あじさい物語

七色の紫陽花のような日々の心模様
       

ちいちゃんのかげおくり

2014-12-05 23:26:42 | Weblog
今日も「のりちゃんと散歩したいなあ KID」と書いた紙をテーブルに置いて出勤した次女。
KIDの気持ちを代弁?

くりっとしたかわいいKIDの目に見つめられて、KIDと散歩。

初冬の陽を浴びながらの散歩もまんざらではない。

遠くに薄青色の山なみを見れば、心に新しい空気が注ぎ込まれたようで、見とれる。

「KID、きれいだねえ」と語りかける。

帰りに向かっていく道に中学生の女の子たちが二人並んで手を上げている。
万歳の格好だ。

そこへ来たので「こんにちは。体操しているの?」
「いいえ、かげおくり」
「かげおくりしているの…教科書にあったよね」と言った私に
「ちいちゃんのかげおくり」
その子たちが言った。

そう「ちいちゃんのかげおくり」

懐かしい言葉だった。
子どもたちの教科書に載っていたと思ったし、いいお話だったと思い出した。
戦争の悲しい話で、心に残る…。


「何年生?」
「三年生」と答える。
中学校三年生だ。
かわいい女の子たちだった。

なんだか、とても嬉しかった。

かつて感動した物語を思い出し、今、それをやっている行動を見て、本の力を思わせたし、本の偉大さを思った。

たぶん、受験で忙しい子どもたちの、いっとき、ほっとしている場面…その子たちがかつて親しんだ(読んだ)本の一場面のことをしていたということ…。

その中学生たちとは「かげが大きいねえ」と言いながら、別れた。
かばんを無造作に置いたアスファルトに長いきれいな影がふたつくっきりと映っていた。

果たして、彼女らはうまくかげおくりできたのだろうか。

KIDに引っ張られながら、書くことっていいなあと思った。
書きたいと思った。

KIDと散歩しながらもらえる宝物がたくさんある。

昼下がりだったから、帰宅する小学生もいた。
「こんにちは」と挨拶する男の子たち。
「まあ、ありがとう。こんにちは。きちんと挨拶してえらいねえ」となんとも表現力のない言葉でしか答えられなかったけど、久々に幼い小学生の子どもの心に触れた気がした。

KIDとの散歩、楽しかったなあ。
55分の散歩は、やはり、少し疲れたのか、そのあと私にずいぶんな昼寝をプレゼントしてくれました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする