ホメロスが叙事詩で描いている紀元前10世紀以前の人にとっては、様々な行動や自然現象が
神々が原因として起きるものだったというのは現代人の物事の捉え方とかなり違いますが、
ユング派分析家で精神科医の故・織田尚生氏の著作によると、幼稚園から小学校低学年くらいまでは、
描画の際に複数の太陽を描くことは珍しくないとのことです。
現代人でも、そのくらいの年齢までは、自己意識が希薄なので、様々な行動の原因は、
自分の内にあるのか外にあるのかなどが曖昧なのかもしれません。
統合失調症の描画を用いた面接治療でも、治療が進展するにつれ、患者さんが複数の太陽を描き、
その後に単一の太陽を描くとのことです。
絵画の『叫び』で有名なノルウェーの画家ムンクが、精神的に病み、その後に太陽壁画を描いた頃から安定したことも
故・宮本忠雄氏などの様々な研究で取り上げられています。
現代人が一つと捉えている個人の心や、その投影としての一つの太陽というものの意味を考えさせる事柄です。
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