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遺品整理の中で

2013-08-22 21:41:00 | ノンジャンル


遺品の整理というのは、その人が生きてきた痕跡をどんどん消していかざるをえない作業だとしみじみ思う。
しかし、親戚とやりとりしていた手紙類など、その相手も高齢でいつこの世からいなくなるか分からないと思うと、簡単には捨てられなかったりするものだ。
自分の仕事用と母専用になっていた固定電話回線についても、母の使っていた回線を解約することを一周忌を過ぎてもまだ迷っていた。
理由の一つは、消息の分からない父方の伯母がいることだった。
若い頃に家を飛び出して長年行方不明だった伯母の消息が一旦分かったのは、父も祖母も叔母も亡くなって父の兄弟は伯父が一人残るのみとなった80年代終わり頃のことだったと思う。
岩国市役所から突然来た通知は、生活保護申請をされたご兄弟に援助が可能であるか?というもので、亡くなった父の名前宛で来たのだった。
役所が戸籍を辿って兄弟全員、すでに他界している者にも通知が来たが、母にとっても義理の叔父にとっても、一度も会ったことのない義理の姉への定期的な援助は引き受けがたくお断りして、しかし以来我が家は母が年賀状のやり取りだけはしていた。

そして、一度も結婚せず子供もおらず身寄りのない伯母は、うちの妹の結婚や出産を知らせる母からの便りにとても喜んでくれていたようで、いつか会いたいと、妹の子供の誕生祝なども送ってくれたものだった。
その伯母と連絡を絶つことになる出来事が、5年前にあった。
金銭がらみのことがらで、潔癖症の母には許せないことであり、いくばくかを送り返済無用だがもう連絡しないで欲しいと書き送ったような話を当時聞いた。
年賀状のやり取りも、それで途絶えた。
しかし、昨年母が他界しその知らせだけはしておきたいと私は考えて、年末に喪中葉書を出したものの、宛所不明で戻って来た。
90歳近く体の具合も思わしくない伯母であるから、もう他界しているのかもしれない…と思いながら、何かあった時には市の福祉課から連絡がある可能性も頭をよぎり、消息が分かるまでは母の電話番号を生かしておこう・・・という考えもあり先延ばしにしていた。
一周忌を目処にと思いながらなかなか腰が上がらなかったが、先日ようやっと岩国市役所に問い合わせたところ、直系親族でないと以前の住民票から転居先を知ることは出来ないということで、本籍地の福山市役所に伯母の生死の確認のため戸籍を取りたいと問い合わせると、それも私は直系ではないので微妙なケースだったようだが、担当者が調べてくれて、筆頭者の祖母からは直系になるのでお出しできますという返事をもらい、申請を出した。
ちなみに、祖父は戦前に亡くなっているのでその後の戸主は伯父で、戦後の新戸籍で祖母が筆頭者になっていて、その流れは父の他界後相続手続きの時に知ったのだった。

昨日、除籍謄本が届いた。
伯母は昨年6月、うちの母のわずか2週間あとに、他界されていたのだ。
死亡地は岩国市のお隣の町。
届出人は家屋管理人となっており名前が記されていたので、その名を検索したところ病院の院長だった。
この5年の間にいつかその病院に入り、最後は身寄りのない人として岩国に埋葬されたのだろう。
伯父は80年代の生存中に一度会ったらしいが、その伯父が他界後は義理の伯母は夫側の親戚付き合いを拒んでいたため私も今の連絡先を知らない。
本来なら祖父母の眠る福山の墓に納骨してあげられれば良いのだろうが、それも叶わない。
一度も会ったことのない伯母だし母にとっては付き合いを絶った親戚だけど、母がいなくなった今、生きていて居所が分かるなら連絡を取ってみたいということもこの一年の間にちょっと考えたのだが、遅かったです。
一年以上の時が過ぎてしまったけど、どうぞ安らかにお眠りください。
何もしてあげられなかったけど、消息を辿ろうと考えたのも親戚の中では私だけだったし、調べて従姉や義理の叔父に伝え一つ区切りを付けることが自分の役目だったのかと思います。

これで、いよいよ母の固定電話も解約するけど、やはりなんとも寂しい気持ちだ。
私が10歳の時からの家電話、家族の歴史が刻印されたような番号だから。
でも、いつまでも無駄に2回線引いていてもしようがないし、自分の仕事で10数年使ってきた番号の方を生かしていくしかない。
前を向いて行かなきゃね。

写真の一番右が父、その隣が昨年亡くなっていた伯母、その隣が祖母です。

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