目指せ!ゼロウエイストな暮らし

モノを減らして、ゼロウエイスト。田舎でイラスト描いて暮らしています。

原発を拒んだ町ー巻町の民意を追うー

2016年09月08日 | おすすめ本
原発建設の是非を問い、全国初の住民投票が行われた町・新潟県巻町。
その当時の様子を追った渾身のルポタージュです。

住民投票の結果を知っているので(投票率88%中、原発建設反対が60%以上の圧倒的な結果だったそう)
安心して読めるのではないか、と本を開きました。

印象的な文章が随所にありました。
結局のところ、それは、偽りのない生の「人の声」に起因するのだと思います。


●「親がぜいたくざんまいをした後始末を子どもがしている。
それが良くできないとまた親が責める。
この親とは誰か。
子ども(町民)が知らないうちに親は勝手なことを決めて、子どもを身売りしようとした。
人はすぐに忘れようとする。
町民は住民投票の意味を忘れない様努力しなければ」

アンケートでの声(40代農林漁業・女性(反対))


まちづくり旧来型の住民参加というのは、集められて発信して、はいおわり。
しかも声が反映されたかも知らされない。
これじゃハートもこもらない。
『情報開示、オープン参加、認識の共有、プロセスの重視、楽しさ、ゲーム感覚、少数意見の尊重…』
進行役の役割は、『無理にまとめようとせず、影のように寄り添うこと』


(これは、パブコメをだす時なんかに感じますね…)

●住民は役場や議会が意見を吸い上げるのを待つだけでなく、
町民サイドから提言していくことも必要だ。
役場、議会、町民それぞれが双方向で情報提供、提言ができるような仕組み作りができれば
町が変わっていく。



●(巻のまちは)「顔がみえない」といわれる。
「従来、巻といえば原発。
原発のカネさえくれば何とかなると内発的な地域づくりを怠っていた結果だ」と指摘する」



地域づくりは結局、自立人間をどれだけつくりだすことができるのか。
そのための場、仕組みづくりが必要。
開かれた議論を進めないと、盛り上がった町づくりの気運がもったいない。



表紙は暗いかもしれませんし、希望に満ちているわけではないけれども、
それでも、一筋の光が見える一冊です。
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