東京藝術大学大学美術館で開催中の「藝『大』コレクション」展の第1期を観てきた話はこちらで書いたとおりで、私は「第1期と第2期のいずれかを2回ご覧いただくこともできます」という2回券を購入しておりました。
そして、先週半ば、第2期はいつまでだろうか? と思いついて、調べると、なんとなんと、9月10日(日)で終わりではありませんか
危ない、危ない
、この週末しかチャンスがない
というわけで、きのう、「藝『大』コレクション」展の第2期を観に行ってきました。
考えてみれば、8月11日から始まった第2期、その8月11日から1週間にわたって(つまり週末から翌週末まで)帰省していましたし、その翌週は「Misia Candle Night」で河口湖に出かけたわけで、結構多忙な週末が続いていました。
もっとも、上野に出かけるだけの余裕はありましたけれど…
先週はずっとぱっとしない空模様と酷い湿気にウンザリでしたが、きのうは(きょうも)いかにも秋
って感じのきれいな青空と乾いた空気で、お出かけ日和
で、上野公園に着くと、かなぁ~りの人出でした。
そして、竹の台広場の噴水池を過ぎ、東京国立博物館(トーハク)と東京都美術館の間の林のようなところを通って東京藝大を目指したのですが、いつもなら、怪しげな集会(炊き出し?)の参加者でちょいと近寄りがたいこの「林のようなところ」では、東京藝大の学生によるフリーマーケットが開催されていまして、人でごった返していました。
そして、ここに来て、東京藝大の学園祭「藝祭」の当日であることに気づきました。
いつもなら静かな東京藝術大学大学美術館の前もスッゴい賑やかさ
藝祭といえば、神輿が名物なわけで、美術館前にも2基が展示されていました。
藝祭を見物したいところではありますが、まずは「藝『大』コレクション」展 第2期を観ました。
第1期と第2期とでは、展示作品の半分くらいが入れ替わっている感じで、冒頭は両期とも、
「五体不満足」の月光菩薩坐像でした。
両腕とお腹、そして右足首から下が失われていますが、それでもなお素晴らしい仏さんです…
東京藝大のあと、トーハクの本館を一回りしたところ、この月光菩薩の相方、日光菩薩坐像が展示されていました。
トーハクでは、
もと京都府亀岡市の金輪寺に安置されていた薬師三尊像だったが、のち交流があったとみられる京都市の高山寺に移された。薬師如来像はいまも当寺に残るが、明治22年に両脇侍像が東京美術学校(現東京藝術大学)に収蔵され、うち日光菩薩像は当館に入り、広く親しまれてきた。
という説明と共に、「薬師三尊像-制作当初の構成-」という写真が添えられていました。
もとは一緒に鎮座していた3体の仏像が、3ヵ所に分かれているのは、なんかもの悲しい
ですな。
話を「藝『大』コレクション」展に戻しまして、第2期の展示作品の中で、妙に惹かれたのは、
伊東深水「銀河祭り」でした。
七夕の笹飾りの下、水を張ったたらいの前で、若い女性が赤い糸を持って何かしています。
何をしているのか判らないけれど、なんときれいな絵なんでしょ
私、「美人画」というジャンルにはあまり興味は無いし、伊東深水の作品もあちこちで何度も拝見しましたが、この作品のステキさは衝撃
といっても良いかも…。
ちなみに、図録の解説によれば、
七夕の宵、盥の水に星を映し、針に糸を通すことで娘たちが裁縫の上達を願うという風習があった。江戸時代からの美人画の好画題である。
だそうです。
「お持ち帰り」できる作品を選ぶとしたら、この「銀河祭り」は最有力候補かも…。
山口晃の自画像と、原田直次郎「靴屋の親爺」(こちらの記事をご参照方)も魅力的なんだけど…。
こうして、「藝『大』コレクション」展 第2期もたっぷりと楽しませていただきました
東京藝大の美術学部のキャンパスには、東京藝術大学大学美術館に来ると必然的に足を踏み入れることになりますが、音楽学部のキャンパスには一度も入ったことがありません。
以前から気になっている建物もあることですし、藝祭のタイミングを活用して中に入ってみよう ということで、音楽学部キャンパスへ。
校門の外からチラ見しては気になっていた建物がこちら。
音楽学部キャンパスへの出入りに睨みを利かしている第2守衛所
です。
美術学部に入口にある第1守衛所は何のへんてつもない建物ですが、こちらはかなぁり魅力的です
大学の守衛所としては、こちらの記事で取り上げた北大植物園の門衛所とか、
ブログには書いていませんけれど、北大の「受付」の建物(この建物にH型の煙突は反則的なcuteさ
)
といった私お気に入りの守衛所に比類する素晴らしさです。
「有名なお寺の拝観券売場です」と言われても違和感を覚えないかも…
と、守衛所の後ろにレンガ造りの建物が見えます。
せっかくですので、じっくり観させてもらいました。
光の当たり方が良かったので、もう1枚
この建物は、「赤レンガ1号館」という芸の無い名前ながら、「明治13年(1880)に竣工された都内に現存する最古のレンガ建築」だとか。
そんな貴重な建物なのですが、レンガの表面がかなり荒れて
見えます
こちらのサイトによれば、
この建物は、表面をモルタルで固められていたことから、煉瓦造りと知らずに1978年(昭和53年)に取り壊される運命にあった。
取り壊しのため、表面のモルタルを一部はがしたところ煉瓦が現れたことから、モルタルを全部はがしたところで解体は中止された。
その後、2005年(平成17年)に耐震補強を行い、将来に伝えていくことのできるように改修された。
だそうです
危ないなぁ~
それにしても、ホント、成り行きで良いものを見せていただきました。
ここでまた藝祭神輿の登場です。
上に載せたハンバーガーもPOPで良いけれど、私のイチオシはこちら
亀の背に乗った神社の古びた感じの表現が見事
なのでもう1枚
それにしても凄いです、藝祭神輿
藝祭神輿は、音楽学部と美術学部の1年生が専攻ごとにペアのチームをつくって制作するもので、上に載せた「亀神社」(というのか?) は、音楽学部の「邦楽」と美術学部の「日本画」のチームの作品です。
今はどうなっているか判りませんが、私の高校では、文化祭に全クラスがクラスごとに「デコレーション」と呼ぶオブジェを制作する風習があったのですが、大学1年生と高校生とは1~3年しか年次は違わないのに、この藝祭神輿のレベルの高さときたら…
さすが「アーティストのヒナ」たち、一般人とは全然違う…
藝祭開催中の東京藝大、模擬店は完全無視 してしまいましたが、それでもいろいろと楽しめました。