【 2016年10月23日 】
山行第一日目
am10:05 京都の自宅を車で出発-14:15平湯温泉「あかんだな駐車場」着-15:30上高地到着
-15:50「嘉門次小屋」を目指し歩き始める-(途中、小屋の車に拾われる)-16:20「嘉門次小屋」到着
今年の夏後半から9月の末まで、京都では日照時間の少ない日だ続いた。連日、梅雨空のように厚い雲に覆われ太陽を見ることが極端に少なかったのは全国的な傾向だったようで、当初9月の連休に予定していた四国への山行も、次から次にやってくる台風のもたらす悪天候で中止にせざるを得なかった。
10月に入り、紅葉の時期を迎え、晴れの日はないかと天気予報を注視するが《晴マーク》が続かない。ようやく10月の後半に、長野県地方で《晴マーク》が3日間続くのをみて、急遽目的地を「北アルプス」に変え、今度は地図とにらめっこをする。
涸沢や穂高の嶺には何度も行っているのと、この時期に急に思い立ち、やおら3000mを目指すのはしんどいと感じ、とりあえず『上高地』に入るなら、今まで1度も行っていない『徳本峠』に行ってみようと決める。そこからは、『霞沢岳』を往復し、余裕があったら『蝶ヶ岳』を回って下りてこようと、一応の計画を立てる。
○ ○ ○
日曜日の午前10時、大急ぎで準備した荷物を車に積み込んで自宅をひとりで出発する。名神で一宮ジャンクションまで行き、そこから東海北陸自動車道を行く。飛騨清見から高山までは新しい道路が整備され、あとは平湯まで急ぐだけである。
平湯の「あかんだな駐車場」には午後2時に到着。2時20分発のシャトルバスがあったが、車に放り込んだ荷物を整理して、山に持っていく物をザックに詰め、自身の身支度をするには時間がない。30分後の次のバスにする。
【「あかんだな駐車場」の紅葉 】
【 「中ノ湯」の信号待ち車窓から 】
【 上高地バスターミナル 】
上高地に着いたときはすでに3時半近くになっていた。「河童橋」を渡り、保守用の車道と並行して走る散策路を明神池に向かって歩くが、この分だと「徳本峠」の小屋まで日没前にたどり着くのは無理だと悟る。ちょっと計算が甘かったというか、いい加減な感覚できたことを後悔したがすでに遅い。
【 上高地の梓川 】
【 わずかに残っていた紅葉 】
明神池辺りに宿をとるなら「嘉門次小屋」にしようと思い、電話を入れたら、対応に出た男性が
「今どのあたりですか?」ときいてくる。上高地の河童橋を出たところとつげると、今から迎えに行くから、そこで待っていろという。
どうも、そのまま歩いたら、夕食の時間に間に合わないか、遅く到着されるのが都合悪いのかと思う。
【「嘉門次小屋」に到着 】
歩けば1時間ほどかかる距離を車に乗せてもらい10分ほどで着いてしまった。食事の時間を尋ねると、5時半という。それなら歩いても間に合う時間と思ったが、迎えに来てもらって悪い気もしなかった。今日の客はと聞くと、他に2組だけという。案内された部屋は8畳の広さで、宿泊者は自分一人だった。荷物を整理していると、
「お風呂に入ってください。」と言われる。一瞬、耳を疑ったが、ここは山小屋でも上高地だ。『そんなことありか!』と驚くやら感激するやら。たいして汗もかいていず、疲れてもいなかったが、気持ちのいい湯に浸かる。
【 山小屋で風呂にはいれるなんて幸せ 】 【 混雑時は20人も詰め込まれるだろう8畳間に一人だけ 】
【「嘉門次小屋」の夕食-岩魚の塩焼きは最高! 】
風呂のあとは、時間を計ったように食事の準備が整い、料理の並ぶ食堂へ。迎えに来てもらった意味を理解する。てんぷらはカラッと挙げられ、岩魚の焼き加減は絶妙! ふたたび、『ここは山小屋なのか!それとも宿なのか!』と感激。
【 囲炉裏端で酒を飲みながらのくつろいだひと時 】
消灯までには時間がまだまだある。囲炉裏端の部屋に行く。宿の主(嘉門次の孫にあたる人なそうな)と、その友で、個や周辺の登山道を整備しているという人が焼酎を美味しそうに飲みながらくつろいでいるところにお邪魔した。
せっかくだから、明日行くコースのことを尋ねる。道は悪くないが、峠の小屋から朝一番に出ても往復で最低8時間はかかるから、ここからでは難しいのではと、私の体力を慮って助言してくれる。
「地図上で感じるより、実際はけっこう起伏があって大変ですよ。頂上まで8つの登り下りがあるので。」
10時間以上かかるのを見ておかねばならし、日の暮れるのもここいらは早いから、遅くとも4時にはここをたたなければ間に合わない、と進言してくれる。はじめは半信半疑で聞いていたが、地図を改めて眺めているとやはりそのくらいかかりそうだ。
「頂上の手前に『K1』、『K2」というピークがあって、そこから穂高が上高地から見るのと同じように見えるので、そこまで行ったらいい。」とも話してくれた。
「無理はしないつもりです。時間をみて、行けるところまで行き、無理ならそこで戻ってきます。」とはいったが、出来たら『霞沢岳』の頂上まで行きたいと考えていた。
【 台湾からの変わった来訪者 】
途中から、地元の顔なじみと思われる女性と、別の若いカップルが囲炉裏端にやってきた。若いカップルの方に話を聞くと、何と『台湾から来た』と、片言の日本語でいう。
《外国人観光客》がどうしてこんな《マイナー》というか《特殊な》所に来たのかと尋ねると「私、日本語が分かりません。」と言いながらも、英語と日本語を交えながら説明する。その内容から解釈すると、どうも日本の友達に紹介された様だった。
そして、『山には登らない。明日成田から台湾に帰る。』ということだった。それにしても、それまで『四万十川や高知にも行きました。』という変わった旅行者だ。
私が『明日、山に登る』というと、目を丸くして驚いていたが、驚くのはこちらの方だった。
明日、早く立つからと告げて、8時過ぎ先に部屋に戻り、やはり「明日は、4時に立とう。」と思い、すぐに寝る。
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