29.01.02 故 郷 NO.1392
Kさんは会社を定年退職して故郷に帰り農業をして、悠々自適な老後を楽しむべく九州のある県に帰郷しましたが、これが大失敗だった。
人口が減って農業の後継者不足になり、耕作放棄地が増えて鹿・猪・猿が激増し、野菜を作っても根こそぎ食い荒らされる。
根菜は猪に・葉物は鹿に・実のなるものは猿にやられる。
県も獣害対策に本腰を入れて害獣駆除補助金として、鹿1頭につき5000円・猪3000円・猿はなんと3万円の駆除対策費と支給するという。
農業をしていた人は農業をやめて野菜は近所のスーパーで買っている。
そして、農業よりも狩猟に精を出しているんだという。
でも、一番補助金の多い猿には誰も鉄砲を向けないという。
だって、猿は人間に一番近い動物で射殺するのは忍びないと思うし、銃口を向けると合掌するしぐさをするヤツがいて、とても撃てないという。
そのくせ女性や子供が棒を振って追い払おうとすると、反対に牙をむいて威嚇するんだから危なくって仕方がない。
故郷は今や鉄砲なしには生きられない世界になっており、帰郷後一番先に取り組まなければならないのは、猟銃を所有する資格を取ることだって、予想もしていなかった事態らしい。