この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「ダーウィンの悪夢」-悪夢のグローバリゼーション

2007-01-22 22:54:50 | ドキュメンタリー
2007年1月20日(土) 「京都みなみ会館」 

 3ヶ月前から、いつ公開されるのか待ちに待った映画がやっと京都にやってきた。何事も放っておいて見に行く。期待にたがわず、緊張と驚きの連続だった。

 
 アフリカのビクトリア湖に不用意に放たれた外来魚がもたらす衝撃的変化-生態系の破壊から経済の変化、それに伴う人々の意識の変化・生活スタイル変化を追う。

 ビクトリア湖はそれまで貴重な生態系を持っていて科学者から「ダーウィンの箱庭」とよばれ、宝のような湖だった。それが大型肉食魚である「ナイルパーチ」という外来種の放流により、多くの在来種が絶滅の危機に遭っているという。
 我が琵琶湖でも似たような状況が、「ブラックバス」によりもたらされていて他人事ではない。

 「ナイルパーチ」は、三枚におろしたものが食材として加工されとしてEUや日本に大量に輸出されているという。日本への輸出量がEUに次いで世界第二位というから、レストランの白身魚や近くのスーパーで売られた物を僕らも日常的に口にしているのだと思う。この国、タンザニアの第一位の輸出品であり、地元の漁師もそれなりの恩恵を受けているという。

 しかし儲けているのは一部の外国資本の業者だし、多くの国民は飢餓と貧困にあえいでいる。地元の人が口にできるのは、三枚におろした残りの頭と背骨と皮の部分である。
 しかも不衛生この上ない。先進国が当地の衛生環境に貢献したなどというが、ISOなどの国際規格は、自分らの安全を確保するための手段に思えてならない。

 以前、「バナナと日本人」(岩波新書)という本を読んだ。日本では、バナナはスーパーに行けば不自由なく買っていつでも食べることができる。しかし、外国資本の元で働く現地の人は、汗水垂らして必死に働き、大事に作るのに、決して自分らは口にできない高価なものだと知って、ぞんざいに食べる僕らが申し訳なく思ったものだった。

 食料を輸出する国が飢餓にあえぐ一方、援助物資が無造作に届く。食料ならまだしも武器も密かに運ばれているという。隣国のウガンダやアンゴラとの戦闘に使われたのではないかと疑われる。
「ホテル・ルワンダ」や「ナイロビの蜂」のシーンを思い浮かべてしまった。

 話の展開も、ストーリも特に巧みに組み立てられているという印象はないのだが、ドキュメンタリーというのはどうしてこんなに迫るものがあるか、不思議な興奮に自分でも驚いている。


 是非、観てください。


   「ダーウィンの悪夢」-公式サイト

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