アウシュビッツ収容所と壁1枚を隔て、隣に住む家族の話です。
その家族は川辺で遊んだり、綺麗に整備された庭の花を愛でたり、プールで遊んだり、牧歌的に過ごしています。
素敵な妻、元気に学校に通う子ども。幸せを絵に描いたような家族。
しかし、夫は収容所の責任者で、どうやったら荷(ユダヤ人のこと)を簡単に処分できるか、自宅でナチスの幹部と会議をしたりしています。
映画は強制収容所の中には触れず、淡々と暮らす家族を映します。
煙突から出る黒い煙、炉か何かの重低音、腐臭、時には銃声もある中で、家族は何も起こっていないような安穏とした生活を続けます。
今でも世界では戦争や虐殺、ジェノサイドがあります。監督はそれを見てみぬふりをしている私たちに向けて、メッセージを送ったのでしょう。
ホロコーストを風化させないという意図もあったと思います。
私たちの関心領域を測られているような映画でした。