またしても仕事のあとに出発。
GPV予報が微妙。
22時頃から曇り始め、未明4時前に晴れてくる予報。
どうなんでしょう。
でもまあ、心が行きたいと言っているのですから、行きましょうかね。
本当は学会発表の準備とか仕事の勉強とか資格更新の準備とか、平行して読んでいる本が3冊あったり、録画してあるテレビ番組が2年分あるとか、やることが山積していて頭がおかしくなりそうなんですが、そういうストレスを溜め込んだ時ほど現実逃避がしたくなる。
これは学生時代からずっとそう。
死ぬまで変わらないんじゃないでしょうか。
到着するも、出発が遅れたため、温泉には入れず。
この一週間の、そしてこの日の労働の疲労もあり、月齢6で月が明るく、それに追い打ちをかけるような微妙なGPV予報で気合が入らず、外で赤道儀をセットアップする気力が出ませんでした。
この夜はスライディング・ルーフを開くだけで準備万端の巨大ニュートンのみで行くことにしました。
ピント合わせをしてから最初のオートガイド。
夜が浅いので子午線の西の空。
ガイドアシスタントを控えているので天の赤道付近。
なかなか良いではないか。
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ガイドアシスタント
なんか、「ガイドカメラのピント合わせ、もうちょっとちゃんとやれよ」という表示、どうやっても出てしまう。
F15の暗い望遠鏡をガイド鏡として使うということは、そういうことなんでしょうね。
バーティノフマスクを使っているので、これ以上ピントを追い込むことはできません。
そしてDECのバックラッシュは最悪レベルであると。
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おぉ。。。
過去最悪レベルのバックラッシュですな。
でもまあ、極軸は追い込んであるのだし、一方向ガイドはできるのだからいいんでないの。
この巨大赤道儀、本当に動作が安定しませんね。
原因は絞り込んであるのですが、素人レベルではどう修理のしようもない。
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ガイドアシスタント後のオートガイド。
ガイドアシスタントをかけるのはけっこう時間のロスになります。
それでも、その夜空のシンチレーションを解析して、PHD2に最適な動作修正値を割り出してくれるので、ガイドアシスタント解析をした後はオートガイドの精度が良くなります。
やる価値があると思います。
もっとも、一晩のうちにもシンチレーションが変化するので、怪しいと思ったら繰り返し行う必要があり、それがちょっと鬱陶しく感じることもあるんですけどね。。。
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今夜のミッションは終盤を迎えたオリオン大星雲でIRフィルター改造EOS 70Dのホワイトバランスを調整することです。
まずは巨大ニュートン+EOS Raで記念撮影
手抜きではないんです。
月齢6の月が明るいので、こんなもんで勘弁してください。
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RaはAWBですが、Camera RAWで現像すると適正色温度は6350Kとな??
前回とは色温度が根本的に異なるではないか。
被写体がだいぶ違うからなぁ。
でも、被写体によって適正色温度が3550Kだったり、6350Kだったりするとなると、手動によるホワイトバランス調整作業は、けっこう手強いのかもしれない。
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BKP130にIRフィルター改造EOS 70Dを取り付けて撮影を開始します。
先週末の結果をもとに、4100K A1 G9 ISO 3200からスタートしました。
20:29
4100K A1 G9 ISO 3200 80sec
ヒストグラムのまとまりは悪すぎはしない。
けど、全体的に赤味がかっている。
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20:40
4200K A1 G9 ISO 3200 80sec
(拡大表示したままスクリーンショットしてしまったようで。。。)
色温度を4200Kにアップしてみたら、ますます赤味がかってしまった。
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20:48
4300K A1 G9 ISO 3200 45sec
露出オーバー気味なので、露出時間を半分に減らしてみました。
4300Kにしてみるとますます赤味がかってしまいます。
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20:51
4200K A1 G9 ISO 3200 45sec
色温度を下げたことでヒストグラムはまとまりつつあります。
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20:55
4200K A1 G7 ISO 3200 45sec
グリーン(G)値を下げてみたら、ヒストグラムで緑が左側から出てきてしまいました。
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21:18
4200K A1 G9 ISO 3200 45sec 02
G9に戻しました。
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21:19
4100K A1 G9 ISO 3200 45sec
色温度を下げてみました。
4200Kと比較して大きな変化はないように見えます。
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21:22
4000K A1 G9 ISO 3200 45sec
さらに色温度を下げてみると、全体的に青味がかってきました。
(でもまあ、僕の好み的には、これがベストかなぁ。)
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21:24
3900 A1 G9 ISO 3200 45sec
さらに色温度を下げると、ますます青味がかってきました。
また、ヒストグラムでブルー(B)が右側から出てきました。
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21:26
3900K A3 G9 ISO 3200 45sec
ブルー(B)が主張してきたので、それを抑えるべくアンバー(A)側に少し振ってみました。
ヒストグラムのまとまりがよくなった
写真の色も、若干良くなったように見えます。
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21:29
3800K A3 G9 ISO 3200 45sec
色温度を下げてみました。
再びブルー(B)が主張し始めました。
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21:33
3700K A5 G9 ISO 3200 45sec
色温度を下げつつ、アンバー(A)側に振ってみました。
グリーン(G)がヒストグラムの左側に出てきてしまった。
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21:35
3400K A5 G9 ISO 3200 45sec
色温度を一気に3400Kまで下げてみた。
案の定、ブルー(B)が主張し始めた
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21:37
3300K A8 G9 ISO 3200 45sec
さらに色温度を下げて、アンバー(A)側に振ってみた。
ブルー(B)を抑え込めてません。
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21:40
3200K A9 G9 ISO 3200 45sec
さらに色温度を下げ、アンバー(A)側に最大限振ってみました。
アンバー(A)を最大値にしてもブルー(B)を抑え込めてないので、3200Kはダメだということがわかります。
でもまあ、個人の好みによっては、この写真の色合いが今までの中でベストとする人もいそうです。
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21:57
NGC2237 3200K A9 G9 ISO 6400 45sec
オリオン大星雲が低くなりすぎたため、色温度とホワイトバランス補正をそのままに、バラ星雲にNGC2237向けてみました。
月が明るすぎて、バラが写りません。
そして、この設定では果てしなくブルー(B)が勝ってしまいます。
やはり被写体ごとにホワイトバランスが大きく異なるということでしょう。
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このあと22:00過ぎにはバラ星雲も低くなりすぎました。
で、南の空が若干晴れていたので、スピンドル銀河NGC3115に巨大ニュートンを向けてみました。
なぜスピンドル銀河かというと、この巨大ニュートンが南を向いたときに写せる最も低い天体だと思われるからです。
巨大ニュートンをスピンドル銀河に向けてみると、鏡筒の先端がギリギリスライティングルーフにかからない。
というわけで、撮影しようかと思ったら、VIXENのガイド鏡もBKP130も屋根にかかってしまってオートガイドができない。
そういうわけで、ISO 25600 15secでたくさん撮影してコンポジットすることにしました。
天の赤道付近ですので、ノータッチガイドの難易度が一番高い。
15秒露出で70枚撮影して、使えたのは30枚ほどでした。
歩留悪いですね。
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トリミングしたスピンドル銀河
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このあと獅子座のトリオを狙ってみましたが、いよいよ雲が出てきて、ダメでした。
24時頃に一旦撤収。
AM4:00前から再び晴れる予報だったので、それまで眠って、3:30頃からちょくちょく空を見上げましたが、結局最後まで晴れることはありませんでした。
翌朝、行きつけの森のパン屋さんでパンを買って、帰路に着いたのでした。
で、結局、オリオン大星雲のホワイトバランスはどれが一番良かったのよ?ということが問題です。
僕的には4000K A1 G9 ISO 3200 45secかなぁ。。。
ヒストグラム、見た感じ、両方ともベストというのは一枚もありませんでした。
だから、難しい。
さらに問題を複雑にする困った事情が発見されました。
Camera RAWで現像するときに、EOS 70Dで撮影時に設定した色温度と、Camera RAWでの現像するときに表示される撮影時の色温度が若干ズレるんです。
うーむ。。。
色温度は撮影時にどんな値に設定しても、RAW現像する際にどうとでもなりそうだから、撮影時は大まかに合わせておいて、結局、家に帰ってパソコンで処理する際に微調整するのが良いのかもしれません。
となると。。。50枚コンポジットする時は、予め50枚分、Camera RAWで色温度を弄らなければならないのね。。。
まだ結論ではありませんが、こんなに手間暇かかるのであれば、純正の天体撮影カメラを買うことをお勧めします。
現状、キャノンが天体撮影カメラを販売してないので、如何ともし難い。
そのせいで、EOS Raの中古が50万円で売られてます。
EOS Ra、25万円くらいで買いました。
当時は高いなぁと思ってましたが、こんなことなら3台買っておけばよかったかもしれません。
今までのペースから予測すると、次の「a」シリーズが発売されるのは2025年か、2026年になりそうです。
それまでIRフィルター改造EOS 70Dで遊んでましょう。
あとは、次の「a」シリーズがいくらになるかですよね。
カメラは高額化の一途を辿っています。
次、35万円を覚悟しなくてはならないかもしれません。
場合によっては40万円を超えることもあるでしょう。
それまでお金を貯めておかなくちゃ。。。
おまけですが、この夜のオリオン大星雲の写真をコンポジットしたのがこれ。
そんなに明るい月ではなかったですが、オリオン大星雲と月が近かったので、月明かりの影響が大きかったですね。
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そして、これが有名なBKP130の写りの特徴なんでしょうね。
BKP130鏡筒内に飛び出した接眼筒の尻尾の影響が大きいでしょう。
接眼筒がギラギラの銀色なのも良くない。
フランジバックが短いミラーレスの、キャノンのRシリーズにすれば接眼筒をより外側に繰り出すことになるので、解決するかなぁ、とか思ってBKP130の接眼筒を切断せずにいました。
しかし、よくよく考えてみるとBKP130専用コマコレクターを使っているので、RマウントにマウントアダプターをつけないとRaのセンサーからコマコレクターまでのフランジバックが変わってしまうのでダメですね。
これでBKP130の接眼筒を切断する決心がつきました。
あとはそれがいつになるかですが。。。
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あの月明りで撮影とは根性あります。(^0^8
満月期近くはすでに選択支に無くて、雨ではありましたが
半影月食は夢の中でした。
最近はなぜか天体撮影を意識して各社がカメラを出して
いる気配。。(^0^;
また、s〇nyとかの素子が主流とかになり、フォーサーズ
も当たり前になりそな気がします。
そうなると、あれもこれも欲しくはなりますが、先立つ物
が心配。。中古でも欲しいなぁ。。(^0^!
現役の方は限られた時間での遠征で大変ですね。
ガイド調整にも猫五郎さんのこだわりが感じられて興味深く拝読しました。
*自分などはいい加減なので見習わなければ。
天体用のデジカメ、最近は出てきませんし値段もお高い。
近年は中華製のC-MOSカメラを使用している人がかなり増えましたね。特に夏場は冷却タイプがノイズ低減で有効かと。
各社、星景撮影を意識した機能が載ってきてますね。
それどころかスマートフォンにまで星撮影モードがあったりして。
技術が進歩して、できるようになったことの中に星の撮影が入ってきた、ということでしょうか。
昆虫や鳥の飛翔撮影も素人の手の届くところまできてますね。
僕もあれこれ欲しいカメラがありますが、一番のボトルネックはカメラを持ち出す時間でしょうか。。。
現役の時は金はあれど、時間なし。
退職後は、時間あれど、金はなし?
両方ともないのだけは回避したいところです(^_^;)
冷却カメラ、興味あります。
カラーCMOSであればそんなに手間もかからないのかもしれませんし、使いこなせば時短になりますね。
問題はやはりホワイトバランスなのかなぁ。
冷却カメラをキャノンが出すことまでは流石に期待できないでしょうから、冷却カメラに手を出すならやはり画像処理の勉強と試行錯誤を重ねるしかないかもしれませんね。