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シャーロックホームズ80年ぶりの新刊

2013-08-11 12:08:26 | 読書メモ

久々にちゃんとした文体のちゃんとした本を読んだ気がしました。

シャーロック・ホームズ 「絹の家」



これはシャーロック・ホームズシリーズ80年ぶりの最新刊で

著者は アンソニーホロビッツという人です。

え???ホームズといえばコナン・ドイルじゃんか???

あやし~となりますが

ホームズファンが書いたホームズシリーズというのは

結構あって(なんか変だけどよくできてる)

その中で1冊だけ、コナンドイル財団に公式認定されているのが

この「絹の家」なのです。

(↑ と、帯に書いてあった)


認定の意味がよくわからないのですが、

とてもよくできていて、読んでいる間はBBCテレビシリーズの

ホームズとワトソンがよみがえってきました。

声も聞こえてきました 

それも吹き替えです。


(↑ 吹き替えしか聞いたことないので)




そして解説のページで認定の意味がわかりました。

作者自身が、過去のホームズシリーズを尊重し、自信に課した条件が

財団を動かしたようです。



①度の過ぎた派手なアクションシーンはいらない

②ホームズの恋愛を描いてはいけない

③ホームズとワトソンの関係に同性愛を持ち込んではいけない

④有名な実在の人物を登場させてはいけない

⑤薬物禁止

⑥19世紀らしい文章表現で

⑦調査は徹底的に

⑧殺人の数は多すぎてはいけない

⑨ホームズ物語の登場人物を積極的になるべく意表を突く形で入れる

⑩本の宣伝のためにパイプや鳥打帽の撮影をしてはいけない




私がこの条件の中で特にいいなと感じたのは 

⑥19世紀らしい文章表現


この物語が展開する1890年当時、

ロンドン警視庁、通称スコットランドヤードの

管轄区域内だった600平方マイルの土地には550万人が住んでいた。

そして例によって分かちがたい隣人同士、つまり金持ちと貧乏人が

ぎこちなく並んで日々の生活を営んでいた」
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こんな感じです。


最初から続く固い文章。これがテンポがよくてかっこいい!

翻訳が上手なんだと思います。

英語で19世紀っぽく書かれた文章を日本語でも19世紀っぽく

それも、冒険物で。


ホームズのせりふも 「絶対に早口に違いない!」とわかるような書き方。

(↑ TVシリーズのホームズがそうだったので)

冷血漢、荒涼、耽溺、慙愧、矯正院 などなど

(↑ ここしばらく見たことない漢字・・・日本人失格)

いや~、もうこれだけで19世紀っぽい。



ホームズの頭の中では一瞬のひらめきで理解されている事を

凡人に説明しなくてはならないもどかしさと、説明してくれる

彼のやさしさが伝わってくる。



内容はホームズの冒険とともに、19世紀のロンドンの子供たちの

劣悪な環境を描いて (←戦争のせいで)子供たちが戦争のせいで

どんな犠牲を強いられていたのかということも言いたかったようです。



話は戻りますが、コナンドイルでない人が書いているのに認定って??

どういうことなんだろう?と、考えているうちに

ふと、思ったのですが

あるブランドでデザイナーが交代して続いていくのと似ているんじゃないでしょうか。

シャネルの新作が出ても、ココ・シャネルという人はもういないのですものね。

文学でもその方式が通用するとはおどろきでした 。

ホームズだけに通用する方式かもしれませんけどね。


一つだけ、付け加えると条件⑨の過去の物語の登場人物を入れるのは

少し無理がありました。