駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

難問には寛容で

2013年06月07日 | 町医者診言

         

 内科専門医の資格に非喫煙者であることが必須条件となるだろうか。

 煙草の健康障害は科学的に証明されており、非喫煙者への受動喫煙の被害も問題になっている。私も医師として喫煙される方には節煙から禁煙へと、煙たがられても口酸っぱく指導している。

 それでも、喫煙は犯罪ではなく、隠れた効用もあるだろう。嗜好品に留まっているならば、喫煙する医師には禁煙を促す程度で、禁煙しないと専門医の資格を与えないという排除要件にまでするのは行き過ぎのように思う。

 確かに禁煙を勧める医師が喫煙していては説得力に欠けるだろう。しかしまあ、それでも本人の自覚に任せるのがよいのではないだろうか。大袈裟に聞こえるかもしれないが、あれも駄目これも駄目と厳しく制限して、正しそうに見えても、結局は人を選別してゆく道は差別や争いに繋がっているような気がする。規則で締め付けないで自然淘汰に任せればよいと思う。

 反対しにくい問題を掲げて突き進むと、他のいろいろな問題が見えなくなってしまう。多様な人生個別の人生だから、生きている気もするし生きて行こうとも思うのではないか、寛容の心を願う。

コメント
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