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『顔のないヒトラーたち』-ドイツの歴史認識を大きく変えた1963年からの「アウシュビッツ裁判」への道

2016-03-07 12:25:02 | 最近見た映画


        【 2016年2月28日 】      京都シネマ

  ナチスドイツに関する映画は過去に多数観てきたが、ドイツ国民が自ら「ナチスの行った蛮行」を反省し、対外的にも謝罪するという歴史認識の大転換をしたのが、戦後20年近くもたった《こんな最近のこと》だったということは全然思ってもみないことだった。

 第二次世界大戦後の《歴認識の違い》=《過去の歴史に対する向き合い方の違い》で、ドイツのそれと日本との違いがよく話題にのぼる。

 ドイツが、ナチスの独裁政治を許し、【ホロコースト】という史上最悪の歴史を生み出したことに対し、徹底的に反省し世界に向かって謝罪を表明したのに対し、日本は最高責任者の『天皇』の責任をあいまいにし、また、多くのA級戦犯は戦後政治に復活し公に活動しているし、周辺国に対してはいまだにその罪を認めようとしなかったばかりか、最近では『南京大虐殺』も『慰安婦問題』も無かったことにしようとしている。

 この違いが、敗戦後すぐ始まっていたように錯覚していたが(時期については深くは考えていなかった)、この映画を見るとそうではなかった気づかせてくれた。
 日本では、当初アメリカ占領軍によって、戦前の軍国主義的色彩を一掃する《民主化》が進められたが、中国大陸で共産党が政権をとる頃から《反共の防波堤》となるべく方向転換がされてきた。『天皇制』も『戦犯』も、アメリカの日本支配に都合のよいように使われたのである。

 それに対し、ドイツは東側を『ソ連』、西側はアメリカを中心とする『西側諸国』に占拠され2つの国に分断されることになったが、その辺の戦後処理の事情の違いがどのように影響したのだろうか。

 ドイツでは、戦後当初から当たり前のように【ナチスの残虐性】が反省され、深い反省に立って歴史を総括していると思っていたが、そうではなかった、と。

 今では、日本においても『アウシュビッツ』の存在を知らない人はいないと思うのだが、この映画の中で描かれているように【戦後20年たったドイツで「アウシュビッツ」を知らない若者がほとんどであった】という事実を知ったときは驚きであった。しかも、ナチの残党が今の日本と同じように、公職のあちこちにいて影響力を持っているという現実世界があった。

 そういう状況から、ドイツは【歴史認識を変える】大きな努力をしてきたということだ。

 主人公の若い弁護士も「アウシュビッツ」のことを知らないで、果敢に歴史を変える挑戦をするという姿に勇気づけられる。

                 


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 そういえば、『ヴァイツゼッカー大統領の演説』も1985年という戦後もだいぶたった時期のものだった。歩みは決して早くはないが、確実に前進しているという感じだが、日本はというと、《A級戦犯の孫》が再び時計を逆戻りさせようと、悪あがきをしている。



   『顔のないヒトラーたち』-公式サイト





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