遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

脚 気

2020-07-13 16:02:19 | 日記

令和2年7月13日(月)

脚 気 : かっけ(夏の季語)

ビタミンB1の欠乏症、肢のむくみや手足の痺れ

等の症状がある。

末梢神経を冒して下肢の倦怠、知覚麻痺、右心

肥大,浮腫を来し、甚だしい場合は心不全により

死亡することもある。

白米を主食とする地方に多発した。

江戸時代に「江戸わづらい」と言って多発した。

この頃からきちんと精米された白米を食べる様に

なり、米糠(ぬか)や麦に含まれるB1が不足した。

武士等の身分の高い人に多く、庶民の間に患者は

少なかった様である。白米が美味しく、オカズを

余り採らなかった事も要因している。

明治時代にも続き、この時代に「国民病」と言わ

れ、年間2万人もの死者が出たため、「伝染病」と

診断した医者も居た様である。

B1不足の原因には、「疲れやすい、イライラする、

気分がすぐれない等ストレスによるもの、飲酒過多

(お酒を飲むと沢山のB1が消費される)によるもの

等がある。

B1を多く含む食物は、豚肉、玄米、麦とその製品

(蕎麦、饂飩、パンなど)大豆(枝豆)、たらこ、

うなぎ等がある。

鰻丼、

蕎麦

 

夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」の中に

「脚気」の記述が在ったので紹介したい。

脚 気  (三夏、人事)

「小学校に入って直ぐの内科検診での出来事、、、

、、、、途中省略、、、、

「もう一回きちんと座って」と看護婦さんに促され

た。うなづいて座りなおしてみると、目の前のお医

者さんが手にしているのは、村祭りの時に来る、飴

屋のオジサンが持っている様な小さな金槌。

打腱器

アレッと思う暇もなく、その金槌は私の脛(すね)に

降り下ろされた。アーットいう間もなく、ぶらんと垂

れていた私の脚は、私の意思とは無関係にピョコーン

と跳ね上がった。アーットと思っている間に「ハイッ

いいですよ」と、初めての内科検診は終わった。

教室に戻ってみると皆が騒いでいた。友達のハルさん

が「私あんなに脚が撥ねたけん、病気かも知れん」と

言い出した。「俺もはねた」「私も病気かも知れん」

と皆がまた騒ぎだした。 するとトヨ君が嬉しそうに

「ワシ何もはねんかった」と言い出した。 子供心に

目立ちたくて言ってみただけだったのか、本当に脚気

だったのか、真相は分からないが、脚気という言葉に

出会うたびに、トヨ君のあの見事な青っ鼻を懐かしく

思い出す。(夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より)

 

今日の1句(俳人の名句)

年々にそれとも言はず脚気かな     皆吉 爽雨

あなどりて四百四病の脚気病む     松本たかし