人気漫画「美味しんぼ」の主人公の山岡士郎がライバルで父の海原雄山と「真の和解」を果たすという話を聞きつけて、何十年ぶりかでビックコミックスピリッツを買いました。
連載31年目で訪れた名シーンに注目が集まると思いますが、私的にはその場面設定に感動しましたね。
士郎と雄山は、2012年12月1日に福島県伊達市の霊山神社で会うのですが、その前に2人は伊達市保原市民センターで開催された「稲の試験栽培研究報告会」に参加しているのです。この会議は実際に開催されたもので、漫画では報告会の内容を10ページ・40コマを使って詳細にレポートしています。
・同年に作付けを行った水田での収穫見込み1300万袋のうち900万袋の検査が終了時に、100ベクレルを超えたセシウムを検出されたのは53袋だけで全体の0.0006%であり、これは市場には流通しないこと。
・東京大学の根本圭介教授などの研究チームによると、ケイ酸カリウム、ゼオライト、土壌酸性改良剤は稲のセシウム吸収抑制に効果があること。
・風評被害の被害者は生産者だけでなく福島の産物を買いたいと思っている消費者も被害者であり、この問題は放射性物質が100ベクレルを下回るだけでなく、できるだけゼロに近づけないかぎり解決できないこと。
美味しんぼが、31年もの長期にわたって人気漫画としての地位を保っているのは、こうした丹念な取材があればこそだということを改めて痛感した次第です。