横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、不登校になった息子の教育方針をめぐり妻と衝突を繰り返し
ている。広島のショッピングモールで契約社員として働きながら実家で代わり映えのない日々
を過ごす桐生夏月は、中学の時に転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る
大学のダンスサークルに所属する諸橋大也は準ミスターに選ばれるほどの容姿だが、心を誰
にも開かずにいる。学園祭実行委員としてダイバーシティフェスを企画した神戸八重子は大也
のダンスサークルに出演を依頼する
性欲の発音で正欲。正しい欲って何?という話でした。この作品に出てくる標準から外れた
性欲は「水フェチ」です。噴水やら、水しぶき、壊れた蛇口、滝を見て、登場人物達は何やら
喜びを感じているらしい。只、それが性的なエクスタシーである事はすぐには私には伝わ
りませんでした。そしてそのような性癖を登場人物(新垣 由衣・磯村 勇斗)はひた
隠しにします。ポイントは、彼らは生身の人間には何も感じない事 彼らは誰からも理解
されないだろうという理由のみで、生きる意味を失いかけています。ただ外からは、ただ
水遊びの好きな大人達にしか見えません。そしてもう一つの物語が絡みます。不登校の子を
抱えた夫婦 不登校の小学生と母は学校に通わないでも生き生きと生きて行ける道を何とか
探ろうと試行錯誤をします。しかし検事である父(稲垣 吾郎)は世間の常識を振りかざし
てその試みを否定します。父のいうことは至極真っ当なのです。(多分私もそうだと思う)
そして水フェチの主人公たちは、あるわかりやい性的逸脱の事件に巻き込まれて逮捕されて
しまいます。先の検事の父と、水フェチの主人公たちはここで接点ができます。
主人公たちはそこで自らの本当の性的指向を無視されるのです。
最後に最も真っ当であった検事の父が、最も人生が阻害された人物である事が浮かび上がる
(アブ)ノーマル・・・どれが普通で、どれが普通じゃないのか。
ホントに、難しいテーマでした。 ☆☆☆