この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「愛を読むひと」-甘いメロドラマではなく、シリアスな内容に圧倒される

2009-07-12 23:27:14 | 最近見た映画
          【2009年6月21日】 MOVIX京都

 アメリカ制作の映画ではあるが、内容的にはほぼドイツの映画である。

 原題は「The Reader」(朗読者)で、「愛」の言葉はない。日本の映画配給会社(?)は何とも、「愛」という言葉が好きなのだろう。日本語に置き換えられた映画タイトルやキャッチコピーに「愛」の字が氾濫している。そして何度かその「愛」にだまされ、映画の本題を見誤りそうになる。


 自分の生いたちと暗い過去を引きずった女性の苦悩と一瞬の輝きを描きながら、歴史の大きなうねりの中に置かれた個人がどう振るうべきか、いかに振るまえたか、そしてそれを誰がどのように評価できるか、様々な問題を提起している、実に深刻な内容の映画である。
 もうひとつは、人間の尊厳(ちょっと大げさな表現!)とは-その人が一番大切にしているもの、こだわっていることは人それぞれで、それこそ千差万別で他人が入り込む余地のないこと。個性といったり、ひとの価値観と表現したり、そうしたものがこの社会で絡み合って生活していて、それについて他人がとやかく言える筋合いのものではないこと、また自分の価値観を貫き通すということが今の社会では-いや近くない将来にわたって-非常に難しいということを、考えさせてくれる深刻な映画だった。


 この間、ナチスやヒトラーに関するドイツ映画を数本見たが、以前とちょっと様子が違うように感じる。ヒトラーは悪の権化で、ナチスは悪魔の装置のように一面的に描かれてきたものが、ドイツに限らず、ヒトラーとナチスに関する映画の傾向は確かに変わってきていると感じる。

 ナチスの構成員は一人一人の人間であるし、機械ではなかったはずだ。どこまでが罪でどこからが許されるのか! 


劇中、ハンナが「あなただったら、どうしますか!」という台詞(叫び)が印象的だった。


 ケイト・ウィンスレットも「タイタニック」よりずっと良かったが、レイフ・ファインズは「イングリッシュ・ペイシェント」にしても「ナイロビの蜂」にしても男の苦悩をにじませる、にくい役所ばかりをするのだろう。

  

  「愛を読むひと」-公式サイト

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