「名古屋旅行記(その5)」のつづきもトヨタ産業技術記念館の繊維機械館からお送りします。
糸を紡いだら、次は布を織るわけで、織機といえば「その4」に載せた無停止杼換(ひかん)式豊田自動織機(G型)よりも、こちらのイメージが強い
上の織機は「地機(じばた)」というもので、説明板によれば、
地機は骨組みをもつ織機で、脚はないか、または短い脚がつき、織り手の位置は地面に近い。展示機は、新潟で江戸時代から越後上布を織るのに使われた地機である。
だそうです。
ほとんど「道具」の地機に対して、無停止杼換(ひかん)式豊田自動織機(G型)はまさしく「機械」です。
繊維機械館には古今東西、様々な織機が展示(一部は動態展示)されておりまして、こちらを見て、
連想したのは、稲庭うどん
そうめんでも良いのですが、そこは秋田県人たる私としては「稲庭うどん」に例えざるをえないでしょう
それはともかく、この織機は「ジャガード織機」でして、模様を織り込むための型紙が面白い
型紙に開けられた穴の有無に応じて模様が織り込まれる仕組みなんだとか。
「穴の有無に応じて」なんて、「0」と「1」とで情報を保存・伝達する、デジタルの世界、まさにコンピュータの世界ではありませんか
このことだけでも、へぇ~ なんですが、この日一番の驚愕
の技術は、エアスプライサ(Air Splicer)でした。
布を織ろうとする場合、糸はひたすら長く、無限長であることが望ましいわけですが、それは、不可能ではないにしろ、ハンドリングが難しい。
となれば、途中で糸を次のロットの糸に結びつける必要があります。
もっとも(発想の)簡単な方法としては、
結んでしまえば良い のですが、結び目ができてしまいます。
これだって、機械に高速でやらせるとなれば、かなり難しいことだと思うのですが、結び目は木材の節目のように、布を織るにあたっては邪魔になるはず。
そこで登場するのが、この「エアスプライサ」です。
この機械は、
空気の力で、糸の撚りを解きほぐして、同じく撚りを解きほぐした糸とで、これまた空気
の力で互いを絡み合わせて、つなぎ合わせるという、信じがたい
もの
展示されていたエアスプライサのデモ機は、上にある白糸と、下にある赤糸とを、プシュー
という音をたてながら、見る間につなぎ合わせてしまいます。
元々の糸の太さとさほど変わらない太さで、白糸と赤糸がネジリンボ状態に
いやはや驚きました
機械って、小さなモノや軟らかいモノを扱うことは、重いモノ、大きいモノを扱うことよりずっと苦手だと認識していましたから、このエアスプライサにはホント、驚きました
まさしく「恐るべきニッポンの技術」です
この機械を作った人、ホント、偉い
つづき と言えるかなぁ?:2015/04/24 名古屋旅行記(その7)