櫛木理宇の小説「死刑にいたる病」を「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が
映画化したものです。
【あらすじ】
大学生・雅也(岡田健史)のもとに連続殺人事件の犯人・榛村[ハイムラ](阿部サダヲ)から
1通の手紙が届きます。
彼は自分の犯行を認めたものの、一件は自分が犯人ではなく、他に真犯人がいるので
調べるように雅也に頼みます。担当弁護士の佐村(赤ペン瀧川)に資料を見せてもらった
雅也は、独自に調べ始めるのでした。
榛村は狙いを定めた相手と信頼関係を作ったのちに誘拐し、拷問の末殺害する
サイコパスなので、雅也も相手にコントロールされることを警戒して接しますが、
犯行に関することは榛村しか知らないことが多いので、彼の話をもとに動かざるを
得ません。そのため雅也は自分の知らなかった母親の過去などを知ることとなり、
自分に関する事柄で動揺することになるのでした。
【感想】
何かと思い詰める役の多い阿部サダヲさんですが、本作ではサイコパス役がハマっていました。
岡田健史さんが、相手に翻弄される純情な大学生をうまく演じています。
最後のところで思いもかけない相手が、榛村の影響を受けていた事がわかり、
その後のことが気にかかる終わり方になっていました。
榛村がサイコパスになった背景や、その後にいろいろな人に影響を与えるところが
描かれているところは、様々な犯罪や障害に成育歴の影響が大きいことが知られる
ようになってきたからでしょう。
岡田健史さんのイケメンぶりが際立っていましたが、最初は地味に見える宮崎優さんが、
物語が進むにつれどんどん魅力的に見えてくるのは、監督の演出と本人の演技が
上手かったからでしょうか。今後が期待できる役者さんたちでした。
それにしてもこのような他者に対する不信に満ちた映画が作られ、評価されるようになった
時代というものを考えさせられました。