今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

喜劇王、エノケンの誕生日

2005-10-11 | 人物
今日(10月11日)は 、「喜劇王、エノケンの誕生日」。
今日は、大正から昭和初期にかけて下町浅草から有楽町日劇に至るレビュー式喜劇で一世を風靡した喜劇王、エノケンの生まれた日。【1904(明治37)年10月11日生~1970(昭和45)年1月7日没。】東京生まれ。1929(昭和4)年、浅草の「カジノフォーリー」に参加。小さな体でスピーディーな動きとアドリブのギャグ、愛敬のある表情でたちまち一座の人気者となり、この頃よりエノケンの愛称で親しまれた。
 1932(昭和7)年に、エノケン一座を結成、1934(昭和9)年にはPCL(現東宝)と契約、映画「青春酔虎伝」に初出演して一躍人気スターとなる。以後「ちゃっきり金太」「法界坊」「猿飛佐助」「孫悟空」などに主演、一世を風靡し、舞台へも進出して、喜劇界の中心人物となった。戦後、映画、有楽座や帝劇でのミュージカルなど多方面で活躍。1962(昭和37)年には脱疽のため右足を切断したが、義足をつけて見事に再起した。1968(昭和43)年まで日本喜劇人協会会長をつとめた。
昨年は、エノケン生誕100周年の歳に当たっていたので、あちこちで、記念行事が行われていた。又、NHKの衛星第2TVでも、エノケン特集があり、「エノケンのチャッキリ金太」「エノケンの近藤勇」「エノケンの孫悟空」「エノケンの法界坊」「エノケンの怪盗伝 石川五右衛門」が放映された。このうち、「エノケンのチャッキリ金太」と「エノケンの孫悟空」は、前に、NHKで、放送された時にビデオにも撮り、見ていたが、面白かったので、又、後日見ようと録画もし直しておいた。時代劇のチャッキリ金太も面白かったが、なんと言っても、「エノケンの孫悟空」が面白かった。
太平洋戦争の始まる直前の1940(昭和15)年に公開された作品であるが、そんな時局の暗さなど微塵も感じさせない、明るく、そして、スピード感とモダンさを併せもったミュージカルコメディの傑作である。エノケンの孫悟空が、如意棒を振って「イー、リャン、サン」と呪文を唱えると、パッと飛行機やマシンガンが出てくるなど、時代考証はメチャクチャの何でもアリである。しかも、ホウレン草の缶詰を食べると例のポパイのテーマが鳴り響いて力が湧いてきたり、三蔵法師一行が「星に願いを」の歌にのって案内されたのは、ディズニーの「白雪姫」や「眠れる森の美女」をイメージした妖精の国だったりとパロディ感覚も抜群。この映画は、エノケンの孫悟空が金斗雲ならぬ飛行機に乗って、八戒、沙悟浄と歌いながら飛び回るミュージカル・シーンや、金角・銀角の巣窟が科学的なメカニズムを持った要塞になっているというSF仕立てなど、あの円谷英二の第一作となる特撮コメディ大作でもある。
兎に角、このような時代に、よくこれだけの作品が出来たな~と、本当に感心させられた。ただ、以前のNHK総合TVで放映されたものの中で、去年の100周年記念再放送分に「エノケンのお染久松」がなかったのは、一寸、残念。エノケンの久松と笠置シヅ子のお染の掛け合いは、本当に楽しいミュージカルであった。
今、これだけ音楽全盛の時代になっても、余り、日本で作った楽しいミューカルなど見られない。
エノケンのことを、喜劇役者と言う人がいるが、彼は、ボードビリアンである。ボードビリアンとは歌・踊り・寸劇・軽業などをこなすお笑い芸人のことであるが、この言葉は最近ほとんど使われず、みんなコメディアンと呼ばれるようになった。今は、ボードビリアンと自称するほどの、多芸多才な芸人がいなくなったためである。寂しいものだ。いや、昨今は、芸人のことを「芸能人」などと呼ぶが、いつかの朝日新聞の「天声人語」に面白いことが書いてあった。「芸能人、能ががついて、芸がなし」・・・よく言ったものだ。それまでの芸を売り物にする「芸人」」に「能」の字がついて「芸能人」などという聞こえの良い呼び方になったが、肝心の芸がないという皮肉だ。それも、最近では、「タレント」などとカタカナ語の洒落た言い方をするが、その実態は・・・。これ以上書くのはよそう・・・・。
(画像は、エノケンと“東京喜劇”の黄金時代 。論創社 、03・10・20出版,東京喜劇研究会【編】)
参照:
インターネット日活映画友の会 - エノケン生誕百周年記念企画
http://tokyo.cool.ne.jp/nikkatsu/enoken/enoken.htm
榎本健一出演映画
http://www.jmdb.ne.jp/person/p0042810.htm
エノケン(1904-1970)エノケンの生まれて死ぬまで・・
http://www.ffortune.net/social/people/nihon-today/enoken.htm