朝6時前に起きて、荷物の最終点検をしたあと、7時にYさん宅へ向かう。これが1泊2日の行程の荷物かと思うほど、背中には25リットルザックに手には雑多なものを詰め込んだ大きな手提げ。
Yさんもすでに支度が整っていて、すぐに出発。地下鉄北山駅から竹田まで行き、そこで大阪出発組のツアーバスに合流。総勢45名ということで席はほぼ満席。登山に行く団体としては、女性も若い人も多い。子どもずれもおばあちゃんもいる。やっぱり、富士山は《一度は登ってみたい山》なのか、と思う。
途中2カ所ほどサービス・エリアに立ち寄り休憩する。双葉SAで昼食のあと一宮御坂ICを出て国道137号線御坂みちに入る。そこから御坂峠を越え河口湖に出る。空はどんよりした雲に覆われ富士山の姿は見えない。
富士スバルラインで富士山5合目まで一気に登る。
駐車場でバスを降りたら雨がぱらぱら降ってきた。傘を出すまでもないが、夕食と着替えに指定されたレストハウス「雲上閣」の軒下に入る。
ここで着替えを済ませ、要らない荷物を再びバスに戻し、あとは腹ごしらえ。夕食時間には早いが食べておかねば体力が持たない。
集合時間の4時40分に駐車場に集合する。女性の添乗員のほかに、「強力」(ごうりき)と呼ばれる山の引率者が集団のリーダーとして加わる。これから先は、この「強力」の判断一つで自分らの運命が決まる。
「強力」というから、ひげ面の頭に手ぬぐいはちまきをした怖そうなおじさんをイメージしたが、現れたのは山岳部風情の若い青年だった。
「強力」というのはもともとヘリコプターのない時代、山に荷揚げする、それこそ力持ちの運び屋だったはずで、ガイドの役割はなかったとと思う。喜ぶのはおばさんたちである。
その若きリーダーが空を時たま見上げながら、これから先の行程と行動に付いての注意を与える。「じゃー、出発しましょうか」というときに一瞬ピカッときて雨が降り始める。中止するのも決行するのもこの「強力」の判断一つである。連れて行きたいし、無理に連れて行って遭難でもしようものなら責任問題である。躊躇する様子が浮かぶ。雨がきつくなったところで、軒下に待避する。
幸いなのは彼一人だけでなく、同じようなグループがあって、広場には他に何組も同じように待っている。
30分ほど待ったあと、雨が小やみになったところで、全員カッパを着て出発する。
6合目までは、パラパラ降ってきたりあがったりで、カッパを脱ごうか着ていようか迷いながら進む。
と、「強力」が、「頂上が見えます」という。見上げると山小屋が連なったその祖気にそれらしき岩の縁が見える。(上の写真-晴天でこれは下山時に撮影したもの。往きは、背景の空がどんよりとした雲だった。)
「あれが頂上?」とYさんといぶかしがる。そんなに簡単に頂上が見えてしまったら調子が狂うというものである。
しかし、これが富士山である。アップダウンも木々も清流もない。ただ斜面が続くだけだある。
斜面に立つと、あの優美な富士の姿は見えない。どれがピークかもわからずのっぺらぼうの荒涼とした砂地の斜面だけである。
《登る山ではない、観る山である》
《 つづく- 『第3回』へジャンプ 》
Yさんもすでに支度が整っていて、すぐに出発。地下鉄北山駅から竹田まで行き、そこで大阪出発組のツアーバスに合流。総勢45名ということで席はほぼ満席。登山に行く団体としては、女性も若い人も多い。子どもずれもおばあちゃんもいる。やっぱり、富士山は《一度は登ってみたい山》なのか、と思う。
途中2カ所ほどサービス・エリアに立ち寄り休憩する。双葉SAで昼食のあと一宮御坂ICを出て国道137号線御坂みちに入る。そこから御坂峠を越え河口湖に出る。空はどんよりした雲に覆われ富士山の姿は見えない。
富士スバルラインで富士山5合目まで一気に登る。
駐車場でバスを降りたら雨がぱらぱら降ってきた。傘を出すまでもないが、夕食と着替えに指定されたレストハウス「雲上閣」の軒下に入る。
ここで着替えを済ませ、要らない荷物を再びバスに戻し、あとは腹ごしらえ。夕食時間には早いが食べておかねば体力が持たない。
集合時間の4時40分に駐車場に集合する。女性の添乗員のほかに、「強力」(ごうりき)と呼ばれる山の引率者が集団のリーダーとして加わる。これから先は、この「強力」の判断一つで自分らの運命が決まる。
「強力」というから、ひげ面の頭に手ぬぐいはちまきをした怖そうなおじさんをイメージしたが、現れたのは山岳部風情の若い青年だった。
「強力」というのはもともとヘリコプターのない時代、山に荷揚げする、それこそ力持ちの運び屋だったはずで、ガイドの役割はなかったとと思う。喜ぶのはおばさんたちである。
その若きリーダーが空を時たま見上げながら、これから先の行程と行動に付いての注意を与える。「じゃー、出発しましょうか」というときに一瞬ピカッときて雨が降り始める。中止するのも決行するのもこの「強力」の判断一つである。連れて行きたいし、無理に連れて行って遭難でもしようものなら責任問題である。躊躇する様子が浮かぶ。雨がきつくなったところで、軒下に待避する。
幸いなのは彼一人だけでなく、同じようなグループがあって、広場には他に何組も同じように待っている。
30分ほど待ったあと、雨が小やみになったところで、全員カッパを着て出発する。
6合目までは、パラパラ降ってきたりあがったりで、カッパを脱ごうか着ていようか迷いながら進む。
と、「強力」が、「頂上が見えます」という。見上げると山小屋が連なったその祖気にそれらしき岩の縁が見える。(上の写真-晴天でこれは下山時に撮影したもの。往きは、背景の空がどんよりとした雲だった。)
「あれが頂上?」とYさんといぶかしがる。そんなに簡単に頂上が見えてしまったら調子が狂うというものである。
しかし、これが富士山である。アップダウンも木々も清流もない。ただ斜面が続くだけだある。
斜面に立つと、あの優美な富士の姿は見えない。どれがピークかもわからずのっぺらぼうの荒涼とした砂地の斜面だけである。
《登る山ではない、観る山である》
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