平常な一日

連休も終わりいつもの平常が戻ってきた。
平常が異常なのか、異常が平常なのか、どうもそこいらが変になりそうな組織体にいるので感覚的に変である。
今日は冷たい雨だったが、日に日に新緑がまぶしい季節になってきた。
今日も平常（異常）な中に現場に出た。
そこに話が合う奴がいて、昼休みに食事に出た。
昼食を食いながらまっとうで正常な感覚を確かめ合うのだ。
当たり前の事をこんなに真面目に真剣に語り合うのもなんだか変だなと思いおかしくもあった。
こんな会話をほかの人たちが聞いたらそれこそ
「あんたたち変人」
などと逆に思われかねないようだ。
意気投合して昼食が終わり仕事に戻った。
時間切れでやりきれなかった仕事は次回ということで現場を出た。
地下鉄に乗ろうとＩＣカードを取ろうと思ったら財布が無い事に気が付いた。
あわてて現場に戻り職場を探したがどこにも見当たらない。
さっそく昼食をとった店に行ってみた。
昼食をとった席に客が座っていたが、指をさして場所を教えた。
しかし答えは「届け物はありません」と言うだけだった。
店を出て広いモールを歩いた道をたどり探したが無かった。
銀行カードにクレジットカード、保険証に免許証、交通系カードにクイックペイ、そして現金が２万円ほどだった。
途方に暮れインフォメーションにも行ってみたが忘れ物の届け出はなかった。
顔面蒼白になった私を同僚が心配している。
思い当たるところはやっぱり昼食をとったあの店以外にはない。
同僚がもう一度店に行こうという。
店の近くまで来たところで、お店の人が駆け寄ってきた。
手には財布があった。
「お客さんがいなくなったあと探してみたら片隅に落ちてました」
何ともありがたい事だった。
同僚と手を合わせて喜んだ。
そういえばこんなことは初めてではなかった。
前回も無事に返って来たんだ。
落とした私が異常だったのか、探してくれた店員さんが正常だったのか、こうやって無事に戻ってくるのが異常なのか正常なのか、そんなのどうでも良いや！と思った一日だった。