「二元論」(14)のつづき

2021-08-10 03:43:55 | 「二元論」

    「二元論」


    (14)のつづき

 

 ハイデガーが思想転回(ケ―レ)する前にも、また後にも、ブレず

に一貫して追い求めた世界とは、〈存在〉を「本質存在」と「事実

存在」に二分して思惟する〈形而上学〉以前の世界で、それはプラ

トン・アリストテレスの先人である「ソクラテスよりも前の時代の

思想家たち」という意味で「フォアゾクラティカー (Vorsokratiker)」

と総称される。名前が伝わっている思想家はアナクシマンドロス、

ヘラクレイトス、パルメニデスなどで、彼らは〈存在〉を〈形而上

学〉的には思索したりしなかった。もちろん、この〈形而上学〉的

二元論の末に、紆余曲折を経て、たとえばプラトンのイデア論やキ

リスト教世界観を経て、近代科学文明社会が隆盛したことは言うま

でもない。ハイデガーが形而上学的二元論的世界の〈限界〉を見破

って、何故なら〈存在=生成〉が抜け落ちた存在概念によって固定

化されているからだが、つまり人間中心主義(ヒューマニズム)的な存

在概念によって生成変化する世界を科学技術(固定化)によって作り変

えることはやがて行き詰まること明白で、唯一われわれの科学主義が

成果を生む世界はきっと地球外にしか残されていない。つまり、われ

われが科学技術によって地球を汚染し生命が絶えた時に、その科学技

術によって新たな惑星を地球化して、地球を脱出するための手段とし

て役立つかもしれない。

 

                         (つづく)