横浜市では、本年6月に横浜市市民活動推進条例を横浜市市民協働条例へと全部改正しました。
これは公明党の議員提案でしたが、議会では圧倒的多数で可決されました。
当初提案されたものは、かなり荒い内容でしたが、同党が実施したパブリックコメントや市民側の要請で開催されたラウンドテーブルの意見を踏まえて一定の修正がなされていますが、それでも疑問な点が幾つかみられます。
●当初提案された条例案
http://www.wada-takuo.jp/think/12/20120126.pdf
●パブリックコメントの状況
http://shiminkyodo.com/qa.html
●議会での質疑
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/sokuhou02/sokuhou02.060805.html
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/sokuhou02/sokuhou02.060806.html
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/kiroku/sokuhou02/sokuhou02.060807.html
●ラウンドテーブル
http://alice-center.jp/wp/?p=177
http://new-kyodo.org/event.html
●制定された新たな条例
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/gian/h24-2t-gtg003.pdf
議員提案自体は素晴らしいことだと思いますが、長い時間をかけて市民と対話をしながら策定した市民活動推進条例が、あっという間に議会で全部改正されてしまうという事実に当惑しています。
というのも、今回の改正が改正なのか大いに疑問があるからです。
以下に、私なりの疑問点を提示してみました。
(定義)
第2条
この条例において「市民等」とは、市民、法人、地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に定める地縁による団体及びこれらに類するものをいう。
⇒ 任意で活動するボランティア団体や市民活動団体は「市民」として括られており、その存在が見えなくなってしまいました。
第2条第2項
この条例において「市民協働」とは、公共的または公益的な活動及び事業を横浜市(以下「市」という。)と市民等とが協力して行うことをいう。
⇒ 市民協働は行政と協働することであると定義し、他の主体間の協働には関心を示していません。
第2条第5項
この条例において「中間支援組織」とは、市と市民等を相互に媒介し、市民等の自立と課題解決を支援するため、市民等のネットワーク化と交流促進、情報収集と提供、相談とコンサルティング、調査研究、人材育成と研修、活動支援と助成または政策提言等を行う組織をいう。
⇒ 中間支援組織は、市と市民等を相互に媒介する存在であると限定的に定義しています。
(市民公益活動)
第5条 市は、市民等が行う市民公益活動(次の各号に掲げるものを除く。)を特に公共性が高いと判断したときは、活動場所の提供及び財政的支援をすることができる。
⇒ 市が特に公共性が高いと判断した活動以外は、市民活動サポートセンターの利用は認めないと解釈されます。
(自主事業)
第11条 市民協働事業を行う市民等は、当該市民協働事業に支障がない限り、当該市民協働事業以外の事業(以下「自主事業」という。)を当該市民協働事業とともに行うことができる。
第11条第2項 市民等は、自主事業を行うときは、あらかじめ市に届け出るものとする。自主事業を終了したときも同様とする。
⇒ この条文に至っては、解釈が不能です。
今回の横浜市の条例改正の事例が、安易な形で全国に波及しないように祈るばかりです。