2年近く前に買った本。
昨夜、なんだか眠れなかったので、夜中から朝方にかけて一気に読んでしまった。
早野龍五氏は東大の教授。原子力発電が専門ではないが、事故後、現状分析と情報発信を行ってきた。
糸井重里氏は言わずと知れたコピーライター。「大切な判断をしなければいけないときは、必ず科学的に正しい側に立ちたい」という考え
(ちなみに、本の中で早野氏は「科学も間違う。ニュートンにもアインシュタインにも間違いはあった」と糸井氏に言っている)。
この本はお二人の対談集である。
知ろうとすること。 (新潮文庫) | |
早野龍五 糸井重里 |
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新潮社 |
原発事故後、福島県の放射線量を気にされている方には是非読んで欲しい。
何が安全で何を恐れるべきなのか、早野氏が中立的なスタンスで冷静に科学的に分析した結果を教えてくれる。
気になったところに付箋紙を貼っていったらこんなになってしまった。
ピンクの付箋紙は早野氏の発言、黄色は糸井氏の発言である。
一部引用すると、
糸井 「わからないから怖い」って不安に思っている人ほど、新しい情報に対してオープンじゃなかったりしますよね。「触らぬ神に祟りなし」って感じで近寄らないようにしてたり、「何が何でも放射線はゼロにしてくれ」って、耳を塞いで言い張ってたり。地球のどこかにいる限り、放射線量はゼロにはできないのに。
早野 ああ、たしかにそうですね。「知らない」とか「わからない」っていうよりも、古い知識で止まっちゃってる。
という感じ。
早野氏はツイッターで多くの情報、分析結果をつぶやいている。それに対して批判する人も多い。
曰く「御用学者」。肝心な情報を隠蔽して国民を安心させようとしている、という主張なのだが、批判している内容の文章には根拠が乏しいものがほとんど。全く根拠がない感情的なものも多い。
いちいち反論する価値もないような批判文章だ。
表紙の写真は著者ふたりと福島高校の生徒。福島高校の生徒三人はCERN(ジュネーブにある欧州原子核研究機構)に行って英語で研究発表を行い、英語で質疑応答した。
頼もしく誇らしい若者たちだと思う。