細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

幸せな時間

2013-12-29 19:47:58 | フランスのこと

12月29日。もう年末ですが、この数日、とても幸せな時間を過ごしています。

日本にいたときに最も欲しかったものは何かと言われると、「時間」だと思います。もちろん、今年度の前半の半年の日々は最大限に充実していたとは思いますが、とにかく追い立てられていた状況でした。読書は大好きですが、9月末までの読書量は激減し、読みたい本だけが溜まっていく状況にありました。いろいろと勉強しなくてはならないこともあるのは自覚していましたが、そのための時間も創り出せず、執筆すべき論文も溜まっていく一方でした。

フランスでの時間は、自分が好き勝手に使えるわけではなく、健全な家族生活を営むために私がやるべきことも相当にあります。しかし、家族があってこその私だし、家族のための時間が無駄、とも全く思いません。ですが、私が心底満足するためには、研究者・教育者としての自身が少しでも向上するために、貴重な時間を有効に使えていると実感することが不可欠です。多くの方々に支えられて実現している時間だからです。

26日に日本からの船便がようやく届き、多くの書籍も届きました。また、日本の研究室から送ってもらった新規購入の書籍や、専門書等もほぼ同時に届き、書棚に整理しました。

読みたい本があまりにもたくさんあり、しかもそれを読む時間が与えられている。生まれて初めての経験と言ってもよいかもしれません。学生時代には残念ながら能力不足のため、これほど読みたい本がありませんでした。これが幸せな時間である理由の一つ。

もう一つは、現在の論文執筆が非常に楽しいこと。自身初めての、建設マネジメント分野の論文集に投稿予定で、「施工状況把握チェックシートによるコンクリート構造物の品質向上と協働関係の構築」というタイトルで執筆しています。年末年始の休暇なのですが、連名者とも頻繁にやりとりしながら、私がドライビングフォースになって執筆が進んでいます。

この論文の4章を先ほど書き終えましたが、「施工状況把握におけるチェックシートを活用した監督員の役割」(仮題)という章タイトルで、施工状況把握チェックシートの効果を示す概念図も作成しました。また、このシートによる協働的な対話の事例も複数記載しました。フィロソフィーに溢れた原稿になりそうです。

ジャーナル論文を書いていて心底楽しい、と思えているのは今回が初めてです。これが幸せな時間である理由の二つ目です。

解説文等を楽しく書いたことはありますが、締切りの無いジャーナル論文の原稿を暇を惜しんで楽しみながら書いた経験は私にはありません。連名者に早く読んでほしくて、楽しく書いています。

コンクリートの論文ももちろん楽しくないわけではないのですが、フィロソフィーをふんだんに論じるというよりは、技術的に細部を詰めていく作業が苦行に近く、心から楽しいという感覚ではありません。もちろんコンクリートの技術も非常に重要で、この苦行のプロセスを通じて自身の多くの能力が鍛えられることは十分に認識しています。

この辺りにも、私が今後どのような方向性に進むべきかが表れているように感じます。

この週末に、仕事に集中させてもらえる家族に感謝していますが、家族とのコミュニケーションも十分にとっています。昨日は家族でMonopolyのボードゲームをやったし、次女に乞われて日本から届いた絵本をたくさん読んであげました。

昨夜、寝る前に、次女が「パパと寝たい。絵本読んでもらう。」と言って、ママや長女と一緒にいたベッドから移動してきました。イソップの小話をたくさん読んであげて寝ました。日本にいたときに、次女が私だけと寝たい、と言った記憶はなく、とてもうれしく思いました。

それが、幸せな時間である理由の三つ目です。

今日の午後は、次女のスクールのお友達の家族(韓国人)が遊びにやってきます。

明日、30日からは、クレルモン・フェランという街に家族で旅行。奥さんの親友家族と会います。私は、奥さんの親友と一緒に仮装して10kmマラソンに出場するようです。昨日、5kmほどセーヌ川沿いをジョギングしておきました。

新年はクレルモン・フェランで迎えることになりますが、激動の2013年をゆっくりと振り返り、新年に備えたいと思います。


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