【 2022年8月20日 記 】
映画を観たのは7月だから1ヶ月以上がたってしまった。
『メルー』を見たときも、「こんな山の登り方もあるのか!」と驚いたものだが、この『アルピニスト』の主人公のマーク・アンドレ・ルクレールという人はすごすぎる。単独のフリースタイルで、命綱も着けず、難関ルートを下見なしで、アイスアック2本だけを頼りにスルスル登っていくのだから。
『メルー』のブログにも書いたが、ヒマラヤやアルプスなど大きな山を攻略する登り方に2つの方法がある。復習しておくと、
【アルパイン・スタイル】・・(英語: Alpine style、アルプス風登山)とは、ヒマラヤのような超高所や大岩壁を、ヨーロッパ・アルプスと同じような
扱いで登ることを指す登山スタイル・用語。大規模で組織立ったチームを編成して行う極地法とは異なり、ベースキャンプを出た後は下界との接触
は避けて、一気に登る。また、サポートチームから支援を受けることも無く、あらかじめ設営されたキャンプ、固定ロープ、酸素ボンベ等も使わない。
装備に極力頼らず、登る人の力にのみ頼ることを最重要視して行う登山スタイルである。
国際山岳連盟(UIAA)はアルパインスタイルに対して以下の定義を提唱している。
・クライマーは6人以内。
・酸素ボンベは持たない。
・固定ロープを使用しない。
・高所ポーターやシェルパの支援を受けない。
それに対し、
【極地法】・・・・最初に安全な地点にベースキャンプを設け、そこから比較的連絡のとりやすい距離に次々と前進キャンプを設営する。隊員は
キャンプ地間を行き来して、必要物資を運搬する。また必要に応じて移動困難箇所のルート工作を事前に行う。それぞれのキャンプ地の隊員の
援助を借りつつ、最終的に少数の隊員が頂上を目指すのが、この登山法である。
8000メートル峰を中心とした高所登山において、成功率と安全性を高めるために生み出された方法であり、1953年のエドモンド・ヒラリーと
テンジン・ノルゲイによるエベレスト初登頂時にもこの方法が用いられた。現在でも公募隊によるエベレスト等の登山においてはこの方法を使用
しているが、登頂に長い期間と多くの人員、そして多額の費用が必要であること、少数の登山者のために大量の人員を投入すること、山に膨大な
ゴミを残すことなどに対して批判も存在する。
『登攀技術や装備が進歩し、世界中の高峰登頂が達成され尽くした現代、記録達成を目指す先鋭的な登山家の間では、アルパインスタイルによる未踏の困難なルートを切り開くことに主眼が移っている。』
という事である。
それにしても、単独のフリークライミングでしかも命綱無し-そんな事って有りなのかと考えてしまう。
自分もそんなことをしたいとは夢にも思わないけど、異次元の世界に憧れ、気持ちが踊る。このような映画をみると気持ちがすっきりし、何か大きなエネルギーをもらったような気がする。
一時(とは言っても、20年以上前の大分以前)、エヴェレスト登頂に関心を持ったときがあった。自分には遠い夢の世界だと思いつつ、『還暦のエベレスト』(エベレスト・ビューホテルを作った人。宮原さん著)や『61歳のエヴェレスト』、『63歳のエヴェレスト』などをあさって読んだ。ブロートン・コバーンの『非情の最高峰』を読んだのはそのあとだったか。そして、三浦雄一郎が70歳・80歳の最高齢エヴェレスト登頂を伝える報道を追ったものだ。懐かしい。(下記のブログ記事参照)
しかし今はすっかり様子が変わってしまった。
【 パタゴニア 】
【 ロブソン山をめざし 】
登山技術の進歩とか雄大な大自然の風景に感動する事とは別の視点で、この映画に感銘を受けた。
『短い人生だが、こんな生き方もあるのか』と、考えるところあって《単なる山岳映画》としてだけでなく《人の生き方を追った》上質のドキュメンタリーとして見た。母親がその核心だが、そうした生き方を支える子供への接し方が何とも素晴らしく新鮮だった。一様の枠にはめ、人並みの教育を受けさせ、型にはまった人生を追わせるので無く、マイナス面を見るのではなく【当人の能力を開花させる】というその姿勢に拍手を送りたかった。素晴らしい彼女にも出会い、本当に幸せそうに見える。
一方、映画を観ながら、そんな彼がこの先どうなるかが、ちょっと気がかりだった。こんな冒険をしていたら「いつか墜落死するのでは」「その場面が映画に出てきたらどうしよう」とふと感じたことだった。(このドキュメンタリ映像には幸いそのようなシーンは無く、カタログを見ると「雪崩に巻き込まれ25歳で死亡した」ことが告げられていた。
〇 〇 〇
今年の暮れに、《垂直の記憶》の山野井泰史の映画が完成し、公開されるようである。今から見るのが楽しみで、待ち遠しい。
『 アルピニスト 』-公式サイト
『メルー』のマイブログにジャンプ
『エヴェレスト』に夢中になった頃のマイブログへ
映画を観たのは7月だから1ヶ月以上がたってしまった。
『メルー』を見たときも、「こんな山の登り方もあるのか!」と驚いたものだが、この『アルピニスト』の主人公のマーク・アンドレ・ルクレールという人はすごすぎる。単独のフリースタイルで、命綱も着けず、難関ルートを下見なしで、アイスアック2本だけを頼りにスルスル登っていくのだから。
『メルー』のブログにも書いたが、ヒマラヤやアルプスなど大きな山を攻略する登り方に2つの方法がある。復習しておくと、
【アルパイン・スタイル】・・(英語: Alpine style、アルプス風登山)とは、ヒマラヤのような超高所や大岩壁を、ヨーロッパ・アルプスと同じような
扱いで登ることを指す登山スタイル・用語。大規模で組織立ったチームを編成して行う極地法とは異なり、ベースキャンプを出た後は下界との接触
は避けて、一気に登る。また、サポートチームから支援を受けることも無く、あらかじめ設営されたキャンプ、固定ロープ、酸素ボンベ等も使わない。
装備に極力頼らず、登る人の力にのみ頼ることを最重要視して行う登山スタイルである。
国際山岳連盟(UIAA)はアルパインスタイルに対して以下の定義を提唱している。
・クライマーは6人以内。
・酸素ボンベは持たない。
・固定ロープを使用しない。
・高所ポーターやシェルパの支援を受けない。
それに対し、
【極地法】・・・・最初に安全な地点にベースキャンプを設け、そこから比較的連絡のとりやすい距離に次々と前進キャンプを設営する。隊員は
キャンプ地間を行き来して、必要物資を運搬する。また必要に応じて移動困難箇所のルート工作を事前に行う。それぞれのキャンプ地の隊員の
援助を借りつつ、最終的に少数の隊員が頂上を目指すのが、この登山法である。
8000メートル峰を中心とした高所登山において、成功率と安全性を高めるために生み出された方法であり、1953年のエドモンド・ヒラリーと
テンジン・ノルゲイによるエベレスト初登頂時にもこの方法が用いられた。現在でも公募隊によるエベレスト等の登山においてはこの方法を使用
しているが、登頂に長い期間と多くの人員、そして多額の費用が必要であること、少数の登山者のために大量の人員を投入すること、山に膨大な
ゴミを残すことなどに対して批判も存在する。
『登攀技術や装備が進歩し、世界中の高峰登頂が達成され尽くした現代、記録達成を目指す先鋭的な登山家の間では、アルパインスタイルによる未踏の困難なルートを切り開くことに主眼が移っている。』
という事である。
それにしても、単独のフリークライミングでしかも命綱無し-そんな事って有りなのかと考えてしまう。
自分もそんなことをしたいとは夢にも思わないけど、異次元の世界に憧れ、気持ちが踊る。このような映画をみると気持ちがすっきりし、何か大きなエネルギーをもらったような気がする。
一時(とは言っても、20年以上前の大分以前)、エヴェレスト登頂に関心を持ったときがあった。自分には遠い夢の世界だと思いつつ、『還暦のエベレスト』(エベレスト・ビューホテルを作った人。宮原さん著)や『61歳のエヴェレスト』、『63歳のエヴェレスト』などをあさって読んだ。ブロートン・コバーンの『非情の最高峰』を読んだのはそのあとだったか。そして、三浦雄一郎が70歳・80歳の最高齢エヴェレスト登頂を伝える報道を追ったものだ。懐かしい。(下記のブログ記事参照)
しかし今はすっかり様子が変わってしまった。
【 パタゴニア 】
【 ロブソン山をめざし 】
登山技術の進歩とか雄大な大自然の風景に感動する事とは別の視点で、この映画に感銘を受けた。
『短い人生だが、こんな生き方もあるのか』と、考えるところあって《単なる山岳映画》としてだけでなく《人の生き方を追った》上質のドキュメンタリーとして見た。母親がその核心だが、そうした生き方を支える子供への接し方が何とも素晴らしく新鮮だった。一様の枠にはめ、人並みの教育を受けさせ、型にはまった人生を追わせるので無く、マイナス面を見るのではなく【当人の能力を開花させる】というその姿勢に拍手を送りたかった。素晴らしい彼女にも出会い、本当に幸せそうに見える。
一方、映画を観ながら、そんな彼がこの先どうなるかが、ちょっと気がかりだった。こんな冒険をしていたら「いつか墜落死するのでは」「その場面が映画に出てきたらどうしよう」とふと感じたことだった。(このドキュメンタリ映像には幸いそのようなシーンは無く、カタログを見ると「雪崩に巻き込まれ25歳で死亡した」ことが告げられていた。
〇 〇 〇
今年の暮れに、《垂直の記憶》の山野井泰史の映画が完成し、公開されるようである。今から見るのが楽しみで、待ち遠しい。
『 アルピニスト 』-公式サイト
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