超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

波多野爽波の俳句を読む

2023-07-18 00:04:40 | 無題
〇鳥の巣に鳥が入ってゆくところ
18歳の句。余りに当たり前の瞬間を見たまま読む。爽波の原点。
〇籾殻の山より縄の出てをりぬ
現実の風景に何を見つけるか、が腕の見せ所。
〇向うから来る人ばかり息白く
こちらの息も白いのだが、現に見えるのは来る人の白い息。
〇芒枯れ少しまじれる葦も枯れ
虚子に褒められた一句。見たままだが、そこに焦点を当てるのが独特。
〇新緑や人の少き貴船村
京大時代の句。貴船は京都の地名。新緑と地名の意外な出会い。
〇滴りに横よりとべる滴あり
観察力が物を言う句。これも貴船の情景。同じ字を別の読みで2度使っている。
〇更衣二間つづきの母の部屋
戦後すぐとは思えない、優雅な生活。そういう家で育ったことも作句に見て取れる。
〇大瀧に至り着きけり紅葉狩り
この句も虚子に褒められた一句。奇をてらわない落ち着いた好み。
〇冬空をかくす大きなものを干す
干しもので、何とも大きな広がりを詠む。面目躍如の一句。
〇額縁をかかへて芥子の花を過ぐ
この写実はフィクションであるらしい。たまにはそういうこともする茶目っ気。
コメント
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