世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

出雲村田製作所 工場用地取得協議開始

2024-01-24 08:44:37 | 村田製作所とTDK

今月20日であったろうか、地元の山陰中央新報紙がどうもスッパ抜いたようだが、島根県東部というか東端の安来市に20haの工場用地買収交渉開始したとの報道である。操業開始は2030年、開始時の雇用者数は200-300名で、将来的には1000名とのこと。

OBではあるものの、既に定年退職し15年が経過しており、安来市に決めた経緯は不祥である。

出雲村田製作所の従業員数は、約5400名で構内外注を含めると約8000名弱かと思われる。出雲市に生産が集中するのを避けて、危険分散する意味合いがありそうだ。OBと島根県人である小生からしてみれば、喜ばしい出来事であるが、何か違うだろうとの感じがしないでもない。

能登半島地震で穴水と輪島の事業所再稼働は、5月以降にズレこむと云う。能登半島地域は、村田製作所にとって圧電部品とフィルター類の集積地である。危険分散が先である。早急に検討されることを望みたい。

尚、当該ニュースについては、ココ参照願いたい。

 

<了>


MLCCを攻める村田製作所

2023-12-28 08:48:46 | 村田製作所とTDK

話が古くて恐縮ですが、過日村田製作所のHPをみていると、北陸新幹線越前駅前に用地を買収して研究センターを建てると云う。投資額は350億円とのことココ参照

村田製作所HPより転載

退職したのは、15年前とは云え当時の内情を全て記載することはできないが、過去の話を記してみる。

MLCCの商品開発は、村田製作所本社部門というより福井村田製作所が担っていた。生産技術は本社生産技術部門と福井村田製作所生産技術部門、出雲村田製作所生産技術部門で行い、テリトリーは厳然としていたわけではなかったが、本社は主要工程の設備群開発と量産、福井村田製作所は工法開発と試作機開発 、出雲村田製作所は補助工程の設備関連 、Hi Voltage MLCCの工法開発と試作機開発であった。但し現在はどうなっているか知る由もないが。

その福井村田製作所に研究センターを建設するとのこと。いよいよ商品開発と工法・設備開発に本腰を入れるものと考えたい。福井県人はアイデアをものにするのに長けており、その成果に期待している。今後を見据えれば、少子化で生産性向上が不可欠である。生産性向上の画期的な工法開発が進むことを期待している。

現在の世界シェアは42-43%程度と思われるが、それを盤石なものにして欲しい。

今年も認証取得の為のデータ不正改竄 、出荷検査データ捏造事件が続いた。世界の先端を走る電子部品業界で、このようなことが発生すれば、日本沈没に拍車がかかる。業界関係者、特に経営者層の自覚を求めたい。

<了>


村田製作所の中国増産投資が非難されていると云う

2022-11-12 07:18:14 | 村田製作所とTDK

土曜日のブログ記載はお休みしているが、あまりにも馬鹿げているので記事にした。先ずココをご覧願いたい。

”経済安保”なる文言を錦の御旗にして、村田製作所の中国投資は、それに反していると宣う。批判する人々は、言葉遊びしているのか、それとも”経済安保”の何たるかを理解せずに批判しているのか、それとも単なる妬み、嫉みなのか。

村田製作所のMLCC国内生産比率は60%を超えている。海外売上比率が90%を超えている中での60%超えである。いわんや中国での生産比率は僅か10数%である。

TDKはじめ国内同業の国内生産比率は、僅か2割から3割である。既に昨日updateしたが、過去に出雲村田製作所、Murata Electronics Thailandへの投資も発表している。何が問題だと云うのだ。

”台湾有事”の際、サプライチェーンが崩れるとの”経済安保”論のようであるが、何がどう崩れると云うのだ。国内生産比率は60%を超え65%にもなっている。

村田製作所は台湾中部の台中にも工場を設立し、彼の地のセットメーカーにMLCC等の電子部品を供給している。

根拠の無い批判には、反論する必要もないが、”経済安保”論を持ち出されれば黙っている訳にいかない。何かを批判しようとすれば、冷静に周囲を見渡しておこなって欲しいものである。多分無知の輩と付和雷同人間の仕業と思われる。

<了>


攻める村田製作所

2022-11-11 09:09:40 | 村田製作所とTDK

このところ(株)村田製作所の工場増設Newsが相次いでいる。いずれもMLCC(積層セラミックコンデンサー)の工場建屋である。先日(11月7日)には、無錫村田電子有限公司第2プラントへ工場建屋を増設(ココ参照)するとのことである。要約以下の内容である。

『中国の生産子会社である無錫村田電子が、新生産棟の建設を同年11月1日に開始したと発表した。積層セラミックコンデンサー(MLCC)の中長期的な需要を見据え、MLCC向けシートの生産体制を強化し、安定的に供給することが狙いだ。投資総額は約445億円で、完成は2024年4月を予定している。新生産棟の建築面積は、倉庫棟なども含め1万1763m2(生産棟の建築面積は6557m2)。延床面積は5万1289m2(生産棟は2万7140m2)である。村田製作所の広報担当は「当社グループにおいて、MLCCを含めた全製品の国内生産比率は60%超である。2021年11月にはタイ(ココ参照)で、2022年3月には出雲村田製作所(ココ参照)で、それぞれ新生産棟の建設を開始しており、中国に限らず国内外での生産拠点の強化を行っている」と語った。

Covid-19の影響、主として中国のロックダウンから民生用機器生産、自動車産業の半導体不足などから、2022年の需要は減退すると見られるが、中長期的には電子部品の需要拡大は確実なことから、今の内に増産体制を固める狙いと思われる。

広報担当が発言したそうであるが、MLCCの国内生産比率は60%を維持していると思われる。海外では中国・無錫、フィリピン、シンガポールの3拠点、出雲村田製作所(IMC)はその3拠点のマザー工場である。2017年にTV新広島制作の『そうだったのかカンパニー』に取り上げられ、当時の益田喬事業所長が語るところによれば、年産数9000億個とのこと。2017年当時であるので2022年のこんにちは月産1000億個で、工場出し単価は30-20銭程度と思われる。

村田製作所のMLCCについて懸念がひとつ。民生用は世界シェア40%が示すようにOKだが、産業用が今一つである。自動車を含め産業用を如何に伸ばすのか、やはり技術力を高め価値ある新製品開発しかないであろう。

過日、Googl Earthを見ていると、Murata Electronics Thailand(MTL)の新プラントの建築過程が伺える映像に変わっていた。それが下の写真である。

赤線の太枠内の敷地に細線の枠で示したのが、工場建屋の輪郭である。Googl Earthのスケールで測定すると長辺は300mを越えている。上掲Googl Earthの右下の現工場建屋と比較するとずいぶん大きい。大きさで云えばグローバルスタンダードになってきた。

当該ブロガーがタイ好きになったのは、1995年から4年半にわたり当地に出向したときに始まる。当時女性従業員の給料は1日当たり100B辺りだったと記憶しているが、賃金上昇は時間の問題と認識していた。当時、生産技術部門はなく、赴任してから立ち上げた。部品は全て、各製造部門の日本のマザー工場からの輸入にたよっていたが、高い部品を輸入していたのでは割にあわない。そこで現地調達に切り替えることから業務スタートした。

残念ながら高精度部品は、当時のBKKでも困難で、シンガポールから調達。いつしかBKKからの調達も可能になったが、悠長さには耐えがたくMurata Electronics Thailand(MTL)にマシニングを導入し内作をはじめた。MTL進出の動機は低賃金目当てもあったが、いずれ行詰まる。生産性向上の為の合理化設備をMTLで内作する必要がある。チェンマイ大学工学部卒の新人を毎年4-5人単位で採用し、設備設計部門を立ち上げた。

過日、MTLが2018年に公開したVTR(ココ参照)を見た。それによると2018年当時の従業員数は6800名とのこと。2022年では8000名を超えていると思われる。そのVTRには苦労して立ち上げた生産技術部門の映像も流れていた。

見ると、それなりの設備設計と設備製作ができるようになった様子が伺われる。上掲は設備組み立ての様子である。

村田製作所は商品(製品)生産は自社設備との伝統が存在する。それをMTLに移植したのだが、タイの人件費上昇の対応はそれなりにできる体制ができたことは、喜ばしいかぎりである。

今日、対$Rateは150円にもなった。かつて低賃金を求めて多くの日本企業が東南アジアに進出した。今日では日本における労務費と海外それに差はなくなった。日本回帰の時がきたのである。政府は優遇策を設けるべきだ、日本に回帰し設備投資、なかでも生産性向上投資は、思い切った投資減税策を取るべきだ。ここで思い切った生産性向上投資をすれば、差をあけられつつある韓国や、躍進著しい中国にも対応できるであろう。トヨタが次世代半導体開発のため国内8社連合を組織したとのこと。電子部品メーカーの各社間競争も良いが、ここらで連合して次世代デバイスを共同開発してはどうか。とにもかくにも電子部品は世界のTOPを走り続けなければならない。

最後はMLCCの話しから脱線してしまったが、政府は画一的な政策をすすめるのではなく、切るべきは切り伸ばすべきは伸ばす政策をとって欲しい。

<了>


好敵手TDK

2022-03-24 09:00:54 | 村田製作所とTDK

過日、TDKが記者発表。某紙によれば『TDK、東北で2000人雇用へ』(ココ参照)とのタイトルで記事を掲載している。新規雇用の2000人は、4月に設立する新会社「TDKエレクトロニクスファクトリーズ」(秋田県由利本荘市)に配属されるとのこと。

合わせて、にかほ市に新工場「稲倉工場西サイト」を建設すると発表。スマホなどに搭載するワイヤレス型の給電・通信機能に使う基幹部品「コイル」を製造するとのこと。

(出典:TDK HP)

3月16日、東北地方を襲った震度6強の東北地震。何でも(株)登米村田製作所で火災発生とのニュース。幸い間もなく消火したとのことであるが、コイル生産が完全復旧するのは何時であろうか気になる。かたやTDKは上述の如くコイル増産の新工場の建設。置いていかれるな村田製作所。重要商品の生産は2拠点生産が鉄則だ。村田はリスクマネージメントの再検討を。

それにしても、今や日本で世界に冠たるは、電子部品産業と精密機械・半導体製造装置等々数業界に過ぎない。自動車も激動の時代に入った。後10年でトヨタが先頭に居続けることができるのか、できないのか。

そのような中、電子部品産業は台湾・韓国・中国に追い上げられる中で、世界TOPを維持しているのは。互いに好敵手をもち切磋琢磨しているからに外ならない。この業界は設備投資額や研究開発費は売り上げの10%以上に及び、緩める姿勢はうかがえない。

日本の産業界が、申し合わせたように下り坂を転がっているが、何故なのか。日本の労働賃金が上昇するなか、大手・中小問わず中国や東南アジアに逃避し、日本国内で生産性向上の設備投資を怠ったからである。

昨今、失われた30年を取り戻す、日本産業界復活のチャンスが巡ってきた。慢性的な円安、海外諸国のGDP成長による労務単価の向上。日本政府は思い切った投資減税と補助金等の投資優遇策を実行し、各企業に国内回帰を呼び掛けてほしい。中国に過度に頼るリスク、東欧の現下のリスク。日本国内が一番安全だ。但し自然災害対策は必要だが。

いずれにしても電子部品業界は、各社が現在のように積極的姿勢を放棄しない限り、世界TOPを独走できる。思うに好敵手揃いの業界である。

ここで蛇足を一つ。TDKは東国の会社だが、電子部品業界は何故か田舎者の京都企業である。村田製作所、京セラ、日本電産、ローム、オムロン、毛色はやや異なるがニンテンドー。一部上場企業の経営者諸氏は偉大なる田舎企業の経営マインドを見習うべきであろう。

<了>