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「新しい公共」円卓会議

2010年02月07日 | NPO
政府は1月27日に、「新しい公共」円卓会議の第1回会議を開きました。これは、鳩山由紀夫総理大臣が昨年10月の臨時国会の所信表明演説で掲げた「新しい公共」の実現に向けて具体的な案を検討するもので、会議は有識者19人で構成されており、内閣総理大臣が開催したものです。

当日の議事録を読むと鳩山総理は冒頭のあいさつで、「「新しい公共」円卓会議、今日開かせていただきますが、ある意味で新政権の真髄だと、そのように私は思っていて、「新しい公共」の思いというものを、是非、国民の皆様方と一緒に大きく日本社会に位置付けていただきたい、その思いの下でこの円卓会議をつくらせていただきました。」と述べています。

私が「新しい公共」という言葉を公的な文章で初めて目にしたのは、小渕内閣当時に設けられた「21世紀日本の構想」懇談会(座長:河合隼雄)の最終報告書「日本のフロンティアは日本の中にある-自立と協治で築く新世紀(平成12年1月)」の中でした。

その報告書では、「ここでいう公は、「お上」や「官」に一方的に決められ、強いられてきた従来の「公共」や「公益」と称するものではない、それは個人を基盤に力を合わせて共に生み出す新たな公である。」、「国家と社会の間に多次元的な相互関係が成立する形態である。統治を「官」に独占させるのではなく、多元的なアクターが責任を持って参加し責任を共有する仕組みである。」と謳われていました。

新しい公共については、その後も平成16年度版国民生活白書~人のつながりが変える暮らしと地域-新しい「公共」への道~などでも使われてきましたが、官から民へという流れの中で極端な民営化、民間化が進められたり、協働の名のもとに行政が市民を安上がりのボランティアとして使うような動きなどが目立ち、同報告書で示されていた「統治からガバナンス(協治)へ」という理念が置き去りにされてきたように感じていました。

今回の円卓会議は、鳩山総理のほかに菅直人副総理や仙石由人国家戦略兼行政刷新担当相も出席していますので、日本社会の新たな姿を示すと共にそれを国民と一緒になって仕立て上げることができるのではないかと心から期待しています。

実は、神奈川県は新しい公共や協働に関しては全国で最も進んでいる地域なのです。横浜市では平成11年3月に「横浜市における市民活動との協働に関する基本方針(横浜コード)」を示して、市民活動と行政が協働して公共的課題の解決にあたるため、協働関係を築く上での基本的な事項を定めています。

また、神奈川県は平成8年4月に市民活動やNPOを総合的に支援する「かながわ県民活動サポートセンター」を全国に先駆けて開設していますし、平成13年4月には「かながわボランタリー活動推進基金21」という総額百億円の基金を設けて行政とNPO等との協働を積極的に推進してきましたが、これは正に新しい公共を創造するための序章であったと思っています。

いま、国が「新しい公共」というキーワードで日本社会の新たな姿を示し、それを国民と一緒になって仕立て上げようとしていますが、神奈川県下の自治体やNPO、事業者はそれを受け止めることができる実績とポテンシャルがあることを改めて認識し、全国のリード役を担うべきであろうと強く思っています。
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