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●《平野啓一郎氏…「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けている…》

2025年01月06日 00時00分59秒 | Weblog

[※ 安田好弘さん 《死刑反対。死刑をおかしい」と言うこと自体が、異端者になってくる》 (2018年7月28日 報道特集)↑]


(2024年12月16日[月])
再審法見直し…それとともに、死刑存置の是非も議論すべきだ。
 《現状のままに存続させてはならない》。アサヒコムの記事【死刑制度「廃止含め議論を」 遺族や元検察トップ、法学者らが提言】を再掲、《与野党の国会議員や犯罪被害者遺族、元検事総長らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が13日、政府への提言を報告書にまとめた。現在の制度には放置が許されない多くの問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した。そのうえで国会や政府のもとに、制度の廃止を含む「根本的な検討」のための会議体を設けるよう求めた》。

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
       代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
                 …金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々
   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
       さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》
   『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
     はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》
   『●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」
     「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟
   『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
      いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》
   『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実
     人にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》
   『●《<無実者を罰することは、犯罪事実よりも犯罪的である>…無実の人を罰する
       のは究極の国家犯罪といえる。理不尽な刑事司法とはもう決別すべき時だ》
   『●検察・警察、裁判所、マスコミによって《大きく人生を変えられたのは、
     巌さんだけではありません。巌さんを58年支え続けてきた、姉のひで子さん》
    《48年、巌が(拘置所に)入っていたってことはね、それこそ
     大変苦労してる。だから、(無罪判決が出たからといって
     それでいいとしてはいけないと思って、再審法の改正には、
     皆さんにお力をお借りしたいと思っております》

   『●《有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を
     出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる》元刑事裁判官・木谷明さん
   『●工藤隆雄氏《日本の司法には昔から冤罪体質があり…事件の背後には後に
     「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄という静岡県警の刑事がいた》
   『●福井事件、発生から38年も経って漸く再審を決定…《検察が手持ち証拠の
      開示に応じることが、冤罪を晴らす上で、どれほど重要かを示す好例だ》
   『●《死刑制度「廃止含め議論を」》…《現在の制度には放置が許されない多くの
      問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した》

 東京新聞の【<社説>再審法の改正 地方の声に耳を傾けよ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/372887?rct=editorial)、《地方議会で再審法刑事訴訟法の再審規定見直しを求める動きが広がっている。既に全国の400超の議会が、法改正や改正に向けた議論の必要性を訴える意見書案を可決。事件から58年を経て再審無罪=写真=となった袴田巌さん(88)の住む静岡県では年内に県議会と35市町の全議会がそろう見通しだ。政府や国会は早急な法改正に動くべきではないか。》

   『●《「死刑制度を続ける日本は北朝鮮やシリアと同じ」―。…日本に向けられて
      いる厳しい視線》《間違いが起こる可能性を認める国こそ民主主義的な国》
   『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
      死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》

 《「死刑もやむを得ない」は80.8%》…それでも死刑制度の廃止、あるいは、死刑の停止を。世論は重要だとは思う。でも、ならば、死刑存置派が何パーセントを下回れば、国民的議論をスタートするのか? 選択的夫婦別姓制度など、とおの昔に導入されていなければいけないではないか。世論に関係なく、世界で唯一に近い、強制的夫婦同姓制度を続けているニッポン。フランスやイギリスのように、死刑存置派が多くても、死刑制度の廃止、あるいは、死刑執行の停止に進んだ国もあるのだ。なぜ、ニッポンはそんなに死刑制度、死刑執行に拘るのか?
 東京新聞のコラム【〈視点〉「死刑懇話会が提言」 割れる「存廃」国会で議論を 社会部・三宅千智】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/372819)/《死刑制度のあり方を議論する民間の懇話会が11月13日、現制度と運用について「現状のままに存続させてはならない」とする報告書をまとめた。死刑の存廃や制度のあり方を検討する公的な会議体を国会や内閣に設けるよう、委員の総意として提言した。内閣府が5年前に行った世論調査では、死刑もやむを得ない80.8%。私も問われれば「迷いもあるが、被害者や遺族の無念さを思えばやむを得ないのでは」と答えただろう。だが懇話会の取材を通じ、制度の維持と廃止の間で気持ちと考えが揺れた。「日本の死刑制度について考える懇話会」は、死刑廃止を求める日本弁護士連合会の呼びかけで2月に発足。委員には学者や警察・検察の元トップ、犯罪被害者遺族ら16人が参加した。制度の存廃については意見が分かれた。双方の考えを深く知りたいと思い、懇話会の座長で刑法が専門の井田良(まこと)中央大大学院教授と、委員の金高雅仁元警察庁長官に取材を申し込んだ。井田さんは、政治の力で死刑を廃止すべきだと訴える。「日本の裁判は誤った死刑判決が出てしまうおそれを払拭していない」と指摘し、「英国のように、死刑執行後に新たな証拠が出てくるなどして間違いが分かれば、制度は維持できなくなるだろうが、最悪のシナリオだ」と述べた。10月に再審無罪が確定した袴田巌(はかまたいわお)さん(88)が頭をよぎる。長期間死…》。

 最後に、平野啓一郎さんの重要な指摘。
 東京新聞の【<社説>週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/373723?rct=editorial)、《作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-。相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。<人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険ですなぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです> 平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけないのは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。<例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/372887?rct=editorial

<社説>再審法の改正 地方の声に耳を傾けよ
2024年12月11日 07時55分

 地方議会で再審法刑事訴訟法の再審規定見直しを求める動きが広がっている。既に全国の400超の議会が、法改正や改正に向けた議論の必要性を訴える意見書案を可決。事件から58年を経て再審無罪=写真=となった袴田巌さん(88)の住む静岡県では年内に県議会と35市町の全議会がそろう見通しだ。政府や国会は早急な法改正に動くべきではないか。

 意見書は、地方自治法に定められた地方議会の権限で、国などに応じる義務はないが、訴えがここまで広がっている意味は重い

 改正を求めるのは、再審法が無辜(むこ)を救う最後の砦(とりで)なのに、あまりに不合理なためだ。無実を訴えながら死刑が確定した袴田さんは、再審請求で無罪の方向性を示す証拠を検察側が開示するまで約30年を要した。2014年に再審開始決定が出たが、検察側が不服を申し立て(抗告確定まで9年かかった。70年以上改正されていない再審法では、検察側に証拠開示義務がない上、抗告権は認められており、再審が「開かずの扉」といわれる主因と指摘されてきた。

 静岡県では、死刑事件の再審無罪判決は1989年の島田事件に続き2例目。その前にも冤罪(えんざい)事件はあり、県弁護士会は「法改正を求めるのは冤罪から住民を守る地方議会としての責務」と意見書案可決を各議会に働きかけてきた。

 都道府県では既に17道府県議会が可決。首都圏が栃木、群馬、山梨の3県にとどまる一方、中部は静岡のほか岐阜、三重、長野、滋賀、石川、福井と9県中7県が可決済みで全体の4割を占める。再審無罪となった呼吸器事件滋賀県東近江市)、再審開始が確定した福井女子中学生殺人事件福井市)、再審開始決定が出ながら検察の抗告で審理の続く日野町事件滋賀県日野町)、名張毒ぶどう酒事件三重県名張市)など冤罪やその可能性の高い事件が多いことも背景にあろう。市町村議会の可決例も増え続けている

 法務省の有識者会議でも議論はされているが、検察や同省には見直しに慎重な意見が根強く、議員立法にも期待がかかる。地方の声は強い後押しになるはずだ。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/373723?rct=editorial

<社説>週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは
2024年12月15日 07時40分

 街を「ばい菌」から守るパトロール-。死刑囚だった袴田巌さんの風変わりな散歩の日課です。事件から58年ぶりに再審無罪となったものの、既に88歳。長く死の恐怖と直面したゆえの拘禁症状が今も続いているのです。

 強盗殺人犯のぬれぎぬを着せられた人生はあまりに残酷です。幻覚や妄想、興奮、混迷が次々と現れる拘禁症状もまた残酷です。


◆拘禁症状は残虐な刑罰

 国家は袴田さんの人生ばかりか、精神をも破壊したに等しいといえます。拘禁症状の恐ろしさについては、医師で作家の加賀乙彦氏が名著「死刑囚の記録」(中公新書)で描いています。

 <死刑囚は、死について考えないようにすることも、気ばらしに身を投じることもできない。そこで死刑囚は、ノイローゼになることによって死を忘れるのである>

 加賀氏は1950年代に東京拘置所で精神科の医官として勤務し、死刑囚の精神状態をつぶさに記しました。

 <死刑の苦痛の最たるものは、刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう

 11月に「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が、政府や国会への提言をまとめました。

 学者や国会議員、経済団体代表、元検事総長、元警察庁長官、日弁連、犯罪被害者遺族らが委員を務める懇話会です。

 死刑制度について現状のまま放置できない」とし、検討のため会議体を設けるよう求めました。結論が出るまでの間は死刑執行の停止も検討すべきだとも…。

 「これまでの死刑論議は存置派と廃止派が意見をぶつけ合うだけだった。今回はどれだけ理解し合えるか」と井田座長は記者会見で意義を語りました。

 世論調査では常に死刑制度を支持する結果が出ます。しかし、民意に存在する迷いがどれだけ反映されているのかは疑問です。

 神ならぬ人が行う裁判ゆえ、誤判の危うさは常に伴います。袴田さんのように確定死刑囚が再審で無罪になった例は、戦後計5件もあります


◆感情論は歯止めなくす

 もし死刑執行されていたら…取り返しがつきません究極の人権侵害です国家でさえ償えない制度でもあるのです。

 世界196カ国のうち死刑がないのは144カ国。7割超にのぼります。韓国でも死刑執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止を宣言しています。

 人権意識は時代とともに進化します。あたかも復讐(ふくしゅう)劇のように死刑執行を続けるのは、普遍的な人権保障の原則と折り合うでしょうか。人は罪と向き合い反省し、更生できますが、命を奪えば贖罪(しょくざい)の機会をも奪います。

 死刑制度は犯罪抑止の効果を持つと信じられていますが、実は科学的な証明はありません被害者感情や処罰感情が死刑制度の根拠となるという人もいますでも本当にそうでしょうか

 作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-

 相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。

 <人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険ですなぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです

 平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけないのは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。

 <例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>


◆被害者にもっとケアを

 被害者感情は十分に理解しますが、刑罰とは切り分けて考えた方がいいかもしれません。被害者側へのケアや生活支援は政府がもっと力を注ぐべき事柄です。

 死刑制度をどうするか。この難問には懇話会が提言したように、まず会議を設けて話し合うのが近道だと考えます。同時に再審の法規定も見直し、何としても冤罪(えんざい)防がねばなりません

 それにしても袴田さんが街をパトロールして見張っている「ばい菌」の正体とは何でしょう。

 憎悪、偏見、差別、暴力…社会に潜む悪徳かもしれません。「ばい菌」にさらされている人はいないか。そんな目で街を守る袴田さんを国家が死刑台に送ろうとしたことは大きな過ちなのです。
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