「あほリズム」 (717)再載

2021-08-16 08:07:44 | アフォリズム(箴言)ではありません

  「あほリズム」再掲載     2020-08-15 11:16:45投稿

 

   (717)

 

 そもそも閣僚が靖国神社を参拝しようが、それを他国からとやか

く言われる筋合いはないというのはもっともなことだが、ただ、決

して忘れてはいけないのは、かつて日中国交正常化交渉(1972年

9月)において、故 周恩来首相が日本に対して戦争の「賠償請求の放

棄」を認めたのは、『「日本人民と中国人民はともに日本の軍国主

義の被害者である」として、「日本軍国主義」と「日本人民」を分

断するロジックによって「未来志向」のポリティクスを提唱し、共

同声明を実現させた。』(ウィキペディア『日中国交正常化交渉』)

からであって、ところが、喉元の短い我ら大和民族は過ぎ去った熱

さをすぐに忘れて、1978年にいわゆる東京裁判において処刑さ

れたA級戦犯、つまり「日本軍国主義」の指導者たちが、「日本人

民」である英霊が眠る靖国神社に合祀されたことによって「周恩来

の遺訓」(保阪正康)は踏み躙られ、

https://home.hiroshima-.ac.jp/utiyama/ISIS-12.3.W.html

「未来志向」のロジックは忘れ去られた。つまり中国からすれば、

その経緯を蔑ろにしているのは日本側であって、以来、彼らは日本

軍国主義者(A級戦犯)が合祀されている靖国神社への閣僚の参拝を

非難しているが、我々は何故彼らがそんなことにまで干渉するのか

さえ解らない。私から見れば、中国の反発は尤もように思えるが、

さらに言えば、「台湾は中国の一部」であることも二国間で合意さ

れている。

 果たして、我々はこの約束を守れるのだろうか?

 

  追稿  2021年8月15日

 戦後わが国の主権者は「日本人民」に変わり、その代表である代

議士が「日本軍国主義」者が祀られている靖国神社への参拝を行な

ということは、「日本人民」がそれを支持したということにほか

ならない。国政府からすれ、日本人民は国同士の約束を守らな

嘘つき」の人民ということになる。いずれその不信感はわぬ

ところで報復されるが、我々は何故彼らが日本人民に敵対するのか

さえ解らず、ただひどい国だとしか思わない。                   


「二元論」 (16)のつづき

2021-08-16 04:45:44 | 「二元論」

   「二元論」


    (16)のつづき


 ハイデガーが〈現存在(人間)は存在を規定する〉という存在概念

によって、つまり「人間が世界の主体である」という了解の下で、

もう一度〈世界=生成〉という自然観を取り戻そうとして文化革命

を掲げるナチス・ドイツに積極的に加担したが、しかし、転回(ケ

―レ)後も消極的ではあれ、また存在概念はどうであれその目指す

世界観は一貫して変わらなかった。ただ、時代は「世界は人間のた

めにある」と言わんばかりの科学革命が全盛で、始原の復権を訴え

るハイデガーは「何がなしうるのか」と自問して、「失われた存在

を追想しつつ待つことだけだ」(木田元)と自答するしかなかった。

あれからおよそ百年を経て、グローバル化した世界の下で八十億も

の現存在(人間)が近代生活を求めて蠢き合い、その結果、生存環境

が破壊され「成長の限界」に達して、もはや人間中心主義(ヒューマ

ニズム)的文化の終焉に怯えて立ち尽しているところに、待ち続けて

いたハイデガーの姿が現われた。

                           (つづく)