【 2016年10月24日 】
山行第2日目
am4:10『嘉門次小屋」を出発-7:40「徳本峠小屋」着-8:05荷を軽くして小屋を出発
-9:27ジャンクションピーク-12:10「K1ピーク」の手前の鞍部で引き返す-16:36小屋に戻る
昨日、徳本峠まで行く予定が「嘉門次小屋」までしか行けなかったので、『霞沢岳』を往復する8時間に加え『徳本峠』までの2時間半を余計に見なけらばならなかった。日没までに小屋に戻りつくためには、朝食をとってからでは遅い。小屋の人の助言も聞いて、夜明け前の午前4時には出発する必要があると、あらためて感じながらさ昨夜は床についた。
○ ○ ○
早く起きなければと思いながら寝ていたので、早くから目が覚めた。さすがに2時に起きた時には早いと思い横になっていたが、3時半過ぎ眠れず暗い中、荷物をザックに納めはじめ出発の準備をする。
4時ちょうどに小屋を出ると辺りは真っ暗で物音ひとつしない。空を見上げれば満天の星が輝く。予報通り今日はいい天気になりそうだ。
ヘッドライトの灯りを足元に照らし、進む。周りの風景はまったくみえないから、記憶を頼りに進むしかない。時折灯りを前に向け目標のものがあるかを確認しながら前進する。
突き当たった道を左にとれば『明神橋』があるはずだと進む。月明かりにわずかに浮かぶ橋の影を認める。石の段差を登りライトを照らすと、確かに『みょうじんばし』だ。
【 真っ暗な中、「明神橋」に到着 】
橋を渡り、まっすぐ進むと『明神館』の建物があるはずだ。手探りで進む。ようやく、かつて通いなれた、上高地から徳沢園に至る遊歩道に出る。ここまでくれば後は道なりに進めばよい。
徳本峠への分岐点には大きな案内板がかかっているし、過去数十回と何度もその前を取っているから見逃すわけがないと、高をくくって歩き続けていた。漠然と明神からそんなに遠くはないはずだと歩いていたが、10分経っても15分経ってもそれらしき分岐点が見当たらない。20分ほどたったところで立ち止まりGPSの画面を覗いて見たら、とっくに《徳本峠への分岐点》を通り過ぎていた。せっかくGPSという文明の利器を持ちながら、それを使わないで勘だけを頼りに進んでしまったが、後の祭り。
【 「徳本峠」の分岐点 』
貴重な時間を40分余り無駄にしてしまった。改めて分岐点にきて案内板と大きな三叉路を見て、どうして見逃してしまったのだろうかと悔いる。
三叉路からはしばらく平坦な道が続く。足元は相変わらず暗いが躓く心配はないいい道だ。20分ほど歩いたところから徐々に傾斜がついてくるが急な登りではない。
5時50分、ようやくあたりが明るくなり山の姿も見えるようになってきた。同時に登りの傾斜も増してくる。
【 ようやく夜が明けあたりが明るくなる 】
6時10分、西穂の稜線をはじめ前穂・奥穂などの穂高の稜線が朝日に輝く。
【 朝日に輝く西穂の稜線 】
7時40分、徳本峠に到着。左の『霞沢岳』への道は取らず、まっすぐ小屋への道をとる。小屋に立ち寄り、今晩の宿泊の予約を入れておく。土日は満員で、予約がなければ下の「明神館」まで歩いてもらうこともあるそうだが、今日は少ないという。朝一番から、3、4人の人がすでに頂上に向かっていったいうことだ。
【 徳本峠に到着 】
「今日はどこからきて何時間かかったか。」と尋ねるので、少しさばを読んで「明神から2時間半くらい。」と答えると、それなら頂上に行って4時半までに帰ってくるのはちょっと難しいか無理かもしれない、という。どうして《4時半》という時刻を言ったかすぐには分からなかったが、「この辺は日の暮れるのも速いし、無理はできないから」と付け足す。
朝食のおにぎりをほおばりながら、再度時間の計算をする。無理とは言われたが、出来ることなら頂上を目指したい。8時間で何とかして行って帰ってこれないか算段する。
8時05分、ザックの荷物を減らして「徳本峠小屋」を出発する。
30秒ほど進んだところに「てんぼうだい」の看板。振り向くと、峠で見たのより若干視野の違う『穂高連峰」の姿があった。
【 小屋から30秒の「てんぼうだい」からの穂高連峰 】
小屋からは、今までよりはきつい登りが続く。道端を見ると霜柱が。もう冬が近いのかもしれない。
【 道端には霜柱の花が 】
9時27分、『ジャンクションピーク』に到着。登りとは言え、ちょっと時間がかかり過ぎかなと思う。
【 ジャンクションピークに到着 】
『ジャンクションピーク』を越え緩やかな下り道の途中から目的の『霞沢岳』が見えた。想像していたのと違い雄大な山だ。上高地側から見ると近すぎて山腹しか見えず、単なる通過点の《壁》にしか思っていなかった山は、こうして見ると存在感のあるいい山だと分かる。
【『霞沢岳』頂上と「K2」、「K1」ピーク(左から)】
頂上は無理でも「K1」まで行ったらいいという、そのピークも認められる。「よし、あそこまで行ってやろう」といきり立つ。
小さなアップダウンの続く道を進む。左手の視界が開け、遠くに『乗鞍岳』や『御嶽山』らしき姿が見える。
【 御嶽山と乗鞍岳(上)-遠望 御岳(下左)と乗鞍岳(下右)-拡大 】
しばらく景色を堪能した後、時間の計算をする。この時は既に『霞沢岳』の頂上はあきらめていた。せめて「K1」にはたどり着きたいと思っていた。しかしそれまでのペースと帰りの《疲労度》を考えると、12時が限界点だ。それ以上は越えられない。
時計を見ると10時半を過ぎているが、「K1」の姿はまだまだ向こうだ。
1つ峰を越え、最後の鞍部かと思ったら、また「K1」の手前に峰がある。昨夜の山小屋での会話を思い出す。《地図で見るより、思いも他上り下りが多いで・・》《頂上まで8つのアップダウンがあるから、思った以上に大変な山だから・・・》
【『六百山の向こうに穂高連峰 吊尾根 】
黙々と歩くが、なかなか「K1」に近づけない。タイムリミットの12時が近づいてくる。右手の木立の間から視界が開け、先ほどまで『穂高岳』の前に立ち塞がっていた『六百山』の上に、穂高がその姿見せるようになってきた。『六百山』が次第に下に下がっていくと同時に、穂高と吊尾根の姿が、『上高地』から見る形にだんだん近づいてくる。これをもっと下まで広げたら、それが『霞沢岳』からの穂高の姿なのか想像を掻き立てる。
【 西穂稜線 】 と 【前穂頂上 】
もう、『K1』は目の前だ。あとは急な斜面を登るだけだが、時計を見れば12時を1分すぎている。残念だが戻らなければならない。
【『霞沢岳』K1ピーク 】
【 六百山の向こうに槍沢と遠くに常念岳 】
思い切り当りの景色を写真に収めた後、12時8分無念の退却。
【『蝶が岳』と蝶槍 】
帰りの下りは、やはり膝の靱帯が痛みだす。やはり限界だったのかと思う。『ジャンクションピーク』からの下りがやけに長く感じる。午後4時半を回った。小屋まであと300mの札をみて安堵する。穂高の峰々に夕陽が映えきれいだ。
【 夕陽を浴びる穂高連峰 】
16時33分、小屋に到着。この日は結局、12時間以上歩いたことになる。
【 ようやく『徳本峠小屋』にたどり着く 】
夕食の前、600円の「エビス」を飲み、美味しい食事をいただく。
【『徳本峠小屋』の夕食 】
明日の天気は下り坂だ。『蝶ヶ岳』まで行くかどうしようか迷う。
【 2016年10月『徳本峠』へ(2)-『霞沢岳』を目指す(スライド上映)】
【 PA240154霞沢岳尾根から穂高連邦の映像-YouTubeで見る 】
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