「名古屋旅行記(その1)」のつづきでもあり、去年7月の記事「なんてステキなジャポニスム (前編)」の後編といえるかもしれない、名古屋ボストン美術館での「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」見聞録です。
ホテルに荷物を預けた私は、金山駅前にある名古屋ボストン美術館に向かいました。
いやはや、良い天気
しかも、汗ばむような暖かさです。
調整できる服装にして良かった
で、「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」を観る前に、ちょっとCO2を補給するべく
、駅近くの「昔ながらの喫茶店」で一休み
こんなチェーン店ではない「喫茶店」はずいぶん久しぶりの気がします。
オーナーの趣向が前面に出ている喫茶店って、良いものです
数時間ぶりにタバコ
が吸えたし・・・
こうしてCO2を補給した上で、改めて駅前に戻り、いざ、「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」へ
我々日本人にとっては、何の変哲もないことだと思っていた(感じていなかった)ことが、外国人にとっては、「目からウロコ」の驚愕
のことだったりすることは現代でも珍しい話ではありません。
上に載せた渋谷のスクランブル交差点の動画なんて、アップ
されてから7年間の試聴回数
が170万回近い
というのですから、こちら(日本人)としても、違う意味で驚きです。
そんな驚愕の元と、inspire
された(と思われる)作品を一緒に並べて、日本のアートと欧州のアートとの関わりを観てみようというのが、この「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」だと思います。
さすがは世界屈指の日本美術コレクションを誇るボストン美術館だけあって、「驚愕の元」が質・量とも凄まじい
し、日本美術にinspire
された(と思われる)作品もまた質・量とも凄まじい
欧州のアートを「泰西名画」ともてはやした視点をひっくり返して
日本のアートを観れば、確かに、あり得ない線、あり得ない色彩、あり得ない構図、あり得ないモチーフの連発
です。
「驚愕の元」になった日本美術コレクションは素晴らしい
作品ばかりだし、それにinspire
された(と思われる)欧州美術コレクションもまた素晴らしい
作品ばかり
時空を超えた交流ってヤツなのだとおもいました。
さて、ここからどうやって話を進めていったらよいのか、ちぃと悩みます
こちらで書いたブリヂストン美術館の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展と同様に、「お持ち帰りしたい」作品の連発
で、気に入った作品
をひとつひとつ挙げていったらキリがありません
そこで、当日の私のメモをご紹介することにします。
そうそう、私がいつも持ち歩いているバッグには、メモ帳と筆記具(3色ボールペンと鉛筆と鉛筆削り+定規)が入っています。
3色ボールペンはともかく、どうして普段はまず使わない 鉛筆
を持ち歩いているのか?
もちろん、相応の理由があります。
美術館や博物館には、館内で使用する筆記具を鉛筆に限定
しているところが多いのです。
わざわざ「鉛筆」と限定するだけに、毛筆や万年筆はもちろんのこと、ボールペンやシャープペンシルもダメ
そんなわけで、私はに出かけると、鉛筆でメモってφ(. .) います。
話を戻して、私のメモの一つ目は、ルイ・デュムーランの「京都の鯉のぼり、端午の節句」についてのもの。
私にとってはちっとも魅力的ではない作品なんですが・・・、
額縁の四隅に正面を向いた竜
作品本体ではなく、額縁が面白いと思った次第で・・・。
こればかりは、現物を観ないとご理解いただけないのが残念です。
次はジャック・ヴィヨンの(マルセル・デュシャンのお兄さん)「トランプ遊び」。
この線、色… 池田満寿夫だ
黒と赤の感じがこちらのレコードジャケットを連想させてくれました。
![]() |
1958マイルス+2 |
ソニー・ミュージックレコーズ | |
ソニー・ミュージックレコーズ |
次は、ファン・ゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。
いい
一見、子どもが描いたかのような線ながら、「これしかないよなぁ~」と思うような構図、実際にはあり得ないのだけれど、なんとも惹き付ける色づかい
これはもう理屈ではないのでしょうねぇ。
次は大好きな画家、トゥールーズ=ロートレックの「エドメ・レスコ」
格好いい.
これ以外の表現が見つかりません
私、デッサンの力量をもっとも感じる画家はトゥールーズ=ロートレックとエゴン・シーレのお二人であります。
次は、ジョン・エドガー・プラットの「ジャイアント・ストライド」についての、
浮遊感
そのまんまであります
線からは北斎を、全体のムードから大友克洋を連想してしまいます。
最後にご紹介する私のメモは、日本の作品でして、どこかで見たことがあるかもしれない揚州周延(ようしゅう・ちかのぶ)の「上野不忍共同競馬会社開業式之図」についてのもの。
メリー・ポピンズ
馬と騎手の後ろ姿、ロートレックっぽい
極端過ぎる構図とか、トゥールーズ・ロートレックを彷彿とさせる馬のお尻が印象的ですが、それよりも注目するべきは、開業式を華やかに彩る「浮かびもの(私の造語
です)」
「昼花火」を背景にして宙に浮かぶのは、牛、ハチマキをしたタコ、金魚、鶴、そして、傘を差した洋装の女性
これは何を描いているのでしょうか?
三代目歌川広重が描いた「東京汐留鉄道御開業祭禮圖」では、旧新橋駅の開業を祝っていくつもの傘が宙を舞っていて、「なんじゃこりゃ?」ですが、それを上回るシュールさデス
う~む… と唸るしかない私でございました。
この記事1本で「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」見聞録をまとめるつもりだったのですが、もう少しだけつづきます。
つづき:2015/04/18 名古屋旅行記(その3)