Another Opus/Lem Winchester
(New Jazz 8244, jp reissue LPP-88056)
バイブラフォンを語る上では、避けて通れないミルト・ジャクソンの名盤”Opus De Jazz"というのがありますが、あえてこの作品に真っ向から勝負した一枚があるのをご存知でしょうか?本日アップのロシアンルーレットのバイブラフォニスト、レム・ウィンチェスターの"Another Opus"がそれです。こういった企画は、ジャズでは珍しいですよね。オリジナリティを重視するジャズのことですから、「単純なカバーは許されない!」となると、あえて出来る限り同じシチュエーションで対抗しようとしたとしか思えない雰囲気を感じます。というのもこのメンバー、楽器構成もメンバーもほぼ同じです。唯一、ケニー・クラークがガス・ジョンソンにリプレイスされていますが、クインテットの他のメンバーは全く同じなんですよ!ガス・ジョンソンがセレクトされた理由はよくわかりませんが、どうせならクラークを使ってくれていたらなんて思うのは自分だけですかねぇ?・・・。カバーも”Opus De Jazz"のバイブを強烈に意匠化したブルーノート風カバーも印象に残りますね。
メンバーはLem Winchester(vib), Frank Wess(fl), Hank Jones(p), Eddie Jones(b), Gus Johnson(ds)の五重奏団です。タイトル曲"Another Opus"で幕を開けますが、ウェスの提示するテーマ、レム、ハンクのピアノ、ジョーンズのwalking bassも快調で"Opus De Funk"を思わせるグルービーなアップテンポブルースに仕上がっていると思いますね。2曲目はスローブルースの"Blues Prayer"で、一転してout of tempoのイントロからスタートします。ブルージーなレムのソロ、アルトフルートを思わせるふくよかな低音を駆使したウェスと聞き所が多いA面ですね。B面はオリバー・ネルソンのゴスペルライクな一曲です。ウェスのアタックの強いフルートがすばらしいですね。唯一のスタンダード"Like Someone In Love"はクリシェが特徴的なジャズメンのfavoriteですよね。幾多の名演がありますが、このレムのジェントルなプレイも好きだなぁ・・・。
所有盤は東芝時代のプレステッジの再発盤ですが、オリジナルはNew Jazzですよね。それにしてもロシアンルーレットで死亡した警察官というのは、何とも軽率な話ですね。