心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

書(母)の体温

2013-03-27 | つれづれ
                        (半紙)

有名な孟浩然の詩。

  春眠不覺曉  處處聞啼鳥    
  夜来風雨聲  花落知多少

  春の眠りは心地よくて、うっかり寝過ごしてしまいまして~。
  目覚めてみると、あちらこちらで鳥がさえずっていて穏やかな陽気だこと。
  そういえば、昨夜は風雨の音がしていたけれど、
  せっかくの花々がどれほど落ちたことかいねぇ。


ん? こんなの書けるの?って声が聞こえてきそうですが、はい、私のではなく
今日は、母の作品です 

私が中学生の頃学校から帰ると、母はよく、食卓で新聞の折込広告の裏を使ったりして、
書道のお稽古をしていました。

高校生の頃から書が好きで、授業でも選択していたり、結婚してからも、
家事や子育ての合間の僅かな時間に、こつこつと勉強を続けてきたのでして。
そんな母を横から眺めつつ、子供心に、同じ字ばかり何回も書いて何が楽しいのかなぁ、
なんて思ったりしていました。

当時は母の部屋などなくて、昼間の食卓は、母の「大事な時間」のパートナーでした。
けれど子供たちが帰宅すると、食事の支度をしながら、今度は私や妹の勉強を教える場に。

壁には確か母が手書きで作った歴史年表がずらーっと貼ってあって、
年号とその時の出来事を覚える勉強を、一緒によくしたものです。

最近、母との時間を思い返す時間もゆとりもなかったけれど、
こうして母の作品を見ていると、親子だからわかる母の癖や、所作や呼吸を感じています。

書は人なりと、よく言いますが、写真や映像とはまた違った形で、
なんというか・・そこに母が居るかのような体温を感じ、心に響いてくるのです。
そう、書には、体温があるのです 

一生かかっても、私にはとても辿り着けない母の書の世界ですが、
同じ世界を共有できることに感謝をしつつ、お互いに刺激し合いながら
まだまだ知らない自分を探していきたいと思います。

今日3月27日、母の誕生日に寄せて

コメント (12)
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