里子

　　　　　　　　　　里 子　　 ＮＯ.285
　ご近所に夫が死去して天涯孤独な女性がいて、認知症に罹っていて自活ができないために、施設に入らなければならないという状態でした。
施設に入るとなればお金もかかるし、自分が住んでいる家の管理もできなくなるということで、地元の世話役が私のところにやって来ました。
ところが調査したところ、天涯孤独のハズの女性には６０年前に「里子」に出した息子が居ることが判明。　その実子に事情を説明しました。
１　あなたの母親は施設に入らなければならない状態であること。
２　あなたは「母親」を監護すべき「法的責任」があること。
３　地元の世話役の話では、家を売却する必要があるとのこと。　
　　それにはあなたが家庭裁判所に母親の「特別代理人」になることの申し立てをおこない、特別代理人に選任された後にその家を売却する手続きをする必要があること。
４　これらの手続きはあなた以外に対処する人がいないこと。　　など。
私の説明に対して、彼はほとんど罵るようにこう言った。
　何が今さら母親だ！　　私は６０年前にその女性から捨てられたのだ！
物心つく前に「里子」に出されたんだ！。　里子に出された先でどれだけ
冷遇されたのか解るのか！　その先からさらに里子に出され、その先かも
また里子に出され、合計３回も見捨てられたんだ！
どんなに厳しい人生を送って来たのかアンタ解るのか！？
実の母親は死んだんだと子供のことろから自分に言い聞かせて生きて来
たんだ。
そんなこと俺には関係ない！　　勝手にせい！と　　　・・・続く。