細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

ヴィジョンの無さ

2017-01-29 18:38:33 | 勉強のこと

人間一人一人が成長していく上でもそうですし、組織が成長していく場合でも同じですが、ヴィジョンが必要です。

私は「7つの習慣」の影響を受けて、自分自身のヴィジョンであるミッション・ステートメントを作成し、公開もしています。 このようにありたい、あるべきである、という自己の姿を文章化しているので、適切に努力を重ねていけば、実現するものばかりと思っています。

ただ、実現するためには相当な時間がかかるし、まさに日々の積重ねです。何年も何十年もそれらのビジョンに向かって同じ習慣を繰り返せるよう、ヴィジョンは本当に心の底からの自分の思いでなければなりません。ときどき、思いついたように努力するのでは効果は乏しく、完全に習慣にしてしまう必要があります。だからこその、「7つの習慣」です。

人間一人についても大変ですが、組織になるともっともっと難しくなります。

私も組織運営には年齢なりに携わってはきましたが、長期間存在する組織ほど難しくなります。私の場合は、もちろん、研究室運営が直接的で、かつ最も大事な組織運営になります。直接的、間接的に学科、大学等の組織運営にももちろん関与しますが、このエッセーでは研究室運営にとどめておきます。

組織運営は極めて難しいです。

人間一人と同様に、組織が健全に、たくましく成長していくためには、当然にヴィジョンが必要です。誰かトップの人が勝手に決めたヴィジョンであれば、構成員が心底納得して付いてくることはないと思います。

先ほどの私個人のミッション・ステートメントの近くに、研究室の目指すべき方向も一応、文章化はしています。 この文章は、私個人が作ったものですが、あらゆる機会を通して、研究室の構成員たちにこの方向で全体が努力していくべきであることを伝えているつもりではあります。

組織運営については、私も生涯をかけて勉強していくのだと思います。

そして、個人の成長や、組織運営について、なかなかうまく行かない場合に、相談を受けることもあるのですが、付け焼刃の対策ではどうにもなりません。

相談を受けた場合に、もちろん処方箋のようなものをアドバイスはしますが、その裏には個人、組織のヴィジョンがあり、日々のすべての活動がそれらのヴィジョンに支えられ、ヴィジョンの方向に統合されてなされている、ということを理解しない限り、中長期的に見てうまくは行かないように思います。

うまく行く、行かない、という定義にもよりますが、少なくとも悩んで相談している、という時点で、うまく行っていないと自身が判断しているのだろう、と私は捉えています。

私も、100点満点であるはずはありませんが、ヴィジョンに従って努力を重ねてきました。もちろん、ここからさらに展開、成長していく必要があります。もちろん、社会に貢献するためにです。

1月で研究室を去る、ポスドクの留学生は、2月から日本で働き始めます。彼と進めてきたトンネル覆工コンクリートの数値シミュレーションの研究を、ようやくジャーナル論文に投稿できる直前までこぎつけました。この研究も、日本人学生が引き継いでさらに深度化していきます。また、学生たちの各研究プロジェクトが佳境に差し掛かっており、いくつかはジャーナル論文に投稿できる内容ですので、ここから2ヵ月程度、研究成果の刈り取り、論文投稿準備に精を出したいと思います。大変にやりがいのあるステージです。 


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