志賀原発を廃炉に!訴訟の第29回口頭弁論が昨日(11月21日)、金沢地裁が開かれた。
被告・北陸電力からは加島滋人裁判長が判断を待つとした規制委の新規制基準適合性審査の状況について報告する上申書が11月14日付けで提出されている。
第28回口頭弁論(8月1日)以降の審査会合は10月25日だけなので、今回はその報告である。
当日の審査会合は、北電の「敷地内断層の活動性評価」に対して規制委側から示されたコメント(1年以上前に示されてる)に対する北電の回答(未回答も多く残っている)が提出されており、北電の上申書もこの「回答」を中心に説明するものとなっている。
審査会合の様子を報じる翌日(10月26日)の北國新聞の記事も「別紙2」として添付されてる。
この間の北電の上申書でも新聞記事が関連資料として添付されており、これ自体は珍しいわけではないが、今回は記事内容をビッシリ引用した上申書となっている。
一読して「なるほど納得」である。
10月25日の審査会合の様子は当日の私のブログで少し紹介している。
※参照 北電に「厳しい指摘」と「重い宿題」 ~規制委審査会合~
ようやく「評価対象断層の選定」から「断層の活動性評価」という中身の議論に移ったが、内容な全然前に進んでおらず、むしろS-1断層を巡る追加データの提示要求を見る限り、規制庁から強烈なブレーキをかけられたようなものである。
翌日の北國新聞の記事を読んで、あまりの違いに自分ながら驚いていたが、今回の上申書を読んで「納得」である。
要するに北國新聞の記事は北電からの一方的なレクチャーをそのまま記事にしていたのだ。
その記事を今度は北電が「上申書」に全面的に引用し、
「断層の活動性否定に向けて頑張ってますよ」
「審査はどんどん進んでますからこのまま待っててくださいよ」
というわけだ。
見事な連係プレイだが、こういう北電と北國新聞の密着ぶりはかつて志賀原発の立地段階の「北電―石川県―北國新聞」の三人四脚時代を思い起こさせる。
北國新聞は志賀原発推進を公言してはばからず、志賀原発の立地に大きな役割を果たしてきた。
着工後はややスタンスを変え、特に近年は安全対策に関して北電に苦言を呈する記事もしばしばみられるようになってきた。
審査会合を報じる記事でも、昨年9月22日の記事(参照「北電、またもボロボロ」)など、審査会合の審議状況を的確に伝えていた。
ところが今回の上申書に引用された10月26日の記事は、かつての北國新聞に逆戻りである。
再稼働の見通しが全く見えない中、いらだった北國新聞の方針転換か、それとも担当記者の単なる手抜き記事かどうかは今後の報道姿勢をみなければならないが要注意である。
(報告集会であいさつする岩淵弁護団長)
さて、話を口頭弁論に戻すと、事実上ほとんど進捗をみない状況に対して、当然ながら原告弁護団からは裁判所は「いったいいつまで待つんだ」との指摘があり、加島裁判長は形だけ「合議します」と休憩をとったが、既定路線通り引き続き今後の審査会合の状況を見守るとして次回期日(来年3月5日午後2時から)を入れて閉廷となった。
北電の「進捗偽装」の上に裁判所があぐらをかくという、原告としてはなんともストレスのたまる進行である。
こうした中、原告側の思いを代弁し、迫力ある意見陳述を行ったのが石川県平和運動センター共同代表で全国一般石川地方労働組合副委員長の本田良成さん。
堀江邦夫さんの著書「原発ジプシー」を読み、隠された原発労働者の被ばくの実態を知り衝撃を受けたことをきっかけに原発の反対運動に参加するようになった自身の経験を語り、福島への思い、そして志賀原発への危機感を語り、志賀原発の廃炉を力強く訴えた。
報告集会では、富山訴訟原告団長の和田廣治さんからも9月27日の第一回口頭弁論の報告、そして12月16日の第2回口頭弁論に向けた準備状況などについて報告があった。
報告集会の最後には、東電福島刑事裁判一審判決の不当性を明らかにした「東電刑事裁判 不当判決」を視聴し、あらためて控訴審への支援を確認し合った。
金沢訴訟の次回第30口頭弁論は3月5日午後2時から。
おそらくはここをもって移動するであろう加島裁判長にしっかり決別し、新年度以降の方針転換を目指す期日となる。
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