今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

シートンの忌日

2005-10-23 | 人物
今日(10月23日)は「シートン」の忌日
1946年10月23日は シートン、( 英・博物学者,作家<86歳>)の忌日。
シートンの名前は、日本では『動物記』の著者としてよく知られており、子どものころに「オオカミ王ロボ」(原題は『カランポーの王者ロボ』)を本で読んだり、映画を観た人は多いのではないか。シートン (Ernest Thompson Seton )は、1860年、イギリスのサウス・シールズ生まれ、6歳でカナダ・オンタリオ州に移住したが,トロント周辺の当時の未開の白然が彼の後年に大きな影響を与えたようだ。16歳で画家を目指し独りイギリスへ渡る。1881年、ロイヤル・アカデミーの特別奨学生となり絵を学ぶ。1892年より5年間マニトバ州政府の博物学者となるが,その間ニューヨーク,パリで挿絵や絵画の修行をつみ,博物学専門書2冊を刊行する。そして1896年より米国に永住。38歳の時に20冊を優にこえる動物物語をまとめた本を出版、その本『私が知っている野生動物』がベストセラーとなった。シートンは、博物学者・挿絵画家としての仕事に加え、動物記の出版の他、米国ボーイスカウトの育成とインディアンを手本とした山林生活法に関する10数冊の手引書の出版もしている。
動物の観察記では、有名なファーブルの「昆虫記」も有名であるが、シートンの「動物記」は、アメリカの荒野を舞台に活動した動物記だけに、「昆虫記」とは違う壮大な動物記である。そして、動物を人間のように描いている。オオカミ王ロボとか、捕らわれるより死の自由を選び谷に飛び込み自殺した野生の名馬(だく足の野生馬=マスタング)の話とか、多くのヒーローの物語がある。それらのヒーローの多くは悲劇のヒーローであったが、雄大な自然の中で、実に誇り高い姿で生きていた。シートンの動物記「私が知っている野生動物」の中で、シートンは言っている「これらの物語の結末がすべて悲劇で終わっているということは、物語が真実を語ったものだという、何よりの証拠である。なぜなら野生動物の最後は常に悲劇的な終局を迎えるものだからである。 」・・・と。 
シートンの出世作「動物記」。この『動物記』というタイトルは、内山賢次がわが国に紹介した時につけたものだそうだが、その少年少女向きシリーズ物の第1巻のタイトルとなり、冒頭を飾っていたのが『オオカミ王ロボ』である。ロボ一味が農場を荒らし回って被害が大きく、莫大な懸賞金がかけられ、各地からオオカミ狩りの名人が続々とやってくるが、頭が良く力も強いロボは人間が考えたどんな罠にも、かからなかった。そして、ついにシートン自身がロボとの戦いに乗り出す。シートンも毒えさや罠を使ってロボと対決するが、最初は失敗が続く。しかし、動物の習性を知っているシートンは、先ず妻のオオカミ「ブランカ」を捕らえることに成功する。その悲しみに怒り狂ったロボは、妻を助けようとして、とうとう罠にかかり捕らえられてしまうのである。
捕らえられたロボは、もう助からないと悟ったかのように決して吠えたりもしなかった。そして、人間が与えた水や肉には見むきもせず、谷の方をじっと見つめたまま、オオカミ王らしく、静かに死んでいった。迷惑を被っている牧場の人達のことを考えると、めでたい勝利ではあるものの、可愛そうな気もするよね~。この作品だけに、作者のシートン自身が登場するが、他の『動物記』には、登場していない。
最近、山に餌の胡桃がなくなった熊が人里へ出てくる話が、話題になっている。神戸のような都市部でもで、六甲山系に住んでいる多くのイノシシが食べるものを求めて街に出てきて住民が襲われたりもしている。今、地球上は、人間の都合による環境破壊により、ますます、動物が生きていく上で必要な自然環境が失われつつある。そのため、野生の生き物と人との生きた付き合いが出来なくなってきているのだが・・・。今日のような日に、シートンの動物記などを再読して、自然や環境、そして命の大切さなどの問題を考え直すのも良いのではないだろうか・・。
(画像はシートン動物記(1)出版社: 集英社)
参考:
学習漫画 世界の伝記・シートン 「コランポーの王」
http://kids.shueisha.co.jp/world/books/preview/040201book/p01.html
芦屋市立図書館に保管されているシートンに関する蔵書
シートンに関する本
散歩道』資料館
http://www2.odn.ne.jp/gauche/siryou/index.html
内山賢次の訳業
http://www.jscl.internet.ne.jp/jscl/record/regular/regular_23.html
内山賢次の翻訳意識
http://www.jscl.internet.ne.jp/jscl/record/regular/regular_31.html