世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

カンタリーヒルズの水盤アート#20

2015-10-31 09:08:12 | チェンマイ
これは過去に一度見たモチーフで、多少モディファイされている。

細長い芦のような葉を井桁に組んで、花弁を配すモチーフは初めて見た。この升目を菱形に配す方法もありか?

上の2点も過去に見たモチーフである。毎回のように斬新なアイデアが出続けるのは、やはり難しいであろう。

サット・ヒマパーンの世界#2

2015-10-30 09:34:55 | タイ王国
<続き>

”サット・ヒマパーンの世界#2”とのタイトルで、連想の続きである。先日(2015年10月27日)は、オークパンサー(出安居)の日である。3カ月前のカオパンサーから僧侶は寺籠りの修行に入るが、新暦10月の満月の日に寺籠りが明ける、それをオークパンサーと云い、その籠り明けの行事をテオロハナ行事と呼ぶ。
チェンマイではタイヤイ(シャン)族のワット・パーパオの行事というか儀式が著名である。涼しい朝8時に参拝に行った。すでに多くの人々の参詣で雑踏と化していた。
期待して出かけたのは、タイヤイ族伝統のギンカラーとトーの舞踏が見られるのではないか・・・との期待からである。どうもそれは、夜に公演されるようで、行った時の時間帯には見ることができなかった・・・残念。
ギンカラーとは、タイヤイ族にとっては伝説の鳥で、トーとは同じく伝説の動物で、何やら白鹿のように見える。ギンカラーとは、タイヤイ(シャン)族の古代神話の中の鳥の王とのことだが、調べきれずにいる。
とりあえず、ギンカラーとトーの写真を下に掲げておく。女性が鳥の羽を身に着け踊っている。その横の白い頭に角をつけたのがトーである。
このギンカラーはサット・ヒマパーンの森に棲む、キンナリーにほかならない・・・とすればトーもサット・ヒマパーンの森に棲むのであろうか? そういえばトーの体はヒマ(雪)の如く白色である。
中世、北タイに住まう人々は、バラモンやヒンズーの影響を受け、上座部仏教を信仰した。それらの教義を広めるためには勧善懲悪を利用するのが便利である。功徳を積めば、高貴な人間として生まれ変わりができ、あの世ではサット・ヒマパーンに身をおくことができる・・・と説いたのであろう。
宗教を信じない当該ブロガーではあるが、中世の北タイ宗教世界についての空想が広がるこの頃である。

                                                                  <了>



サット・ヒマパーンの世界#1

2015-10-29 17:10:13 | タイ王国
<続き>

杏が巡るNHKスペシャル第2集「バガン遺跡」を見て、連想ゲームのようにワット・ジェットヨートについて噺を進めてきた。そのワット・ジェットヨートで見たサット・ヒマパーンの森に棲む、聖なる動物の装飾や肖形物を紹介した。
以下、その連想を膨らませて、中世における北タイの上座部仏教における、理想郷としてのサット・ヒマパーンの森を想像してみた。
以下は残念ながら北タイではなく、バンコクのワット・サケットの壁画である。本尊の後ろにひろがるのが須弥山図で、その麓にサット・ヒマパーンの森が描かれている。
麓の中央には満々とした湖から四方に流れ出している。これはアノータッタ湖で、それぞれ牛、馬、獅子、象の口からながれだしている。湖の周囲にはキンナラや象が描かれ、この世の極楽を表現しているのであろうか。
上写真の左下は、あの世へ行く人に安楽を与えようとしているのだろうか? 水を僧侶が与えている。写真にはないが、この下に地獄が描かれている。
このサット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物を北タイ寺院の肖形物から紹介したい。
先ずは、上述のキンナラ(緊那羅)で、女性のそれをキンナリーと呼び半人半鳥である。そのキンナリーは北タイ寺院で見ることができる。写真のキンナリーは過去紹介したチェンライのワット・ロンクンで見たものである。
ワット・ロンクンは白亜の寺院なので、キンナリーも白亜であるが、通常は極彩色に彩られている。
キンナリーの次はマカラである。マカラは仏教にも取り入れられているようだが、オリジンはバラモン→ヒンズーである。マカラはヴァルナ神の乗り物(ヴァーハナ)とされている。そのマカラは門や装身具の装飾に用いられ、象のような鼻、とぐろを巻く尾を持つがイルカやワニ、サメの類ともされる。それはヒンズー寺院の門やゴープラムの装飾に見ることができる。
写真はバンコク国博が所有するタイ東北部のクメール様式寺院址から出土したマカラ(11世紀)である。この様式のマカラは現在のヒンズー寺院のゴープラムにも装飾されている。
写真は、クアラルンプールのスリカンダスワミー寺院のゴープラムの一部をスケッチしたもので、画面下部がマカラである。
 では北タイ・上座部仏教寺院にはどのような姿であろうか。下の写真はワットジェットヨートの礼拝堂入口である。そこにはマカラがナーガを生み出している姿であらわされており、北タイでは一般的である。
サット・ヒマパーンの森に棲む聖なる動物は、先にも紹介したノック・ハッサデーリンもそうである。
北タイは日本と違い輪廻転生を説く、来世の生まれ変わりをよくするため、現世で功徳を積む。功徳を積めばサット・ヒマパーンの森に遊び、高貴な身分に生まれ変われると信じたのであろう。次回はキンナリーに関する話題を提供したい。




                                <続く>

杏が巡るパガン遺跡を見てその3

2015-10-27 12:53:00 | 日記
<続き>

北タイ・フリーペーパー CHAOの第何号であったろうか? 即時に思い出せないが、そこにノック・ハッサディーリンなる神話上の聖鳥の記事が掲載されており、その造形物をワット・ジェットヨートの仏堂(礼拝堂)で見ることができるという。
向かって左がハンサ(ハムサ)でモン(mon)族にとっても聖鳥である。右が北タイでノック・ハッサディーリンと呼ぶ聖鳥である。それの体は鳥だが頭部は象の鼻と牙を持つ大きな鳥で、象の5倍の力を持つと云う。
この聖鳥は須弥山下のサット・ヒマパーンの森に棲むと信じられており、北タイでは上座部仏教の行事にも登場する。それを掲載したブログに”みちくさチェンマイ”がある。そこには、ワット・プラシンで高僧が亡くなった際、ノック・ハッサディーリンの棺に納められ荼毘にふされたとある。
礼拝堂を見上げると、破風に相当する部分はハンサと思われる聖鳥で装飾されている。
更にその上を見上げると、象に似た棟飾りを見るではないか。通常、仏堂の棟飾りをチョーファーと呼び、神話上の聖なる鳥(ハンサ)の頭部を飾る。それが象に似ているのである。

注視すると羽根をもつことから、これもノック・ハッサディーリンと思われる。チェンマイの棟飾りで、聖鳥のチョーファー以外のものを見たのは、このワット・ジェットヨートの仏堂が初めてである。
さらに仏堂の腰壁の装飾は、見た事の無い聖なる動物で埋め尽くされている。下写真の2匹については、残念ながら名前が分からない。

上の写真は鱗をもつことから、多分麒麟であろう。ここは専門家に上座部仏教に登場する聖なる動物と、その背景を研究して欲しいものである。
そう云えば、北タイ寺院にはサット・ヒマパーンに棲む、聖なる動物が沢山登場する。それについては次回紹介したい。




                                   <続く>



杏が巡るパガン遺跡を見て:ワット・ジェットヨートその2

2015-10-26 09:19:26 | 日記
<続き>

ワット・ジェットヨートはランナー第9代ティローカラート王が建立したことは、既に紹介しているが、彼は死後遺物が当該寺院に埋納された。

写真の仏塔(チェディー)の説明によると、ティローカラート王の遺物を収納するため、1491年に第10代ヨートチェンラーイ王(在位1487-1495)が建立を命じたと推測され、それは9代王が火葬された場所であった・・・と記されている。
仏塔は単塔で多層に煉瓦が積み上げられたランナー様式で、ワット・チェディールアンの仏塔の形状と関連があり、その装飾様式は16世紀のランナースタイルであると記されてもいる。
ただ残念ながら四面に穿たれた仏龕に仏像がなく、長い年月のなかで崩落したものと思われる。この仏塔も老朽化が進む、何とか保存してもらいたいものである。

境内をゆっくり見学していると、今出来のウィハーン(礼拝堂)にであった。ウボーソット(本堂)は通常、バイ・セーマーと呼ぶ結界石を持つが、それを持たないのでウィハーンであろう。そのウィハーンが興味深く、面白かった
               
                                 <続く>