朝起きると日射しがのぞいたり雲に隠れたりの天気でした。
雲の動きが早い。
台風が近づいてくるのを感じます。
何はともあれ、ここはフクギ並木。
散歩しない手はありません。
しかも、時折日射しが出ている。
こんな幸運はない。
やっぱ、フクギ並木の木漏れ日は最高だよ。
(後日談)
家に帰って、パソコン画面でこれらの写真を見てびっくり。
面倒くさがって、絞り開放ばかりで撮影してましたが、僕の好みの写りにするには少し絞らないとダメだ。
やっぱ、三脚必須ですね。
ヤンバルへと向かいます。
今回は初めて、ヤンバルに宿を取ることに。
一番に目を付けていたやんばるくいな荘はあいにくの満室。
安田の宿は16号で集落自体が大きな被害を受けたらしく、断られてしまいました。
大型の台風16号は名護付近を通過しました。
台風のエネルギー源はやはり南からの湿った温かい風です。
風は反時計回りに台風に吹き込むわけですから、もっとも台風の威力があるのは台風の東側の風ということになります。
16号は被害が少なかった印象を持った人たちが多いと思いますが、それは台風の中心の西側にあった那覇のことであって、東側にあったヤンバルの被害は大きかったようです。
高潮も重なったため、部屋の仏壇まで水に浸かった家もあったとか。
今回は安波の集落に宿をとりましたが、そこのおばさん曰く、「やんばるは大きな被害が出て大変なのに、那覇に働きに出ている息子からは電話の一つも来なかったと嘆く人もいた。」と。
この小さな沖縄本島の内部であっても、これだけ被害に差が出ることがあるわけです。
宿に行く前に、比地大滝に向かいました。
比地の大滝は本島最大の滝です。
一度見てみたいと思いながらも、歩道が整備されており、有料だということが僕の心を害し、行ったことがありませんでした。
ところが今回は家族連れです。
しかも、2歳児付きです。
今の状況で山に入るとしたらもってこいの標的に様変わりしたわけです。
よろこんで、入り口にあたるキャンプ場へと向かいました。
と・こ・ろ・が、キャンプ場が閉鎖されている。
なんと16号で被害を受け、土砂崩れで歩道が壊れたとのこと。
復旧の見通しは立っていない。
ま、それならそれ。
歩けるところまで進み、土砂崩れの箇所は乗り越えられたら、乗り越えよう。
そう思って進もうとしたら・・・、復旧作業の人たちの車があり・・・引き返しました。
むむむ。
どこに行こう。
僕一人ならいくらでも行く場所を思いつくのですが、妻と子どもがいます。
しかも、16号による被害は思った以上の様相。
もしや今夜はいる予定の沢にさえたどり着けないかも知れない。
それは困る。
というわけで、急遽、今夜入る予定の沢までの林道が復旧しているか確認するために、森林ドライブへと予定を変更。
いつも通っていたアプローチの道を車で駆け上がると、土砂崩れで閉鎖されていました。
が、幸運にも迂回路も用意されていたため、アプローチが可能であることが判明。
安堵しました。
そこからは、東海岸へ抜けるべく、林道を流しましたが、思った以上の惨状でした。
車一台通れるように復旧されていましたが「これを夜流すのは危険だ」と思う場所が何カ所もありました。
台風16号、やはりただ者ではなかった。
さて、向かった先は・・・沖縄本島最大のオキナワウラジロガシでした。
アプローチの道は知っていたのですが、ピンポイントでウラジロガシの場所を知らず、行き着けたことがありません。
ネットでアプローチの道の記載があるページを見つけ、なおかつ、NHKで放送されたその映像から、その場所を地形図上で2ヶ所に絞り込んであったのです。
しかも、今回はFieldAccessという便利な道具まで持ってます。
2歳児がいなければたどり着ける。
しかし、ネット情報で、道の一部は「雨が降ったあとなんて危なくって歩けそうにない」とか、「両手も使わないと上り下りできない」とか書いてあります。
まあ、目標地点にたどり着けなくても、行けるところまで行ってこよう。
そういうことで向かってみました。
県道70号沿いに車を乗り捨て、尾根へ向かうダート道を歩きました。
ヒメアマガエル発見。
日本最小のカエルで、大きく育っても3cm弱ですが、この個体はなんと5mmの小物でした。
尾根にある畑にたどり着くと、奥さんがクワガタのメスを発見。
車の轍があるうちは2歳児でも問題なく歩けました。
しかし、細い小道に入り、尾根を下る辺りから厳しくなりました。
2歳児には無理。
担ぎました。
12kg程度ですが、足下の不安定な山道だと抱えながら下るのはけっこう不安定。
リュックに背負う荷物と違って、両手で抱えているし、動くし、これは危ない。
仕方がないので、沢まで降りたところで、あきらめました。
2歳の娘のヤンバル・デビュー記念を撮影。
こんなところに2歳児を連れ込むなんて無茶苦茶な父親と思うかも知れませんが、私の一存で彼女には、月明かりに照らし出されるヤンバルの森をイメージした名前が与えられているので、彼女はヤンバルに来なくてはならない運命なんです。
懐かしのリュウキュウルリモントンボがいたので、撮影しました。
さて、雨も少しパラついてきたので、安波の集落へと向かいます。
16時頃宿に着くと、向の木にから聞き覚えのある鳴き声が。
オリイオオコウモリではありませんか。
家族で安波集落内を散歩しました。
なんともノンビリした集落でした。
宿も、各部屋は独立した玄関をもっている作りなのですが、「鍵はかけてないから、適当に入ってください」と言われ、鍵を渡されもしませんでした。
予想通り、ソフトバンクは完全に圏外でした。
夕食を食べているとき、宿のテレビで台風が速度を上げていることを知りました。
あかん。
30日に帰る予定を切り上げ、29日の便を取り直したのですが、29日の便が台風に飲み込まれそうです。
これは28日の便、つまり、明日の便を取り直さねばなりませんが、あいにくここはヤンバル。
ソフトバンクは圏外です。
それよりここまで来たからにはヤンバルです。
子どものシャワーを済ませ、寝かしつけて、さて出発!
林道は僕がかつて見たことのない程の惨状だったので、森に入ったらどうなっていることかと少し心配でした。
荒れまくって、進めない事態に陥ることも考えて臨みました。
最初に迎えてくれたのは、相変わらずのヤンバルヤマナメクジ。
この個体は7~8cmということろ。
本土の感覚からするととてつもなくデカイナメクジです。
足下でぴょんぴょん跳ねる者達がいる。
だが、なかなか姿を捉えられない。
正体は、リュウキュウアカガエル。
9月も下旬だもんな。
そろそろおまえたちが尾根に出てくる頃だよな。
相変わらず神経質すぎて、まともな写真を撮らせてくれない。
ヤンバルクイナが鳴き交わしていました。
台風が近づいている割にはまだまだ風が弱い。
でも、風があるから木に登ってはいまい。
そう思っていたのですが、後日、同じ夜に樹上のヤンバルクイナを撮影している人がいて、ショック・・・。
まあ、この夜はどうせ沢を攻める以外のことをする気になれませんでしたが。
もし次の日もヤンバルに留まれるのであれば、林道を流してクイナを探したかった。
お次は、お得意様のハナサキガエルくん。
君たちに会わないとこの夜は始まらない。
日本最大のカタツムリ、ヤンバルマイマイ。
雑魚だけど、やっぱ君たちがいないとヤンバルじゃない。
いつものポイントに、期待を裏切らず、イボイモリの幼生が!
水の中なので微妙に合焦せず。
倒木がたくさんありましたが、乗り越えられないものはありませんでした。
その倒木の一つにハナサキガエルが。
ナミエガエルくん、久しぶり!
ミナミサワガニ。
一応、レッドデータブックの一員だったと思います。
おお、ヒメハブくんではないか!
君に会うのは何年ぶりだろう?
この夜は生暖かく、まるで6月か7月を思わせるような夜でした。
そのせいなのか、ナミエガエルがやたら出てきていました。
最近、RAW撮影をするようになりました。
パソコンを買い替えたことで、RAWデータの現像が可能になったことと、じゃじゃ馬のOlympus XZ-1はRAW撮影でないと使えたものではないからです。
で、愛機EOS kiss X3もRAW撮影するようになりました。
今まで、ヤンバルの沢での夜間撮影でキャノン機は使えたものではありませんでした。
なぜか知りませんが、とにかく黄かぶりがひどくて満足な撮影ができなかった。
RAW撮影すれば色温度も色かぶりも調整し放題なので、これ、この通り、思った通りの色が出ます。
難点は、撮影データ量が半端なく大きくなるということでしょうか。
ちなみに同じ被写体の、XZ-1による接写での成果は、これ。
被写体深度が違うし、焦点距離も違う、豆粒CCDとAPS-C CMOSの違いもあるかもしれない。
でも、どうみても、XZ-1に軍配があがると思いませんか?
一つに、接写と望遠撮影の違い。
臨場感を出す上で、望遠撮影が接写撮影に及ぶことはないと思ってます。
もう一つは、i.zuikoとキットレンズの差。
今回は導入に踏み切れませんでしたが、やはりLレンズの導入が必要でしょう。
キットレンズでは解像感がまるでない。
被写体深度を深く撮らなかったとはいえ、合焦している範囲もモサッとしています。
買うぞ!EF70-200mm F4 L IS !
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
クロイワトカゲモドキ!!
沢を渡ろうとしているところに遭遇!
なんと、沢の中に孤立した岩の上に乗っていました!
次の岩までは距離があり、どうしたものかなぁ~と考えているところだったように見受けました。
なんにせよ、僕には大チャンスです!!
相手が逃げにくい状況にある!!
激写しまくりです!!!
調子に乗って撮影しまくっていたら(とはいえ、あまりフラッシュを浴びせすぎてはこいつの眼に悪いと思い、無駄がないように、一枚一枚丁寧に真剣にシャッターを切ったつもりですが)、たまらんと思ったのか、コイツ、水に飛び込みました。
「ああ、身投げをさせてしまったかΣ( ̄ロ ̄lll) ガビーン」と、一瞬思いましたが、よく見ると、こいつ、上手に泳いでます!
クロイワトカゲモドキって、泳げたのか?!
知らなかった。
貴重な夜となりました。
しかも、こいつ、付き合いのよいヤツで、泳ぎ切ったところにもしばらくいてくれました。
なので、追加で撮影。
ある程度撮影しても、満足のいく作品を撮れないことが往々にしてあります。
でも、経験的に、それ以上頑張っても、自分の希望に添う作品を撮れることは少ないです。
それは、自分の腕が足りないか、状況が、自分の思い描く作品をモノにするには適していないのだと思っています。
この時も、まだ撮り足りなかったのですが、被写体にかける負担を考え、途中で切り上げました。
通称「砂場」到着。
ここでもナミエガエルくんたちが迎えてくれました。
ナミエガエルも立派な絶滅危惧種です。
この隠れ方、見事。
なんと、10月も近いというのに、ホルストガエルが鳴いていました!
こちらもkiss X3とXZ-1の撮り比べ。
まずはXZ-1。
kiss X3
ホルストガエル、鳴いているだけならともかく、なんとなんとなんと、巣を守っていました。
僕の知識が間違っていなければ、巣を守る行動は5-7月がメインのような気がしたのですが。
季節がおかしい?
二度の大型台風で巣を流されて、こんな時期にずれ込んだ?
よくわかりませんが、巣を見れた僕はラッキーです。
蛇足ですが、この写真を見て、わかる人はわかる。
斜面を向いている時点で僕の敗北なのです。
イボイモリやリュウキュウヤマガメを求めて、丁寧に眼を凝らすのですが、なかなかみつかりません。
でも、いました!ヒメハブ!
リュウキュウハグロトンボ。
ずいぶんくたびれた個体です。
おまけに花粉?か何なのかわかりませんが、口元・眼にたくさんくっついてます。
今年は二度の台風が産卵期を襲い、産んだ卵や孵化した幼生たちの多くが流されたと思われます。
普段は、沢のそこかしこにいるトンボですが、来年はリュウキュウハグロトンボを見るのが難しいかも知れません。
沢からあがる手前にもいました!ヒメハブ!
一晩に3匹ものヒメハブに会えたのはいつ以来のことでしょう。
うれしい夜となりました。
沢から上がり、ひと休みをしていて、始めてヤンバルの森を案内してもらったときのことを思い出しました。
ここは、そのときにもひと休みをした場所なのです。
そのときも、この光景を写真に撮りました。
始めて訪れたヤンバルの森には、ずいぶん歓迎されたように感じたものですが、この夜もヤンバルに歓迎された気分になりました。
ヤンバルの森の生物密度はやっぱ、ヤバイですね(^^)
楽しい夜でした。
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