ブログ仙岩

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子どもの貧困対策法

2015-07-12 04:18:36 | エッセイ
この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的として、一昨年に成立した。

天声人語より、英の文豪モームの長編「人間の絆」は、一人の青年の成長と遍歴の物語である。作家は、登場人物に「そこそこの収入がなければ、人生の半分の可能性とは縁が切れる」(行方昭夫訳)。貧乏は人に屈辱をなめさせ、いわば翼をもぎ取ってしまう。

その言葉を日本の子どもたちにも重ねてみたい。子供時代の貧困が可能性を狭めてしまうのは、各種の調査で明らかだ。この国は、18歳未満の7人に1人が貧困とされる水準で生活をしている。

とりわけ一人親世帯は5割が貧困状態で、学ぶ希望を奪われる子は少なくない。そして、親から子への貧困の連鎖となる。この鎖を断ち切る法律である。親を震災で亡くした子どもの里親制度が仙台で生まれた。

貧という字は貝を分ける意味で、貝は古代、貴重な財産であり貧をなくす政治を願いたい。特に故郷への暖かい可能性のある子供の手に差し伸べてほしい。矢巾中の自殺者をなくすためにも。