超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

山口青邨・夏の俳句

2023-07-23 17:58:10 | 無題
〇星凉し船傾けば星のぼる
荒れる海で、夕方、金星が見える。やがて北には北斗七星。船は危なかったが。
〇疲れたれば眠りぬ氷河みたるあと
青邨は、ノルウェーに実際滞在していた。氷河見て・・というのも実話。
〇かの瀑布みどりの草の山に落つ
ノルウェーの壮大な瀧の流れを、ひるむことなく詠む。面目躍如の句。
〇山高帽に夕立急ロンドンはおもしろし
ロンドンで夕立に会う。現地の人はいつも洋傘を持ち、それでいて山高帽も被る。
〇蓮の葉にかくれんとする灯涼し
不忍池の骨董市での光景。夕暮れの灯が揺れる蓮の葉に見え隠れする。
〇風鈴の狂瀾遠く見ゆるかな
風鈴がしきりに鳴るのを、荒れ狂い、弁舌捲くし立てる様に見立てた句。
〇女達おしゃべり金魚浮き沈み
盛んに女性たちがお喋りしているが、部屋の隅では金魚が静かに上下している。
〇ものを書くこころにかよひ古浴衣
この句は、文人二人がお互いに、浴衣姿で心を許した気持ちがよく出ている。
〇玉虫の羽のみどりは推古より
法隆寺の玉虫厨子の緑色の光は、推古天皇の時代から続いている。高尚すぎて選評から外れた。
コメント
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