この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「労働ダンピング」(岩波新書)

2006-12-03 21:18:46 | お薦めの本
 この間の雇用情勢の変化を如実に物語る統計数字に、

『1997年から2001年にかけて、正社員は170万人削減され、非正社員は200万人増えた』(同書、「はじめに」)

 というのがある。この数字を見るまでもなく、世間を見渡せば失業者があふれ大学の新卒でも半分しか就職先が見つからないという状況があったことは記憶に新しい。中高年はリストラされてしまったら、再就職先を探すのは至難の業である。
 
 失業率は改善した、景気は上向いているという政府の弁明に対しては

『ここ数年、失業率の若干の改善が指摘されてきたが、問題は増えた労働の「質」である。「食べていけない」「自立できない」「健康に生きられない」労働が増えることによって、いったい未来に何がもたらされるのだろうか。』(同)

 と、問題点をしっかり捉えている。「格差社会」という言葉は一般化され今では誰でも認識しているし、その手の書籍もたくさん出ている。
 前の首相は、「格差があって何が悪い!」と居直って見せたが、それに対しても、

『現代社会が直面しているのはただの「格差」ではなく、深刻な「貧困化」を伴うものであり、~(中略)~深刻な「貧困化」とは、いくら働いても自立して生きられない低賃金労働や、生活できる水準の収入を得るためには死ぬほど働かなければならない長時間労働の拡大である。』(同)

 と、痛烈な批判を返している。

 本編では、こうした認識を元にその原因がどこにあるか究明していくが、第一の問題は「雇用のされ方」=「労働の商品化」にあると、まずそこにメスを入れる。

 男女雇用均等法、裁量労働制、派遣労働、請負契約-これらは労働がダンピングされる切り札として作用してきた。

『安上がりな非正規雇用は、価格競争を通じて正社員労働者を駆逐していく。』

 まさに、「悪貨は良貨を駆逐する。」である。

『職場を厳しく変えてきた要因は、グローバル化と規制緩和である。』(同)

 と、著者は断言する。私も全く同感である。
 興味ある方は、是非本書を読んでほしい。

 NHKテレビでは以前「ワーキング・プアー」を放送したが、すごい反響ががあって、1400通を超えるメール類が届いたという。それもあって、12月10日(日)の晩に続編「ワーキング・プアーⅡ」を放映する予定という。前回は見れなかったので、今回は見てみようと思っている。


   「『労働ダンピング』(岩波新書)の紹介ホームページ」


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2 コメント

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久しぶりです (y-inosan66)
2006-12-11 11:12:26
若木さんへ
 コメント、というより懐かしい便り、ありがとうございます。
 今、家を直している関係で住所を変更しています。12/15(金)には元の家に戻るので正式な住所変更は出しておらず、郵便局に転送の届けのみしています。別便でメールします。
 コメントはちゃんと届いていますので、投稿できているっていうことですね。
返信する
私用 (若木嘉浩)
2006-12-10 19:24:38
すみません。
この本は読んでないのですが。
住所変わられましたか?
お知らせください。
返信する

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