令和2年7月13日(月)
脚 気 : かっけ(夏の季語)
ビタミンB1の欠乏症、肢のむくみや手足の痺れ
等の症状がある。
末梢神経を冒して下肢の倦怠、知覚麻痺、右心
肥大,浮腫を来し、甚だしい場合は心不全により
死亡することもある。
白米を主食とする地方に多発した。
江戸時代に「江戸わづらい」と言って多発した。
この頃からきちんと精米された白米を食べる様に
なり、米糠(ぬか)や麦に含まれるB1が不足した。
武士等の身分の高い人に多く、庶民の間に患者は
少なかった様である。白米が美味しく、オカズを
余り採らなかった事も要因している。
明治時代にも続き、この時代に「国民病」と言わ
れ、年間2万人もの死者が出たため、「伝染病」と
診断した医者も居た様である。
B1不足の原因には、「疲れやすい、イライラする、
気分がすぐれない等ストレスによるもの、飲酒過多
(お酒を飲むと沢山のB1が消費される)によるもの
等がある。
B1を多く含む食物は、豚肉、玄米、麦とその製品
(蕎麦、饂飩、パンなど)大豆(枝豆)、たらこ、
うなぎ等がある。
鰻丼、
蕎麦
夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」の中に
「脚気」の記述が在ったので紹介したい。
脚 気 (三夏、人事)
「小学校に入って直ぐの内科検診での出来事、、、
、、、、途中省略、、、、
「もう一回きちんと座って」と看護婦さんに促され
た。うなづいて座りなおしてみると、目の前のお医
者さんが手にしているのは、村祭りの時に来る、飴
屋のオジサンが持っている様な小さな金槌。
打腱器
アレッと思う暇もなく、その金槌は私の脛(すね)に
降り下ろされた。アーットいう間もなく、ぶらんと垂
れていた私の脚は、私の意思とは無関係にピョコーン
と跳ね上がった。アーットと思っている間に「ハイッ
いいですよ」と、初めての内科検診は終わった。
教室に戻ってみると皆が騒いでいた。友達のハルさん
が「私あんなに脚が撥ねたけん、病気かも知れん」と
言い出した。「俺もはねた」「私も病気かも知れん」
と皆がまた騒ぎだした。 するとトヨ君が嬉しそうに
「ワシ何もはねんかった」と言い出した。 子供心に
目立ちたくて言ってみただけだったのか、本当に脚気
だったのか、真相は分からないが、脚気という言葉に
出会うたびに、トヨ君のあの見事な青っ鼻を懐かしく
思い出す。(夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より)
今日の1句(俳人の名句)
年々にそれとも言はず脚気かな 皆吉 爽雨
あなどりて四百四病の脚気病む 松本たかし