本国憲法第9条(ウィキペディア)

>1946年(昭和21年)8月24日、衆議院本会議での委員長報告において芦田均はいわゆる芦田修正について「戦争抛棄、 軍備撤退ヲ決意スルニ至ツタ動機ガ、 専ラ人類ノ和協、 世界平和ノ念願ニ出発スル趣旨ヲ明カニセントシタ」ものであると述べている。その後、この修正について芦田は、自衛戦力を放棄しないための修正であり、このことは小委員会の会議録にも書かれていると発言している。ところが、のちに公開された小委員会の速記録や『芦田均日記』からは修正の意図がこのような点にあったかは必ずしも実証的には確認できないといわれる。ただし、国際法の専門家である芦田が自衛のための戦力保持の可能性を生じることとなった点について気付いていなかったとは思われないとみる見方もある。このようなこともあって芦田の真意は未だに謎とされている。

>芦田の真意の問題は別として、総司令部や極東委員会は芦田修正の結果として「defence force」を保持することが解釈上可能になったと考えられるようになったといわれる。

>芦田修正について総司令部からの異議はなかったといわれる。これに対して極東委員会の反応は異なっていた。芦田修正については、自衛(self-defence)を口実とした軍事力(armed forces)保有の可能性があるとした極東委員会の見解が有名であり、この見解の下、芦田修正を受け入れる代わりに、文民統制条項(civilian)を入れるよう、GHQを通して日本国政府に指示し、憲法第66条第2項が設けられることとなった。

西教授と同様の指摘は現時点でのウィキペディア「憲法第9条」にも見られます。極東委員会の反応は異なっていたかもしれませんが、結局のところ極東委員会の見解が反映されて憲法の条文が変わったのですから、これは極東委員会も承認した案と見做すことができます。芦田氏の真意はあまり関係ないと思われます。憲法とは結局のところは条文だと思います。芦田修正なるものが追加された理由を考察するなら、「defence force」の創設は規定路線だったと見做すべきでしょう。

ただ、芦田氏の国会(本会議)での説明は違うところもあったみたいですね。これは当時の世論を考慮したのだと考えられます。法律の条文と移ろい易い世間の空気(及びそれを反映した本会議での説明)のどちらを重視すべきか議論はあるかもしれませんが、日本は法治国家です。お隣の国なら情治国家なので法より空気を優先してしまうのかもしれませんがね。世界に日本しか存在しない訳ではありません。法律の文言を重視せず形のない世論を重視するような考え方があるのだとしたら、卒業すべきだと思います。そんなことではどんな国際的合意も成立しません。